「より良い自分」になろうとしてはいけない

「努力してより良い自分になろう」

こんなフレーズを一度は耳にしたことがあるだろう。

少年ジャンプの「友情・努力・正義」の世界観は多くの人々に感動を呼び、努力して成果を出すことやより良い自分になろうとすることは善だとされている。自分を変えたいと思って日々行動する人たちも素晴らしいと感じ、共に伴走したい気持ちになることもある。

しかし、時にはそのより良い自分を目指す思考が、自分を苦しめる原因になってしまうこともある。理想とする自分と現状の自分を比較し、どうして自分の人格はこんなにも歪んでしまったのだろうかと考えることで、落ち込みや劣等感を自分自身に植え付けてしまうことがある。

そんな時、偉人の言葉を思い出してみると良い。

アルベルト・アインシュタインは、

「過ちを犯さない唯一の方法は、何もしないことだ」

と言ったことがある。

この言葉は、挑戦することや失敗しても立ち上がる時、レジリエンスを高めたい時に役立つだろう。

つまり、自分の良い部分も悪い部分も全てが自分の一部であり、その両面があるからこそ他人が好きになれるのだということを思い出してほしい。

そして、自分に対して優しさや慰めの言葉をかけてみることが大切だ。他人に対してなら簡単に言える慰めや励ましの言葉を、自分自身にもかけてみよう。自分を許すこと、受け入れることで、心に余裕が生まれるはずだ。

結局、自分は自分にしかなれない。

理想の自分になるために努力することは素晴らしいが、その前に現状の自分を受け入れ、自分に対して優しい気持ちを持って生きることが大切だ。

そうすれば、自分を愛し、他人との関係も深まるだろう。そして、自然と心から努力し、成長していくことができるのではないだろうか。