夜、オーケストラ、インマイルーム。

翌7時まで徹夜した。その時のことについて。

テレビがずっと鳴っている。我が家ではそう。
人が眠っている数時間以外はずっと、朝昼晩。
オフタイマーにちょっとだけ憧れてしまった。
残り10分、5分、、4、3、2、1、就寝。
てな具合で寝れたらどんだけ楽か。嫌だ嫌だ。

てかテレビって、テレビの中の人たちってさ。
いつ寝てんの。とか思うけど、それはきっと、
ローテンションして、入れ替わって、まるで、
ちょうどダイヤルのように、頭の中のように、
回っているんだろうから心配することはない。

国歌がきこえる。
今夜がはじまる。
戦争はなくなる。

人って、たったのこれだけしか寝てないのに。頑張りすぎだって、ちょっと、えらすぎるよ。家の中の調和が、とても良い状態で保たれる。
かげろうの羽が滑るような音がすいいと続く。
果たして外耳自身による音かどうか、知らぬ。

ガスがしゃあと走る音がした、隣人の気配だ。
自分はというと、ただ後頭部を枕に押し付け、
死にたいときほど生きてしまうことを考える。
電化製品のような死んでいるようなものほど、
平然とした顔で生きているように思えてくる。

何言ってんだこいつ、と思われるでしょうが、
その夜、家の中がオーケストラ状態になって、
止まないまま朝になったんだってば、本当に。
不定期に鳴る床音、遠くで走るトラックの音、
加湿器の呼吸音、最後は鳥が鳴いて朝になる。

24時間なんて。
区切られてない。
いま自分だけが知っている時間の概念の中に生きている、たとえば今を令和元年12月22日28時とするとか、スプーンとグラスがうっかり鳴った時のあの音の中でおこったこととするとか、土星に降る雪の感触を思い出すとか、そうだ時間なんて所詮はことばだ。

時計を見ると「黒い石」時になっていたが、
てっきり「浮標」時を過ぎた気でいたので、
むしろほっとした。いな、事態は悪化した。
もう考え事も尽きるほど地球の巡回を終え、
様子を見に戻ったところだったのに。はて。

土星の輪が、ぬるぬると回る音がしている。
冷蔵庫がときどき、恋人のように鼻歌する。
それはそれは果てしなく、始まったばかり。
始まりとは実に曖昧だ。終わりがくるまで、
始まりのそれ自体には単位をつけられない。

(それは、単位習得まで何時限いるか不明な大学に通うことに似ている。)

胎児だったころは時間をどのようにして、
感じていたか、その感覚を思い出したい。
ペットボトルが不意にへこみ、つられて、
洗面台に一滴おちる。べこっ、、ぽいん。
ため息をしまい、寝返りを打つ打つ打つ。

夜という指揮者に、あやつられるよう。

ついに、明日のアラームが鳴る。朝。

翌7時まで徹夜した。それだけのことなのに。

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