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クラブ通いからかつお旅に。かつおちゃんが抜け出した「OL時間」

※2018年12月掲載記事

平日の早朝。まだ8時過ぎだというのに、数人の人が開店を待つ一角がある。渋谷の宮益坂からほど近いエリアに構える「かつお食堂」は、朝9時からこだわりのかつお節ご飯を提供することで人気のお店。店主のかつおちゃんこと永松真依さんの“かつお”すぎる24時間って? 最終回は、かつおちゃんの“かつお以前”のお話。

平日の朝9時から行列が絶えないかつお節ご飯の専門店「かつお食堂」をかつおちゃんが開いたのは2017年のこと。飲食店ではたらいた経験があるのかと思いきや、まったくなく、普通のOLさんだったのだとか。

OLといっても、クラブで遊んでいるような派手なタイプだった

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「もともとは派遣で企業の受付をやってました。夜遊びも大好きで、夜はクラブ通い。なにかやりたいことを模索してきたっていうのもあるんですけどね、でもやりたい事がなかった。習いごととかはしてはいたんですよね、手に職は付けたかったので、茶道、華道とかポールダンスとかも習いましたし、お菓子教室に通ってみて長続きしなかったので」

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当時の毎日はこんな感じ。ありふれた日々のなかで、かつお節に出会った。というか、出会っていたけどその素晴らしさに気づかなかった。気づかせてくれたのは、実の祖母なのだとか。

「福岡に帰っていたときに、おばあちゃんがかつおぶしを削って、お味噌汁を作ってくれて。そのおばあちゃんの削る姿が美しすぎて、丁寧な所作とかかっこよすぎて。それでかつおぶしに魅了されて、すぐさまかつおぶしを削る旅に出たんです。それがちょうど6年前くらいですね」

旅に出て、仕事もやめてしまうほどの熱量!

好きなものができたから、休みの間にその産地に足を運んでみたということ。結果、みるみるかつおに魅了されてしまい、なんと仕事もやめてしまう。

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「かつお節の勉強が本当に面白くて。旅をしていると、必ずそこで生魚のかつおそのもののことにもなりますよね、一緒なので。釣られたかつおひとつでかつお節の味は変わってきたりするので。かつお節のことを求めていると生魚のかつおもどんどん好きになってきて。二人は一つだし、どっちかとは選べず。お店オープンするまでは旅をしてたんですよ、“回遊”して日本全国津々浦々。北は気仙沼から南は宮古島まで、太平洋側全部、自腹で!」

「始めた時も母はどうせ続かないだろうって思っていたらしいんですが」というが、好きが高じてお店まで出してしまったのだから、その本気度がうかがい知れる。当時の友だちに会うと、驚かれるのだとか。

「自分がかつおのことをやり始めてから大学の友達と会ったりもしますけど、女の子で色々やってる子達と情報交換したりとかもします。あと元々夜遊びでクラブが好きだったので誰かがライブするとかDJするっていうときはチルアウトしにいったりもしますし、そういうところでも聞かれますけど、やっぱり熱く話しちゃいますね、かつおのこととなると」

真逆の生活。好きなものに情熱を傾けるということ

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OL時代の生活とはガラリと変わり、朝も4時起床の日々。「違う人になってしまったようだ」なんていわれることもあるけど、願ったり叶ったり。それもこれも、本当に打ち込みたいテーマに出会えたから。ある意味すごく羨ましいし、そこまで熱を上げられるものに出会えた人はきっと少ないに違いない。

「自分が伝えたいのは、かつお節を当たり前の日常生活の中で美味しく、選びながら楽しんで食べてもらうっていうことで、そこにずっと変わりはないんです」

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まず冷めることのなさそうなかつおちゃんのかつお熱を味わいに、ぜひ一度お店に足を運んでもらいたい。そこには、きっとまず後悔しない体験が待っている。

撮影:yoshimi

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