見出し画像

ピアノ演奏VTuberのための配信環境準備

ここでは、私がVTuberの姿でピアノ演奏収録・配信をするために行った準備について記載します。以下のような構図で撮るための環境になります。

ピアノ演奏の構図

今回揃えた「ローランドの電子ピアノ」「オーディオインターフェース」「Live2Dモデルを動かすトラッキングソフトウェア」の全てに感動を覚えたので、この感動を記事にまとめます。読者の方によっては、各項目だけつまんで必要な情報が得られるかもしれませんので、良ければ気になるところをお読みください!


自己紹介

ゲームとピアノをこよなく愛する、陽未音ななみと申します。「はるみね」と読みます。大好きなゲームの一つであるスプラトゥーンの配信をすることが多いですが、特技であるピアノの弾いてみた動画の投稿も行っています。まだまだ未熟者ですが、もっと素敵な演奏ができるよう日々尽力しております。

ピアノ配信環境構築のきっかけ

「ピアノの演奏動画を撮りたい!」
そう思い至ってすぐに、既存の環境で何とか収録ができないかと試行錯誤しました。家にあった「CASIOの電子ピアノPX-S1000」「ステレオミニプラグのケーブル」「オーディオジャックとUSBタイプAの変換アダプタ」「USBタイプAからUSBタイプCへの変換アダプタ(Apple純正品)」「MacBookPro(2018)」を駆使して何とか収録できる環境を構築しました。怒涛の変換祭りです。

最初の収録環境。力技。

なお、この構成をDTMerの友人に伝えたところ、「定義上ギリライン録りと呼べるが似て非なるもの…」との絶妙なリアクションをいただきました。
※ライン録りは、マイク録りと対比される言葉で、スピーカーから出た生音を録るのではなく、電子楽器を直接録音機器に接続して電気信号として録音する方法です。

最初は「この環境でも十分録れるしなー」という考えで収録を続けていたのですが、やっていくうちにどんどん欲が出てきました。
「毎回準備せずに済むように、すぐに収録できるような環境にしたいな」「もっと良い音で録りたいな」「というかもっとアコースティックに近いタッチのピアノがいいな」「もはや演奏配信したいな」
最初は収録を楽にしたいくらいの気持ちだったのに、気づいたらローランドの電子ピアノのカタログを漁り初めていました。その上、当方は収録ですら緊張して演奏ミスを連発するのに、何を思ったか演奏配信がしたいなどと言い始めます。

ここから私の新たな配信環境の構築が始まります。

私の配信環境構成

色々あって、私の配信環境はこんな感じになりました!

新しい収録・配信環境

なんということでしょう。
もらい物のCASIO PX-S1000は、ローランドのLX705に。フラッグシップ・モデル同等のピアノ音、響きを搭載し、鍵盤にはハイブリッド機構のPHA-50鍵盤を備えています。
いつ買ったかも覚えていないステレオミニプラグのケーブルは、シールドケーブルに。こいつはぶっちゃけよくわからなかったしDTMerの友人が何でも良いというのでAmazonのベストセラーを買いました。
ヘッドホン端子から雑に伸びたプラグをUSBに変換していた謎のアダプタは、なんとFocusriteのオーディオインターフェース「Scarlett 2i2 gen3」に。これもDTMerの友人におすすめされるがままに買いました。決め手は「赤いから」。

これにより、私にはもったいないほどのアコースティックかのようなピアノと、「ギリライン録り(笑)」とは比べ物にならない圧倒的にクリアなステレオ音声を手に入れることができました。

配信環境の詳細

電子ピアノ(ローランド LX705)

前述の通り、ローランドのLX705です。実は本記事執筆(2024/5/12)時点ではLX700系は型落ちで、現行モデルはLX5,6,9です。
なぜ型落ちのモデルにしたかというと、単純に予算との兼ね合いです。

要件として「アコースティックに近いタッチの鍵盤」は必須だったので、木製鍵盤を狙っていたのですが、それを叶えられるモデルを視野にいれると値段が一気に跳ね上がります。具体的には18万くらいは覚悟しないといけなくなります。20万前後と考えると、ローランドでは以下のラインナップが考えられます。

  • DP603

    • 2016年発売で一応現行モデル。

    • 18万くらい。

    • ピアノ音源で劣るが、鍵盤はPHA-50鍵盤でありLX705と同等。見た目がスタイリッシュ。

  • HP704

    • 2019年発売現行モデル。

    • 20万くらい。

    • 細かい部分でDP603を凌ぐ。見た目はLX705の系譜。背が低いアップライトみたいな感じ。

  • HP702

    • 2019年発売現行モデル。

    • 15万くらい。

    • 鍵盤がPHA-4スタンダート鍵盤というもので他に劣る。

  • LX705

    • 2018年発売型落ち。

    • 当時24万くらい。今は安いと19万くらい。

    • PHA-50鍵盤かつピアノ音源が他3つより上位。見た目がかっこいい(主観)

こんな感じです。自分が最も重視するのは鍵盤で、次に音源という具合で比較し、一言添えてみました。詳細はリンク先のスペックシートを見るのが良いと思います。

これを見てわかるように、LX705ってコスパが良いんですよね。同じ値段、同じ見た目のHP704と比べて音源の質が良いので。これはLXシリーズがPremium Home Pianoというラインナップであるためです。(HPやDPはHome Pianoに含まれる。)また、現行モデルのLXシリーズのローエンドであるLX5は、同じPHA-50鍵盤搭載で26万くらいです。これはLX705の後継にあたるのでおそらく性能は上なのですが、ちょっとお値段があがりますね。

