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のんびり歩こう。

親友っていいよね。

どこか遠くに行きたいな。
自然に触れたいなぁ。
音楽を聴いて、絵も描きたい。

ふとした思いつきで、週末に一人で旅でもしようかとネットサーフィンしていると、
ふくちゃんから連絡がきた。

「ねえ、遠出しない?」

うわ、ちょうどいいなとか思いながら、
「私今、芸術に富んだことしたい欲があるんだよね笑
絵とか描いたり…」と言ってみる。

「え、やりたい!絵描こう!」

こうして私は、週末にふくちゃんの別荘に二人で芸術旅(?)に行くことになった。
しかもこれ、決まったの二日前。
親友っていいなってこういうときに思う。

身軽な私。

私は最近、彼氏と別れたし、あんなに頑張っていた部活も辞めた。未練もない。
つまり今の私は、すごーーく身軽なのだ。
だから、今ならどんなところでも行けるしどんなことでも吸収できる。

今回のnoteは、忘れていた幸せを思い出せたので記録として書いていこうと思います。

let's芸術旅!

ふくちゃんの別荘は群馬にある。
私たちは免許もないので、電車で三、四時間かけて別荘へ向った。

道中、最も印象的だったのは
"わたらせ渓谷鉄道"だ。

わたらせ渓谷鉄道はパスモやスイカが使えないため乗ったらまず、整理券を取る。
何駅が乗っていると車掌さんが乗ってくるので行き先を伝え、精算する。
初めての体験に胸を弾ませながら車掌さんから整理券と引き換えにチケットをもらった。

鉄道の窓の外には一面に自然が広がっていた。
この日は天気も良くて、
まだ5月なのに夏みたいに木々へ日差しを届けていた。
渓谷を見ると、太陽の光を反射させながら存在を主張している青くて透明な川が流れている。

こんなにゆっくりと自然を眺めたのはいつぶりだろうか。
うーん、
こんなに心に余裕があるのはいつぶりだろうか。の方が正しいかも。

気付かぬうちにノンストップで日々を過ごしていたんだなと実感する。

ふくちゃんとは、会うのが久々だったので近況報告だけで三、四時間はあっという間に過ぎていった。

虫退治!

鉄道から降りると、木造の駅舎が待っていた。
周りにはピンクや黄色のお花が咲いていて、木もたくさん並んでいた。
まさに絵本の中の世界のようだった。

「ついたぁ!」
長旅だったと言うこともあり、
身体はへとへとだったが、ぐっと伸びをすると
心地いい疲れに感じた。
解放感とはこう言う感覚だと思う。
太陽の光が眩しい。

駅から少し歩いたところに別荘が待っていた。
別荘で最初にやるべきことといえば、大量の虫の死骸を片付けること。
これは覚えておいた方が良い。
かなり、気持ち悪いから!
入った瞬間から、床にはてんとう虫やらカメムシやらがひっくり返っていた。
まぁ、虫は苦手ではないのでギリセーフ()
それでも、2人でワーワー騒ぎながら死骸たちを箒で集めて、掃除機で吸い取って、を繰り返しなんとか綺麗になった。

「よし!じゃあ、絵を描きに行こう!」

let'sお絵描き!

絵の具セットと椅子を持って、
駅周辺をジブリメドレーを流しながら、
絵を描くポイントを探した。
でもやっぱり、鉄道の見える駅の中で絵を描くことにした。

私たちは高校2年の時に出会った。
最初は佐々木さんとか呼んでた。
ふくちゃんは私のこと宵ちゃんって言ってたのに。意味わかんないけどあるよねそういうの。
高校では勉強も遊びも何もかも一緒に過ごしていたから、お互いのことは大体わかるし、
高校の思い出はふくちゃんのことしかない。
大学は別々なので、会う頻度はすっごく減ったけどワンシーズンに一回は会えてた。
今日もそういう一回だからとっても大事。

