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銀座のお店…春枕 …https://www.harumakura.com 春の苑 紅にほう 桃の花 下照る道に 出で立つをとめ…一日一組様 完全予約制…

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春枕…あちら側へ…

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    第32夜◇天地(あめつち)の中にみちたる草木まで~吉田兼邦

    「木そのものが、神様だから。」 そう言ったのは、ひとりの宮大工さんでした。 ただ、目の前の木と向き合って、どうかその個性を、生かしてあげられますようにと、手をかける姿は、祈りのように見えたのでした。 木は生きているから。 立ち木のときは生き抜くため、伐られてからはもう一度活かされて、生きようとする意思があるから。木に問いかければ答えてくれる、なんども問いかければ絆ができる。 ただ一つの命の前に、ひざまずいて手を合わせる。 そんな心持ちで造られた木造建築には、人をやわらか

    第32夜◇天地(あめつち)の中にみちたる草木まで~吉田兼邦

    昨日うぐいすの声をきいた。今日はごうごうと嵐の音がする。春がきている嬉しさより、冬が遠のくさみしさの方が、すこし大きいけれど…おとで感じる季節のうつろい。この冬も、心に残るいろいろなことがあった。気をつけていってね。

    昨日うぐいすの声をきいた。今日はごうごうと嵐の音がする。春がきている嬉しさより、冬が遠のくさみしさの方が、すこし大きいけれど…おとで感じる季節のうつろい。この冬も、心に残るいろいろなことがあった。気をつけていってね。

    春宮会◇萩焼◇十四世 坂高麗左衛門窯 訪問

    色とは、森羅万象そのものである。 萩焼を前にすると、いつもこのことばが思い浮かぶのです。ある特定の大地でもなく、空でもなく、もっと色々なかたちができあがる前、もしかしたら世界はこんな色だったのではないか、そう思わせてくれる色。造形すら色になる。色こそ、萩焼の魅力であると、わたしは思うのです。 そんな萩焼の始祖であり、当代で十四世、四百年以上にわたり受け継がれている、坂高麗左衛門窯を訪問してきました。 青もみじに囲まれ、美しく掃き清められたアプローチを抜けると、竹林を背にし

    春宮会◇萩焼◇十四世 坂高麗左衛門窯 訪問

    第31夜◇秋の野に人まつ虫の声すなり~よみ人知らず

    朝は落花を踏み連れだって出かけ、 夕には飛鳥にしたがって共に家へかえる。 そんな家族と、友人と、大切な人と、いつか別れるときがきて、ひとりぼっちになったら、松虫の声をきいて、いつか待っていてくれた誰かを、誰かとすごした時間を、思いだせるかな。 鳴き声がするほうに、あの人が待っているかもしれないから、行ってみよう。姿は見えなくても、待っているかもしれないから。 長い間わすれて過ごしたとしても、こんな秋の夜は、松虫の声をたよりに、尋ねてみよう。いつか失くした愛しいときも、こ

    第31夜◇秋の野に人まつ虫の声すなり~よみ人知らず

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    クリア江戸切子◇小林淑郎先生◇至高のハンドカット

    クリア江戸切子◇小林淑郎先生◇至高のハンドカット

    第30夜◇桜散る木の下風は寒からで~紀貫之

    今日、はらはらと舞い散る桜をみて、 「あぁ、空に知られぬ雪…」とこの歌を思いました。 花という、春に降る雪があり、 雪という、冬に舞う花がある。 花を見て、それはただ花であるけれども、 それはまた雪でもあり、そもそも花と雪の境目など曖昧なものだと思うのです。 散る花びらを見て、 花であり、また雪であると思うことで、花と雪をやわらかく糸でつないだ真ん中あたりへ…ふと意識が解放され、いずれの言葉にも属さない、ただ光の中で舞うなにものかと、ほんのいっとき通じ合うことができるよ

    第30夜◇桜散る木の下風は寒からで~紀貫之

    初冬の夕暮れ

    初冬の夕暮れ

    第29夜◇過ぎぬれば我が身の老いとなるものを~肥後

    桜の木の下で、さめざめと泣いている人がいました。 不思議に思って訳をたずねてみると、「花が咲いたらまた少し別れが近づいてしまいます。どうして涙を流さずにいられましょう…。」と言うのです。なるほど、もっともなことだと思い、「そのお話し詳しくお聞かせください。」と…。 こんな光景が思い浮かびました。 生きることは不条理であると思う。 迎えた春はまもなく過ぎてしまい、いつとも知れぬ、わが身との別れ、愛するものとの別れ。そんな悲哀を抱えて、憂いを感じずにいられようか。 桜の花

    第29夜◇過ぎぬれば我が身の老いとなるものを~肥後

    ご紹介ありがとうございました♡ユリさん

    ご紹介ありがとうございました♡ユリさん

    ご紹介ありがとうございました♡chihayaさん

    ご紹介ありがとうございました♡chihayaさん

    第28夜◇年のうちに花は咲きけりひととせを~在原元方

    数年ぶりの寒波により、凍える日が続いておりますが、わが家の裏にたつ梅が、初めて年のうちに開花しました。 周りの木々は、まだ色づいた葉が落ちきらぬなか、紅白の梅がぽつらぽつらと咲く様子は、まるで季節が錯綜し、ゆらめいて、愛おしくも時があいまいになったような光景です。 行ききらぬ秋、雪降らぬ冬、春の訪れと呼ぶにはまだ早く、時の流れがたわんだような梅の下で、花を見ながら心に浮かんだのは、年のうちに 春は来にけり ひととせを…という古今和歌集の巻頭歌。 春を花に、来るを咲くにと

    第28夜◇年のうちに花は咲きけりひととせを~在原元方

    第27夜◇行き暮れて 木の下陰を 宿とせば~平忠度

    行き暮れて 木(こ)の下陰を 宿とせば 花や今宵の 主ならまし (意訳:行くうちに日が暮れて、この桜の木の下を宿とするならば、花が今夜の主となってくれるでしょう。) 平忠度 平家物語 国立能楽堂にて、塩津哲生さんがシテを演じられた「忠度」を観て参りました。最終場面では涙が止まらず、死生観をゆさぶられる体験となりました。 人は死にたいして、恐怖や悲しみの更に奥深くには、本能的に土へ帰ってゆく安らぎのようなものがあるのかもしれません。花が枯れ、葉が落ちること、それは一つの

    第27夜◇行き暮れて 木の下陰を 宿とせば~平忠度