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第十章:小人村は大騒ぎ!?7 樫の木庵のマボ-大賢者ニルバーニアと双頭の魔女-(連続小説/児童文学)

また、たき火を囲み、音に合わせて踊る小人の影がゆらめくものですから、何ともいえない幻想的な雰囲気を醸し出しているのでした。小人たちはみな楽しそうにしていますし、そのうれしそうなことと言ったらありません。しかし、マボの気持ちは沈んだままでした。

樫の木庵のマボ(第1巻 全話完結)|遥ナル (note.com)

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ですが、さらに追い打ちをかける出来事がありました。いつのまにか演奏や踊りをぼんやりと見とれていたマボの後ろに小人たちが横一列に整列し、ひざまずいているではありませんか! 

それは、小人村では珍しい7人の戦士たちでした。通常の小人はくりくりのかわいいまなこ、まんまるい赤いほっぺたをして、いつもニコニコしており陽気で人が良い妖精です。無邪気な子供だけではなく、ひげ(たいていは白ひげです)をはやした大人だって、いつでも上機嫌で、かわいらしい顔をして、明るく挨拶をかわすそれは気の良い人達でした。

しかし、戦士小人だけは別でした。いつ、邪悪な者が現れるかしれませんから、常に武器を携帯して、もしもの時に備えているのです。戦士小人はぴったり、一糸乱れず、整然とマボのすぐ後ろに横一列に並んでいます。それぞれがいかめしい黒ひげをはやし、中には眼帯をしているものもあります。おのおの、何らかしらの武器-剣、大剣、斧、槍、弓、刀、棍棒-のいづれかを腰や背中にぶらさげています。その戦士小人のなかでも、橙色の頭巾で頭をすっかり覆った、顔に切り傷があり、何ともいかめしく迫力のあるボバンフールが進み出ると、かしこまって言いました。

「マボ様、どうか我々を弟子にしてください。マボ様のようなご高名のある方と知り合えたこと、まことにうれしい限りです!」
と鋭い目を輝かせています。
「ぼ、僕は、弟子なんて…」
マボは”のみ”がささやくならこうであろうと思われるほど、小さい声で慌てて言いました。

というのも、戦士小人たちは背が低いことを差し引いても、我らがマボ坊やなんかより、何百倍も強く見えたからです。しかし、今の小人たちはマボのいうことは何でも良く取ってしまうのでした。

「ああ、なんていう謙虚な方なんだ! この方こそ妖精の騎士、いや妖精の騎士の中の騎士に違いない!」
と戦士小人の一人か叫ぶと、みんなも大喜びでした。
「いや、騎士の中の騎士では物足りぬ。騎士の中の騎士の中の騎士…つまり伝説の騎士マボ様じゃ!」
違う戦士小人か叫ぶと、さらに大きな歓声が起こりました。
「マボ様、例えマボ様が首を縦に振らぬとも、我が7人の戦士小人は、あなたを師匠とあおぎます。なあ、みんな!」
リーダーのボバンフールがこう言うものですから、戦士小人はすっかり興奮してしまい、携帯している武器を腰や背中から抜いて、振り回すばかりか、中には打ち合う者まで現れました。それは、とても危なっかしく、マボはすっかりドギマギしました。

樫の木庵のマボ(第1巻 全話完結)|遥ナル (note.com)

マボ:5歳の男の子。臆病で控えめだが、優しい子供。家は貧しく、町はずれの傾いた掘立小屋で暮らしている。
モモ:5歳の女の子。おてんば、おしゃべりで元気な子供。施設育ちで、街一、二位を争う金持ちシュールレ奥さんにひきとられている。
ネネ:5歳の女の子。お金持ちの子供で、つんとおすまししたお嬢様。

ニルバーニア:めったに人界に姿を現さない大賢者。若い娘のような顔立ちだが、老婆のような話し方をする。動物(特に鳥族と仲が良い)と話すごとができ、様々な魔法を使うことができる。自宅のログハウスでは、猫のピッピをかわいがっている。

キッチュ:エルフの女の子。愛しのバブバブ坊やを探している。人間の子供を見つけると、虫に変えようとする。
 

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