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ミックスルーツを持つ子の話 (創作)


『何あの私はあなた達とは違いますよ、みたいな感じ』
『ハーフでちょっとかわいいからって調子に乗ってるんでしょう』


わざと耳に届くように話す悪口は質が悪い。あと五分で昼休みが終わる。転校当初はちやほやされていたけれど、今は真逆の態度をとられている。それもこれも全部私がミックスルーツだからだ。


世間一般のミックスルーツのイメージはハーフで、優秀、語学堪能、容姿端麗で、一目を置かれる存在と言う感じ。


私はフランスにいる間も日本語の学校に通っていたから、日本語しか話せないし、容姿も普通だ。フランスにいた期間も短い。だから、私は自分のことをほとんど日本人だと思っている。


だけれど、私は見た目がフランス人の要素が入っているというだけで、純粋な日本人から一線を引かれる。


最近はハーフと言う言葉に違和感を持つ人も増えてきたけれど、その考えは日本では浸透していない。


ハーフという扱いに飽き飽きしているし、それに応じるのも疲れた。一人でいる方が楽でそれを選んだら、ハーフだからすかしていると思われる。


フランスにいても、フランス語はしゃべれないし、日本にいても見た目だけで、疎外感を感じる。


私の居場所はどこにあるんだろう。



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