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フウコと小オアシス29-サイレント・ネオ-boy meets girl-

「そんなこと言ったって、私はもう1人ぼっちなのよ…私だけじゃ…」

テディ・D、あなたは1人じゃないわ、あなたならできるわよ、がんばるのよ! あきらめないで!

「フローニ……」
こんなやりとりがテディ・Dの頭の中で、わずかコンマ秒の中でいきかった。

30-32話追加(更新した場合、お知らせしていきます)

29

テディ・Dのぼんやりと狭まった視界が再びよみがえる。
すると、目の前にモーラのパンツァーがゆっくりと迫って見えた。
「わあああああ……」
テディ・Dは声にならない絶叫をあげると、紙一重で長槍の穂先を肩をこすらせながらかわした。
肩をこすってスパークした火花が散ったかと思うと、パンツァーのヘッドと実験機の顔が間近でにらみあうかっこうになった。
「うぐっ!」
モーラもまた声にならないうめき声をあげた。モニターに不気味な実験機の一つ目がアップでうつっている。消えかかっていたモノアイに命が再び宿るように、赤く燃え盛った。
「俺としたことが…」
モーラが最後の言葉を残したとき、目の前に白い光が広がり、モーラは一瞬で燃え尽きてしまった。
実験機のモノアイから放ったビームがさくれつし、パンツァーのコクピットがあるフェイスをこの世から消し去ってしまったのだ。

「やったわ、私、やったのよ、フローニ…」
しかし、力を出し尽くしたテディ・Dの実験機は動きを止めると、モノアイの光も弱まってやがて黒くなり、その場に倒れて急停止してしまった。
そのモノアイのカメラから、北の入り口が映し出され、もやは指一本動かす力も残っていないテディ・Dの目に残酷な光景が飛び込んできた。
ついに障害物がやぶられ、モーラの残党たちが村に侵入を始めたのだ。
中で守っていた農作ロボットにのる村人たちは、テディ・Dが倒れ、敵が入り込んだのを見ると、

「娘さんがやられたぞ!」
「盗賊がはいってきただ!」
「もうだめだ、村はおしめいだ、逃げろ、逃げろ、逃げろぉぉお!」

と一目散に逃げ始めた。
このまま、村は攻撃を受け、燃やされてしまうしかないのだろうか……。

サイレント・ネオ-boy meets girl-(フウコと小オアシス/先行配信)

BGM

-登場人物-

テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?

ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機墜としを達成、英雄認定及びスーパーエースの称号を得た。地球のCAリーグにも参加している人気パイロットでもある。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。

シャギ:極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が変わったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。

ムドー:月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え50機を率いる。

ガスズ:ムサシのライバル。CAリーグでは常にムサシと同時に昇級しており、何度か土をつけている。黒いCAヤシャをあやつる。唯我独尊を地で行く男。

マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。




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