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春宮会◇萩焼◇十四世 坂高麗左衛門窯 訪問

色とは、森羅万象そのものである。
萩焼を前にすると、いつもこのことばが思い浮かぶのです。ある特定の大地でもなく、空でもなく、もっと色々なかたちができあがる前、もしかしたら世界はこんな色だったのではないか、そう思わせてくれる色。造形すら色になる。色こそ、萩焼の魅力であると、わたしは思うのです。

そんな萩焼の始祖であり、当代で十四世、四百年以上にわたり受け継がれている、坂高麗左衛門窯を訪問してきました。

青もみじに囲まれ、美しく掃き清められたアプローチを抜けると、竹林を背にした日本家屋に迎えられます。初めてお会いする当代は、すっと切れ長の目が印象的な、未だお若き青年。しかしながら、端正な佇まいと、言葉の端々から感じられる気品は、背負う者、選ばれし者の美しさなのでしょうか。

歴史ある窯を見守り続けた、光や風や山々が、たしかに喜びをもって祝福していました。

再来年、2024年から、京都高島屋さんをはじめとして、襲名披露展が行われるとのこと。その麗しい目にうつる世界を、瑞々しい感性で、存分に表現してくださるでしょう。