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【観戦記】北海道コンサドーレ札幌U-18 プリンス優勝!見据える視線は2015年以来のプレミア復帰のみ

2021年10月3日

高円宮杯 JFA U-18
プリンスリーグ北海道2021の最終節を取材した。

対戦前に順位こそ確定していたが、
1位北海道コンサドーレ札幌U-18 対 2位旭川実業高校

道内屈指の好カードだ。

コンサドーレは夏のクラブユース選手権で全国準優勝を果たすなど、北海道では圧倒的な実力を誇る。

しかし、今シーズンの公式戦における3敗の中の一度はプリンスリーグ第6節・対旭川実業に喫している。
※残りの2敗は横浜F・マリノスと名古屋グランパス

また、昨年のプリンスリーグでも旭実には苦杯をなめているだけに何としても勝利し、道内での戦いを締め括りたい。

集合

コンサドーレのスタメンは以下の通りだ。

先日、プロ契約を果たした西野奨太の帯同がどうなるか気になるところだったが、この日はスタメン出場。

今後はトップチームで活動を続けながら、先々のプレーオフではユースチームに合流することになりそうだ。

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北海道コンサドーレ札幌U18のスタメン

442

キーパー
1逢坂文都(おうさか あやと)

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ディフェンスは右から
7菊池季汐(きくち きせき)

菊地2

5西野奨太(にしの しょうた)

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4川原颯斗(かわはら はやと)

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31鈴木琉世 (すずき りゅうせい)

鈴木

中盤2枚のボランチが

25小沼昭人(おぬま あきと)

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8砂田匠(すなだ たくみ)

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両サイドハーフが

9瀧澤暖(たきざわ だん)

瀧澤3

11千田悠貴(ちだ ゆうき)

千田

FW

10佐藤陽成(さとう ようせい)

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15漆舘拳大(うるしだて けんた)

漆立2

試合の振り返り

試合は旭川実業の激しいアプローチも相まって、一進一退の攻防で推移。

5分 札幌自陣で川原が転倒してしまい、ボールを失うと、それを奪った旭実に決定機が生まれかけるが、CBの〝相棒〟西野がすかさず、スライディングでカバーし、ピンチを救う。

序盤こそ、向かい風と相手の激しい球際に苦戦していた、札幌だが川原・西野・砂田を中心とした中央での球の出し入れから、徐々に流れを掴む。

11分 1年生ボランチの小沼のインターセプトから、右サイドバックの菊池に展開。菊池の精度の高いクロスにこの日はサイドハーフで先発した瀧澤暖が頭で合わせるも、惜しくもゴールとはならない。

瀧澤2

徐々に札幌の流れでゲームが推移すると、前半16分に先制ゴールが生まれる。

漆舘拳が見事なオフザボールの動きで抜け出す。

その一連の流れを相手DFが何とか掻き出し、ボールは左サイドへこぼれるが、この日、左サイドバックでスタメン・鈴木琉世のクロスを瀧澤暖が頭で合わせる。

漆舘の巧みなボールの呼び込み、鈴木の左足の精度、瀧澤のゴール嗅覚が
揃って生まれた、見事な先制ゴールだった。

瀧澤先制

その後、飲水タイムを挟み戦い方を整理すると、佐藤・瀧澤・漆舘の3人を中心に札幌攻撃のギアが一層上がる。

佐藤砂田

佐藤・瀧澤・漆舘にそれぞれ、決定機が生まれた直後の前半31分
この日、右サイドハーフで起用された瀧澤のクロスをFWの佐藤陽成が押し込み、追加点!

今シーズン、ポジションが反対なことも多かった両者だが、監督の采配に見事に結果で答えた。

2点目

後半に入っても札幌の攻勢は止まらない。

瀧澤の見事な突破からペナルティエリアに侵入すると、佐藤がシュートを放つ。そのこぼれ球のクロスをボランチから駆け上がったキャプテン砂田匠が押し込み、追加点!3-0

ここから札幌はメンバー交代を進める。

後半11分
西野奨太・小沼昭人OUT
23赤須真登・3佐々木奏太IN

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佐々木5

後半22分
鈴木琉世OUT
6逢坂大翔IN

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後半30分
千田悠貴・漆舘拳大OUT
14中村香紀・37瀧澤天IN

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瀧澤天

札幌はメンバーを変えながらも攻めの姿勢を貫き、チャンスを創出した。

中でも得点に飢えていたのが、この日1ゴール1アシストをあげるだけでなく、キレキレのパフォーマンスで幾度もチャンスに絡んでいた瀧澤暖だ。

今大会で積み重ねた得点は9ゴール。

大会得点ランクトップに位置する北海道大谷室蘭の川上航の10ゴールまで後1ゴールに迫っていたのだ。

試合後に「めちゃくちゃ狙っていました」と笑顔で振り返ってくれたが
試合中に「あと1ゴール」と宣言すると、その後も血気漂わせゴールに迫った。

瀧澤

瀧澤暖がバイシクルシュートを放ち、ゴール間際で相手DFに防がれた場面ではムードメーカー川原颯斗から「決めてーーー」と𠮟咤も受けた。

また、途中出場した瀧澤天がボールを持つと、絶妙なタイミングで裏に抜け出し「天ーーー!」と〝暖〟が〝天〟を呼び込み場面も。

アディショナルタイムにも佐藤のクロスに瀧澤暖が飛び込む好機もあったが、惜しくも更なるゴールとはならず。

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その後、自陣でのミスとPKから失点を喫してしまし、3-2と追い上げられるなど、試合の締め方には課題も残したが、得点はいずれもファインゴール。