実際に島村楽器さんにて、気が済むまで試奏させていただき、予算内で最も弾き心地がよかったので、LX705にしました。(試奏大事。)
店頭展示品が少し安かったのでそれにしました。クリーニングはしてくれるとのことだったのであまり気になりませんでした。(ちなみにLX9の弾き心地はやばいです。予算が許すなら絶対LX9にしてた…。)

本項の以下は余談ですが、ローランドの電子ピアノをご検討の場合、以下の4象限の図が一番わかりやすいと思います。

ひと目でわかる 電子ピアノ シリーズ比較

そもそもメーカーをローランドに絞った理由は、「憧れの奏者様がローランドの電子ピアノを使っていたから」です。全てのメーカーを比較するのは大変だったので、検討初期に絞りました。
あと実は、直前までDP603の中古12万くらいのやつを狙っていたのですが、LX705の見た目を気に入ったのと、送料等を加味すると差額もそこまで大きくはないなということで、奮発することにしました。

オーディオインターフェース(Focusrite Scarlette 2i2 gen3)

Focusriteの「Scarlett 2i2 gen3」です。DTMerの友人に「電子楽器の収録という目的なら、このあたりがコスパ最強」と教えてもらいました。もう一つ、MOTU M2というのもおすすめされて、非常に悩みましたが、「赤が好き」という理由だけでScarletteにしました。

電子ピアノはOutputがLとRで2つあってステレオで録ることができるので、オーディオインターフェースも2in 2outのものということでこれになりました。Lだけで録ればモノラルでも録れるようなのですが、せっかくなので試してみたいなーということで。

あと本記事執筆時点での最新はgen4でしたが、gen3の方が安く、おすすめされたのもgen3だったのでそうしました。また、あまり使用されていない中古品があったのでそれを買いました。オーディオインターフェースは丈夫そうだなと思ったので、中古でも比較的問題ないと判断しました。今のところ問題なく使えています。音も問題ないかと。Scarletteは個人的にはマニュアルもわかりやすかったので、これにして良かったと思っています。あと見た目が赤くてかわいい。

音が聞いてみたい方は、後述にあげる動画を確認いただくのが良いかと思います。ステレオ収録なのでイヤホンなどで聞いた方が良いかも?

トラッキング環境(VTuberStudio+iPhone)

これに関しては、ピアノやオーディオインターフェースの話とは毛色が違うので、背景から話します。
そもそも普段はゲーム配信をしているので、トラッキング用のカメラはPC前にあります。しかし、ピアノ演奏配信をLive2Dモデルの見た目で行うとなると、ピアノ側にも必要になります。ピアノ弾くときだけカメラをピアノ側に移動させようとも思いましたが、ケーブルの長さが足りず届きませんでした。そうでなくても、収録の度に移動させるのは面倒なので、できることなら別の方法でピアノ側にもトラッキング環境を整えたいと思いました。

そこで色々調べて検討した結果、VTuberStudioのPC版とiPhone版を連携してトラッキングする方法にしました。これがすごく画期的でした。
VTuberStudioは、PCと接続することで、"iPhoneのカメラでトラッキングしたデータをPC側に送信し、PC側のモデルを動かす" ということが標準機能でできます。そしてなんと、PCとの接続にはWi-Fi(無線ネットワーク接続)を利用することができるので、ケーブルに縛られないんですよ!しかも遅延とか全然無いです!スマホを好きなところに置いて好きなところでトラッキングができるんです。さらにiPhoneのカメラは高性能なのでトラッキングとの相性が抜群です。私は諸事情でずっとFacerigを利用していたので、この超絶便利機能に大変感動しました。

カメラをLX705の譜面台に置いて録ってみたものがこちらになります。note直接動画ファイルを埋め込めなかったので、Xにあげたものを貼ります。(※冒頭喋ってる声がでかいのでご注意ください。)

良い感じに録れていますね!ちなみにLX705の屋根の上に置いた場合、カメラの位置が高すぎて目のトラッキングがうまくいかなかったです。そのバージョンがこちら。実際は目を開けているのですがずっと閉じてしまいました。(これはこれで弾いている感がある。)

VTuberStudioの前に、Facerigの後継であるAnimazeを試したのですが、Live2Dモデルが動かせず断念しました。読み込みが完了したように見えるのに、モデルを選択してもモデルが映らないんですよね。Animaze Editorを使ってエラーの確認もしたのですが、知識が足りず断念しました。

今後の環境改善

ひとまずピアノの収録にはなんの不満も無い最高の環境ができあがりました!ただ、マイクの位置が悪くてピアノの前にいながらしゃべることができないので、それだけ何とかしたいですね。マイクの位置を変えるとか新たに買い足すとかで解決すると思うので、そのうちやろうかと思います。

あと、ホントのホントに理想の環境というと、3Dのモデルで指のトラッキングができるというのが夢ですね。ただ精度を求めるとトンデモなくお金がかかりそうなので今は諦めます。。。いつかやれたらいいな。。。

まとめ

VTuberとしてピアノ収録・配信ができる環境を整えた話でした。ローランドのLX705, FocusriteのScarlette、VTuberStudioの全てに感動を覚えたので、この感動を記事にしました。
最近はLive2Dモデルを依頼できるイラストレーターさんやモデラーさんがいて、自宅で配信ができるようなPCやソフトウェア、オーディオインターフェースなんかも買えて、個人の「やりたい」を実践できる良い時代だなぁと常々思います。
もしも読んでくれた誰かにとって有用な記事となっていたら幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?