シャローンの初陣10-サイレント ネオ-ムーン ソング

すると、そこに西門副官のライガ・ノイエが現れた。
騒ぎの中、心ある兵士が独居房に閉じ込められていたノイエを解放したのである。
独居房に入れられる時に暴行を受けたのであろうか、ノイエは血がにじんだ包帯を頭にぐるぐると巻いている。
「撃ち方やめい、撃ち方やめい。貴様ら、何を血迷っているのか!? シャローン様はこれから提督になられるお方、キングダムの宝よ! そのお方に銃口を向けるとは、天につばをはくに等しい!
お前たちはエビル様から受けた恩をもう忘れたと言うのか!? もしシャローン様に銃を向けるならば、まず俺を殺してからにせい!」
ノイエはそういうと、西門の城壁上の一番前にどっかりと座り込んだ。

これには兵士たちもすっかり参ってしまった。
そうして、シャローンもノイエも殺すわけにはいかないと、持っていたバズーカを城門の上から捨ててしまったのだ。
さらに「俺たちはいったいなんて馬鹿なことをしていたのだろう。ノイエ少佐が命をかけてキングダムに忠節を誓っているというのに…俺たちは報酬に目がくらみ、人でなしになるところだった」
兵士たちは我に返ったとばかりに銃をおさめ、代りに西門に集結すると、あっという間に開門したのである
そして、突入してきたシャローンに加わり、基地の中枢にいるシュミットめがけて進軍を始めた。
これに驚いたシュミット。もとから臆病ということもあり、あっさりと西門を捨ててたった一人で逃げ出してしまった。
こうして、シャローンは電撃的に西門の奪還に成功したのある。

シャローンは西門の兵士の罪をとがめず、すべてを許した。
さらに、怪我をしているノイエに面会した。
怪我を顧みないライガ・ノイエの姿を見ると、シャローンは涙して言った。
「ノイエよ、実を言えば私は父を突然失い悲嘆にくれている自分がいた。
しかし、それもここで終わりである。父はいなくなったが、お前のような真の忠臣を余に残してくれたではないか。
ノイエよ、これからも変わらずメルセデウス家とキングダムに力を貸しておくれ」
ノイエはこれを聞くと嗚咽を漏らし涙を流した。
周りを取り巻く兵士たちも、このような主を裏切ったことを大いに恥じ、また感動して涙を流さない者はいなかった。
シャローンはノイエの行動を大いに称賛し、将の節(位)を与えたのだった。

次回、シャローンの初陣最終話

新作情報/テディ・D、オジャム、サシャ、ムサシ、ソックらが大活躍!?

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