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ブレるのは、大人の証。 #樹ism

大人になるというのは「だんだん人間が複雑になる」ということです。

表情も複雑になるし、感情も複雑になる。人格の層の厚みが増す。少年のような無垢さがあり、青年のような客気がみなぎり、老人のような涼しい諦念があり・・・・・・というように同一人物中にさまざまな人格が踵(きびす)を接して混在しているというのが「大人」の実状です。

「草食系男子とは何だったのか」内田樹『呪いの時代』

「センセ、ブレてちゃいけないっすねぇ~。」

以前勤めていた学校の同僚に言われた言葉です。

ブログでも書いたことがあるんですが、言われた当時の私は的を射た指摘に「だよね」と思いつつも、「ブレるの仕方ないよね。にんげんだもの。」と内心つぶやいたものです。


ブレない大人になりたい。
若い頃は、ずっとそう思っていました。

自信をもって自説を展開したり生徒に向き合っている同僚を見て、正直に「羨ましい」と思いました。「オレはムリだな」。

同時に、どうしてあそこまで自信満々でいられるんだろう?という疑問もありました。今までよほど人生うまくいっていたのかな?なんて考えると、自分の人生がなんだかチープに感じられて、へこみました。

「一貫性があるのは確かに人の魅力として強力だけど、もしその価値観が覆るような出来事に遭遇したら、あの人はどうなってしまうんだろう・・・」なんて心配したりもしました。


内田さんは、こう続けます。

「他者との共生能力の劣化」ということを問題にしましたが、他者との共生の基礎となるのは、実は「我がうちなる他者たち」との共生の経験なのだと僕は思います。

自分自身の中にある(ろくでもないものを含めて)さまざまな人格特性を許容できる人間は他者を許容できる。

僕は自分を許すことのできる人間だけが他人を許せると考えています。

最後のフレーズは結構堪えます。
というのは、私自身、はるか以前から「自分を愛せる人間しか、他人を愛することができない」という言葉に脅威を感じていたからです(笑)。

恋愛感情に限らず、他者に踏み込めない、逆に踏み込まれることを恐れる人間は、誰も本当の意味で愛せないし、愛されることもないのね(涙)。

長い長い呪縛

そう思うと、ため息しか出ませんでした。

一方で、私が長い間考え続けていたことへの、ひとつの解が示されました。

私がブレブレなのは、目の前の相手に自分の姿を重ねるからです。

教師ですから、生徒の言動にイライラすることはしょっちゅうです。
でも、彼らは「過去の私自身」です。

ろれつの回らない父親と話していてもイライラします。
正しくは(昔、あんなに強かった親父の弱々しい姿を見たくない)という身勝手で非現実的な願望からくるイライラなんですが、目の前の父親は、「近い将来の私の姿」です。

誰もが「かつて来た道」を忘れ、「いつかゆく道」を想像できない。


内田さんは、「大人になるとは、他者との共生能力を徐々に身につけていくプロセス」であると言っています。

それは「他者に耐えること」でも、「他者に感情移入すること」でもなく、「他者の中に自分と同じものを見出すこと」「共通する特性を共有すること」だと言います。

自身の内部に「複数のペルソナ」の存在を認め、それぞれのペルソナを乖離させることなく統合して住まわせること。それが「大人」であると。


いつまで経ってもブレブレの私は、少し安堵しました。

教師に限らず、「ブレた生き方」を自覚している人は、結構つらいものです。

なぜなら、その都度迷ってしまうから。
そして、判断を下せない自分にいつまでも自信が持てないから。

でも。

あの時、冷静に考えてよかった。
よくわからないまま判断しなくてよかった。
相手の表情を見ながら話せてよかった。

ブレているからこそ、大人。

だったら、少しは「大人」になれたような気がします。


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思いつきと勢いだけで書いている私ですが、 あなたが読んでくれて、とっても嬉しいです!