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菌をコントロールすると、もっと綺麗になる。-「KINS」代表 下川穣(後編)

菌のサブスクを始動し、美容業界を中心に話題を集めている「KINS(キンズ)」。後編では菌をコントロールすることで、実際にどんなことが期待できるのかを聞く。菌は体の外側も内側に対しても、さまざまなメリットがあるようだ。

菌がもたらす「良いこと」

ーー前編で「現代人の環境は、菌にとってブラック企業状態」という衝撃的なお話があったのですが、菌ケアを生活に取り入れるとどんなことが起こるのでしょうか?

下川:
歯科医だった僕が、とあるきっかけで口腔内フローラや腸内フローラを専門に扱っているドクターになり、さまざまな論文を読み込んで知ったのは、腸も皮膚も口も、健康や美容までも実は菌が司っているということでした。

ーー全てですね。

下川:
そこで僕なりに菌ケアをして、菌をコントロールしたことで当時、2年間ほど悩まされていた慢性的な下痢が治って。そして同時期に出始めていた花粉症の症状も落ち着き、その後症状も出ていません。さらに脇腹を中心にひどい乾燥肌だったんですが、それも落ち着きました。もちろん、個人差はあるので一概にはいえない部分もありますが。

ーーでも、すごいですね。

下川:
ちょっと話は逸れますが、アメリカにいる先住民族でアーミッシュ族という部族がいます。彼らは家畜を飼いながら生活していて、常に動物が身近にいる。それは一見、汚い環境のはずなのですがアレルギーを持っている人の割合が、先進国の人々に比べて1/20という事実もあります。それは菌まみれの生活をしていることが関係していると言えます。

得られる効果は一石五鳥?

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下川:
現在、昔に比べて人々の皮膚の細菌の数は、進化の過程で1/3まで減ったと言われていますが、ちょっとしたきっかけからでもよいので菌に着目し、コントロールできれば、菌の大切さを実感してもらえると思います。

ーーちょっとしたきっかけ、というと?

下川:
そうですね、例えば肌荒れをきっかけにサプリを始め、コンシェルジュと二人三脚で食生活や生活習慣を変えていくとします。そして菌がきちんと根付くと毎朝の目覚めが良くなり、日中のイライラが軽減され、女性の場合は気づいたら生理痛が軽くなっているかもしれない。さらに花粉症など、アレルギーの症状が出なくなったという方もいらっしゃいます。
一番わかりやすく効果を感じられるのは便通です。便秘が解消され、睡眠の質が向上し、生理前のゆらぎ肌がなくなったりする例もあります。

ーーきっかけは肌荒れでも、身体全体が健康になるなんてすごい! 菌をコントロールすることで眠りの質まで向上するとは知りませんでした。

下川:
普通に暮らしている中ではあまり馴染みがないかもしれませんが、「腸脳相関」という言葉がありまして、文字通り、腸と脳がお互い密接に影響し合うことを言います。

ーー腸と脳ですか。

下川:
ホルモン分泌というと脳で起こっていることのように思われがちですが、実は菌がたくさんいる腸も大きく関わっているのです。例えば、睡眠に必要なメラトニンというホルモンがあります。そのメラトニンの成分となるセロトニンという物質、通称「幸せホルモン」と呼ばれたりもするのですが、そのセロトニンの90%を作っているのが実は腸なのです。

ーーへぇ、そうなんですね!

下川:
その他にもストレスを下げる効果のあるGABAというホルモン、そのGABAは60%が腸で作られています。さらに男性ホルモンと女性ホルモンのバランスも腸が関与している。腸をケアすることで、女性ホルモンが分泌されシミやシワが消えたという事例もあります。

菌をコントロールすると、家族単位で幸せになる

ーー「腸は第二の脳」という言葉が浸透していますが、まさにそれですね。私自身、出産後にホルモンの影響を日々感じていたのですが、それが腸とも直結していたとは。人体はホルモンの影響を多大に受ける、そのホルモンを司っているのが腸と脳であり、腸は菌によって守られ、機能している。そこに気づくと、菌への見方は大きく変わります。

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下川:
そうなんです、こうして菌がもたらす影響を聞くと、少しでも意識は変わるかと思います。「KINS(キンズ)」は、パッケージやキーヴィジュアルなど、スタイリッシュに作っているのですが、それは女性の方々に手に取っていただきたいという狙いがあります。なぜなら、菌ケアで切っても切れない食生活、それを家庭などで管理しているのは女性だからです。

ーー確かにそうですね! 菌ケアを意識した食事を自分だけでなくパートナーや子供たち、家族と楽しむことで、家族単位で健康になれるという。

下川:
女性は美容という観点から、すぐにメリットのある菌ケアを実践しつつ、健康体になることで予防医療への意識も自然と高まってくる。急に「予防医療」という言葉を出しましたが、実はそんな狙いもあって。何か病気の症状が出てから病院や薬に頼るのではなく、その前に菌を定着させてバランスを整え、そもそも病気にならない身体を作る意識改革になればと思います。

ーー美容からなら、取り入れやすそうではあります。

下川:
どうしても忙しい日常で先を見越して、何か大げさなことを実践するのって、難しいですよね。でも日々の積み重ねで菌をコントロールすることを、家族単位から更に国民単位まで実践できるようにするというのが僕たちの目指す理想です。だからまずは菌のコントロールが当たり前になり、やっていない方が少数派と言われるようになれば良いと思っています。

ーーとても壮大なお話まで聞けましたが、菌への考え方はインタビューの前と後で大きく変わりました。早速できることから取り入れていきたいです。

第3回につづく)

文:松倉和華子
撮影:河野優太

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