2人とも絵にはちょっと自信があるって言うのもあるし、高校の時に美術の授業で買わされて絵の具セットを持っているのも知ってた。
だから、芸術旅はすぐに決まった。

絵を描き始めると、ずっと喋っていた人たちとは思えない静けさで時を過ごした。

日が落ち始めると冷たい風が私たちの間を通り過ぎた。
時計を見ると描き始めてから2、3時間が経っていた。
はぁ、なんて幸せな時間の使い方なんだろう。
2人して伸びをしながら、

「そろそろ帰ろっか。カレー食べよ〜」

そうと決まれば別荘へGOだ。

私に関しては全く絵を描き終えていなかったが、それくらいラフな芸術旅ということで、よしとする。

夜ごはん。

本日の夜ごはんは、カレーライスにちょこっとピザを用意した。

来る途中の駅で、カレーに使うルゥ、じゃがいも、にんじん、タマネギ、胸肉、それに焼くだけのピザ、夜のお菓子とお酒を少々買っておいた。
今日のところは、めんどくさいから全部カットしてあるやつだけどね。

まずキッチンでお米を研ごうかと思ったら、水道に得体の知れない虫がたくさん死んでた。
盲点だったぁ。
私たちはまたまた大騒ぎで片付て、食器やら料理道具を洗ってご飯の用意を始めた。

そのあとは問題なく、お米を炊いて、カレーを完成させた。
オーブンもちょうど準備が整ったので、
「ふくちゃーん、このお皿耐熱?オーブンかけるよ〜?」

「耐熱!だいじょぶー!」
ピザをセットして、先にカレーとお酒を机に並べた。

せーーーの、小学生のようにぱちん!と両手をあわせて、
「いただきます!!」
なんだか移動教室に来たみたいだった。

出来合いのものたちを詰め込んだカレーは、そりゃ美味しいんだけど、やっぱり2人で作って一緒に食べれるって幸せ。
私はじんわりと幸せを感じていた。

「「バンっっっ!!」」

「え?、なんの音?笑笑」
「割れたよね、てか爆発したよね?」
2人で走ってオーブンに向かう。
開けるとびっくり、お皿は粉々だった。

「耐熱じゃないじゃん!!!」
全力でつっこんだ。
「てへっ」とふくちゃん。

そういうことを一か八かで言うなよとか思うんだけど、なんかなんでも面白かった。
お皿が割れただけで済んだのは不幸中の幸い。

ピザをオーブンから救い出して、またご飯を再開させた。
それからは、本当に他愛もない話を延々としてた。
お風呂に入って、布団を敷いて、そういえば星綺麗なんじゃない?ってふと思いついて外に出てみた。

空は紺色よりもっと濃くて、でも確実に青が入っているそんな色をしていた。そして、この青が小さな星の数々の輝きを際立たせていた。

心なしか、キラキラ揺れているように見えた。
しばらく音を立てることなく星を眺めて、寒くなってきたから部屋に戻った。

今日は寝るの気持ちよさそうだね。
おやすみ。

おーわり。

こんな感じで芸術旅はおわり。

ここ数年の私は、何かに追われているかの如く走り続けていた。
どんなことも全力で取り組めるのは私の良いところだ。でも、長所は行きすぎると短所になってしまう。
私は知らぬ間に行きすぎて、自分を苦しめてしまってた。どんなことにも限度はある。一旦止まってもいいんだ。
もう走るのも疲れたし、もっと視野を広げて、のんびり歩いていきたいな。

私は、これから何を頑張ろうか。
そんな答えのない問いを自分の中で持ちながら、日々の幸せを噛み締めていきたい。
なんでもない日常を友達と過ごせる幸せ。
社会に出たらそんな頻繁に幸せなんて感じられないのかな。
でも、自分が幸せを感じられる環境を少しずつ見つけて行けたらいいな。
少なくとも私にはふくちゃんっていう強い味方がいるしね。


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