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Lobsterr Letter - 人の感想を経由して、自分と向き合えるニュースレター

Lobsterr Letterというニュースレターが面白い。実は、結構前から登録だけしていたようなのだけど、なぜかほぼ記憶になく他のメルマガと同じように削除してしまっていた。

けど、実際読んでみるととても面白いことに気づいた。

Lobsterr Letterとは?

Lobsterr Letter は毎週月曜日に配信されるニュースレター。無料で登録できる。

主に海外メディアで書かれているものから、面白かったり興味深いものを紹介してくれている。

世の中の肌感覚がわかる

今有料で購読しているのはNewspicksと、デザイン関連だとMediumで、ある程度いろんな情報には触れているつもり。

だけど、いざこのLobsterr Letterを読んでみると、知らないことが多いことに気付かされる。

言葉やトレンドはなんとなく知ってはいるんだけど、「それってそんなに世の中盛り上がってたんだ」みたいな。

たとえば、代替肉の話が最新のニュースレターで語れており、

当時は「代替肉はこれから受け入れられるか?」という議論をしていた。いま振り返ると、大人だけでそんな話をしていたこと自体がナンセンスだったと反省する。人々の価値観の変化は、世代の変化に大きく影響を受けるからだ。
この『Food Dive』の記事では、Impossible Foodsが学校給食への導入に向けて動き出していることが紹介されている。CEOのパット・ブラウン(彼は小児科医としてキャリアをスタートしている)は、子ども向けに商品を提供したいこと、そしてティーンエイジャーや学校に対してプラントベースのライフスタイルや気候危機についての情報を提供したいということを、2014年から語っていた。
(Lobsterr Letter vol.118 : Complicated Boys)

自分は時々興味本位でお店で代替肉を食べるぐらいで、それが「美味しいか美味しくないか」ぐらいしか考えていなかった。

だけど、代替肉をリードしてるImpossible foodsはもうここまで考えてるのか、という、少なくともレストランやスーパーではあまりわからない感覚の違いを知ることは、とても面白い。

筆者の個人的な考えが面白い

このLobsterr Letterを書いてる人たちは、さまざまな記事や本を読んでいる。だから、一つのニュースに対して、他の記事や本で書かれていたことを引用して、新たな視点でそのニュースを紐解いてくれるのが、このニュースレターで一番好きなところ。

たとえば、「フラット化する時間と不寛容な社会」というトピックでは、

最近も、スタンフォード大学在学中の親パレスチナ活動に関するSNS投稿が原因で、AP通信のエミリー・ワイルダーという若い社員が解雇されたことが大きな騒動を巻き起こしている。
社会はますます不寛容になり、反発的、批判的になっている。この記事では、こうした問題は、時間が歪められていることだと分析している。つまり、1年前だろうと10年前だろうと時間はフラット化され、いまの基準で物事が評価されるということだ。
(Lobsterr Letter Vol.115 : Short and Sweet) 

というThe New York Timesの記事が紹介されていた。この記事自体がすでに考えさせられる良記事だと思うのだけど、それに対してこの筆者は

最近読んだ本のなかで、酒類のことを「政治的・社会的理由によりたまたま合法とされている薬物」と紹介している言説に出会った。多くの文化と産業がその周辺に構築されており、もしそうなったら個人的にも残念に思うだろうが、タバコが辿ってきたのと同じように、お酒も映画からも消え、積極的にSNSに投稿するものとしては不適切とされる世界の到来を想像してしまった。
(Lobsterr Letter Vol.115 : Short and Sweet) 

という感想を書いている。

SNSは一度投稿するとそれが未来永劫記録される恐怖、と、酒やタバコなどの娯楽がどんどん規制される未来、という二つの話を結びつけられる知識と感性は素敵だなと思った。

ちなみに前述の記事の「政治的・社会的理由によりたまたま合法とされている薬物」という表現は本当に秀逸だと思っていて、例えばマニュアル運転のガソリン車も数十年後には「地球温暖化を進め、毎年3000人の命を奪う凶器」と言われるようになるかもしれない。

そしたら、「新車納品しました!」というFacebookの投稿は仕事をクビになる理由にされてしまうのも、あながちありえない未来じゃない。

まあ、ここまでわかりやすい話だったら「価値観はアップデートされるのだから、今のその人をみて判断するべき」と冷静に自分に言える気もするけど、でも、

「30年前は男尊女卑してる人多かったから俺もそうしてましたが、今は男女平等の時代なんでやってないです」って自分より年上の人に言われたとして、自分はその人を信じられるのだろうか?、と考えてしまった。

出社していたころは、昼休みにみんなでニュース番組を見ながらその感想みたいなことを言い合ってたりした。けど、今はそういう時間がめっきり減って、ニュースで始まる自分の考え、みたいなものを掘り下げる機会が減ってしまった。

それを、このLobsterr Letterは補ってくれる気がする。会話ではないが、自分以外の誰かがニュースについて考えた記事を目にする。そしてそこから自分がさらに考えてみる。

そんなことができるこのニュースレターは自分にとって結構貴重なものなのかもしれない。


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