ムサシ、3都を訪問4-サイレント・ネオ-boy meets girl-

カイバについて面会を申し込むと、やはりパイロットを集めているシャギ党では、簡単に提督に面会することができた。
しかし、採用の可否を決めるシャギはすっかり作業に飽きており、もっぱら横にいる参謀マーバイムが矢継ぎ早に仕官者たちに質問していた。
シャギは退屈そうに提督の座に座り、「よかろう」「これはだめじゃ」と短い言葉をたまに発するだけだった。

４

自分の番になりシャギと面会するムサシ、当然ながらひざまずきなどしない。
参謀マーバイムが、

「ほう、貴君は地球（テラ）のパイロットであるようだな」
「そうだ」
「我がシャギ党に仕官を希望されているのだな」
「そうだな…とりたててここで働きたいと言うわけではないけれど、とりあえず様子を見たい」

という返事。

「とりあえずのう…」

マーバイムは眉をしかめて、シャギの方を見た。シャギはムサシを見据えたまま「これはだめじゃ」 と言った。
さらに最近では珍しく、さらに言葉を付け足した。

「この前の若造といい、この男といい…地球のパイロットはどうしてこう、どいつもこいつも礼を知らぬのだ。不愉快極まりない。去ね」

と不機嫌になりシャギが右手をゆっくりと前後にひらひらさせながら言った。

「そうか仕方ないな、ところであんた…何でその仮面かぶってるんだい。人に見せられないよっぽどひどい面をしているとかか？」
「本当に地球の若造は礼儀をしらんな…この世とおさらばしてみるか？」

シャギがこめかみをひくつかせたが、ガスズの時と同様にここにもムドーが割って入った。

「シャギ殿、この若者、ただのものではござらん。雇いなされ」

ムサシ、3都を訪問-サイレント・ネオ-boy meets girl-

続く…

サイレント・ネオ-boy meets girl-（先行配信）

BGM

-登場人物-

テディ・D：ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム：お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ：誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…！？

ムサシ：地球（テラ）・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機落としを達成、スーパーエースに認定された。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック：ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。