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動いている…

さて、今週は何を書こう。

猛烈な暑さが続いてる。この夏の暑さは、今週がピークかもしれない。そんなふうにはっきり感じられるような酷い暑さで、炎天下を少し歩くだけで「ウッ」となるような時もある。これほどの暑さは、ぼくがこどもの頃にはなかったような気がする。自分の記憶を、最近はあまりアテにしてないのだけど。しかし… 凄まじい暑さで、家にいても、仕事で外にいても、あまり「やる気」になれない。いつも、何やら、グッタリとしている。

こんな時、冷房のきいた部屋で、昼寝をするのは、想像するだけで気持ちがいい。こういう時期は、気持ちがいいと思うことを、すればよろしいという気もする(そんな日ばかりではないが)。

蝉たちは相変わらず元気だが、コオロギや鈴虫たちも元気になってきたようだ。晩夏、かな。秋は、もうすぐだ。

狭い庭は、草ボーボーだ。そんな中で、八百屋で買ってきたトマトの、種から実がなった。

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庭といえば、少し前に、ウェブで無料公開されていた『動いている庭』というドキュメンタリーを観た(リンク先、映画はもう公開されてないんですが、その前後のトークはまだ公開されているようです)。

ジル・クレマンという、フランスの庭師を追った映像で、彼は植物を中心に庭を見ている。人間の都合で、庭をつくろうとしていない。植物は庭をどうしようなどと考えていないと思うが、彼は植物の声を聞いて庭をつくっているのだ。

草木が"動いている"ということは、よく知っている。彼らは人間の言う通りに動いているわけではない。そもそも、人間のような動物とは、動くスピードが全然違うし、そもそも動き方が違う。

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雑草を、抜くのが面倒ということもあるのだが、しかし何となく雑草も草だという思いもあり(だいたい"雑"って何だ? いや、"雑"が好きなのかもしれない)、とくにこの暑い季節は、草ボーボーにしてある。通り道に草が伸びてきていたら、人間が歩く場所を少し変えるのだ。ジル・クレマンと同じこと(?)をぼくらはしている。

熊本の雑誌『アルテリ』の最新号(第10号)を読んでいたら、坂口恭平さんが「畑までの道」と題して少し前の近況レポート(?)を書いていて、そこにも、草との付き合い方の一例がほんの少し出てくる。

"自然農"と言われたらどうか。ぼくは"自然〜"にはあまり興味がなくて、それは"自然"ではないのではないかと思うんだけど、草との付き合い方となると一気に身近なものになる。

(こんなことを書くことがわかっていれば、もっと「草」の写真を撮っておいたのに、と思うが、いまはない。草は、ついつい、花の写真の背景になってしまう。草たちに申し訳ないことをしていたかもしれない。)

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ところで、“コロナ禍”が始まった頃、『アフリカ』最新号を持って府中へ行った時に府中市美術館に寄った。その時、「青木野枝 霧と鉄と山と」展を観て、というよりその中に入って少しの時間を過ごした。それからずっと、いまも、何らかの「山」を感じて過ごしてる。

思えば、ぼくはこども時代、常に火山を見て、聞いて、触れ、感じて、過ごしていた。鹿児島のひとはみんなそうだろう。あの土地を離れると、そうだったことがより強く感じられるようになる。山と共にある。

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(鹿児島へも、次は、いつ帰省できるか? と思っているところだ。)

鹿児島から大阪へ行った頃、一時期は二上山(折口信夫『死者の書』で有名なあの山)の麓で暮らしていたし、六甲山を近くに感じていた頃もある。府中時代はたまに奥多摩へ出かけたが、それほど近くには感じていなかった。横浜に来てからは、あまり山を意識していないような気もする。住んでいる場所が坂の上で、山の手と言えばそうだが。

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青木野枝展を観た後、帰り際にミュージアム・ショップでこの写真(ポストカード)を見つけたんだけど、可笑しい。展示室にこんな写真はなかった。

山とは、いろんなところに現れるものなのかもしれない。

青木さんはこうも言っている。

山はいつでも姿を変えている。
動いているのだと思う。

山が「動いている」というのは、こどもの頃には、感じられていなかったかもしれない。でも、いまでは、よくわかる。地球は生きているものだから? いや、ありとあらゆるものを、生きているものとして、見られるようになった。生きているとは、簡単に言うと、変わり続けるということだ。簡単に言い過ぎかもしれない。変わり続けることを、具体的に、細々と? 書いてみたい。

自分も、まあ、山のようなものだと考えたら、どうか。

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この話はどこへゆくのだろう。続きは、どうぞご自由に、書いてみてもらって構わないし、自分でも書くかもしれない。ひとまず、今週はこのへんで。

(つづく)

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