道内最終戦を見事、勝利で飾った。

プリンスリーグ北海道2021成績

今シーズンのプリンスリーグ北海道での成績は以下の通りだ。
成績
14試合13勝1敗(優勝)
43得点 7失点

得点者
瀧澤暖9
漆舘拳太7
佐藤陽成5
千田悠貴5
砂田匠3
菊池季汐2
小沼昭人2
西田将也2
川原颯斗2
久保田琳太
出間思努
鈴木颯
西野奨太
久保島健晴
オウンゴール

大会を通し、攻守の軸の佐藤陽成と西野奨太が欠場することも多かったというが、チーム総力戦でしっかりと結果を残した。

佐藤

ここからは、例年であれば、10月-11月に掛けて、冬の全国大会・Jユースカップもあったが、今年度より大会レギュレーションが変更。17歳以下の選手がベースのメンバーとなっている。

また、今年度はノックアウトステージも中止となっており、従来とは、立ち位置も異なった大会になっているようだ。

そうなると、ここから見据える目標は全国の猛者と年間を通じて戦えるプレミアリーグイーストに復帰することの一点になる。

北海道コンサドーレ札幌U-18は2015年にプレミアリーグに降格してしまうと、その後、復帰を果たせず6年が経過している。

プレーオフ結果
2016 1回戦VS明徳義塾 3-1 WIN (菅大輝 野上誠 濱大耀)
             決勝VS米子北     0-1 Lose

2017  1回戦VS帝京長岡 3-1 WIN (佐藤大樹 野上誠 藤村怜)
             決勝VS名古屋グランパスU-18 0-2 Lose

2018 プレーオフ出場できず(プリンスリーグ2位)

2019 1回戦VS米子北 1-0 WIN (本間洋平)
              決勝VS横浜F・マリノスユース  0-1 Lose

2020  開催されず

プレミアリーグに復帰することの意義

2020年から指揮をとる森下監督もプレミア復帰に対しての並々ならぬ思いを語る。

「プレミアに戻してあげることが僕の使命だと思っている。あの強度で年間通して戦えるか否かは選手の成長スピードもそうだし、評価基準も大きく変わる。何とか戻してあげたい」

現在、トップチームで活躍する荒野拓馬・深井一希・高嶺朋樹・ 菅大輝らもこの大会で高校年代から、全国の強豪と戦ってきた。

先日、高校2年生の西野奨太の飛び級でのプロ契約締結が発表されたが、現高校3年生からの今季のトップ昇格は見送られる方針だ。

既に多くの選手の進学先も定まってきているが、クラブユース選手権での準優勝の効果も大きく、大会での躍進を通じ、進路先の選択肢が広まった事例も多かったという。

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また、先輩たちの紡いだ軌跡も後輩たちの道の一つとなっている。

現在、トップチームでも活躍する高嶺朋樹と大学時代に対戦したある学校は
「当時の高嶺選手の振る舞いが素晴らしくて、印象的だった」との理由でコンサドーレユースからの選手の受け入れをしたいとの申し入れがあった。

コンサドーレのアカデミー選手が紡ぐ素晴らしい歴史継承の一つの事例だろう。

2021年チームのキャプテンも務める砂田匠も、全国の舞台で戦うことの大きさを実感した一人であり、その晴れ舞台を後輩たちに残すつもりだ。

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「夏のクラブユースで全国の強豪と沢山戦えたおかげで大きく成長できたと思います。今、プリンスリーグで戦っていても以前より余裕を持って、プレーできている。あの経験は本当に大きかったなと実感しています。

今年のチームは自分たちでも本当にいいチームだと思います。

仲が良いけど、スイッチを入れたらしっかりと切り替えることもできる。

だからこそ、最後しっかりと結果を残して、来年、後輩たちにいい舞台で戦わせてあげたいですね」

監督も絶大な信頼を寄せるDFリーダーの川原颯斗も何が何でもプレミア復帰をもぎ取る気持ちでいる。

川原

「とにかく勝つだけです!!最後負けてしまってはここまで頑張ってきた意味がなくなる。絶対にやります。でも僕がいたら大丈夫だと思います」

西野奨太に注目が集まりやすい今年の守備陣だが、キャプテンの砂田匠と川原颯斗の3年生コンビが後ろの中央に控えて、バランスを取っているからこそ、絶妙に機能しているとも感じる。

監督も彼らのことを頼りにしている。

「匠はコツコツとやるべきことを続けられる。大成したら一番になるかもしれない」

「颯斗はお調子者だけど、本当にクレバー。物もしっかりと言えて、チームに不可欠な存在」

河原西野

大会のレギュレーションや対戦相手・日程などは現時点でまだ、分かっていない。

ただ、一つ分かっていることがある。

今年の北海道コンサドーレ札幌U-18は外から見ていても本当にいいチームだということだ。

だからこそ、最後も笑って終わって欲しいと強く思うし、きっとやってくれるだろうと思う。

3年生が中心となって、チームを引き締め、頼りになるチームメートたちと共に悲願のプレミア昇格をもぎ取ってくれるはずだ。

今からその瞬間が待ち遠しい

みんな頑張れ!!

そして、頼むぞ!!!

集合3






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