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「活字の断食」の先へ

なかなかスピードが出ないが、昨年・秋の「活字の断食」を原稿にしている。相変わらず、"読む"を受け入れがたくなることは、たまにある。それは文字を読むことに止まらず、目から入って来る"情報"が過剰になった結果、起こる拒絶反応ではないか、と最近わかってきた。

読むことに比べて、書くことでそうなることは、あまりない。何も出てこない、ということはあるにしても(書き出したいことがあり余って叫びたくなるなんてことはぼくにはない)。

昨日、図書館に寄って、ある本を借りようとしたら、別のある本も気になって、2冊借りることになった。

その、目的でなかった本は、梨木香歩『鳥と雲と薬草袋』という本で、土地の名前にかかわる短文集。ふと手にとり、ひらいたら、「姶良」という、故郷・鹿児島の土地の名前が出てきて、気になったのだった。

姶良には伯父の一家が住んでいて、祖母が晩年に住んでいた土地でもある。

「姶良」は、もともとは「姶羅」だった、と書かれている。漢字を見ても、それが何を意味するのか、わからない。「アイラ」、おそらく当て字だろうと梨木さんは書いている。

近隣の「霧島」「川内」「栗野」などと違い、おそらく、もっともっと古いことばなのだろう。そう思って見て、声に出してみると、「姶良」がとても神秘的なことばに感じられてくる。

以前も書いたけれど、時折、"文字のない言語"の誘惑を、ぼくは受ける。

ただ単に「活字の断食」の報告記を書いても面白くない。文字から離れて感じられる、べつの"ことば"を、いかに感じられるか──しかしそれを文字で書き記すことになるのだが──。もう少し先まで行ってみよう。

(つづく)

「道草の家・ことのは山房」のトップ・ページに置いてある"日めくりカレンダー"は、1日めくって、2月19日。今日は、"いらぬ心配"の話。※毎日だいたい朝に更新しています。

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