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ムサシ、月歌に到着2 サイレント・ネオ-boy meets girl-

-登場人物-
テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?

ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機落としを達成、スーパーエースに認定された。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

地球ではしばしば武者修行をして旅慣れしているムサシは、縦長のボンサック一つを肩にかけているだけだ。まるで、近場に1泊2日の旅に来たかのようないでたちだった。
そんなムサシを戦艦ドックで働くメカニックや作業員は、物珍しそうに見ている。
取引に忙しい商売人たちはムサシを一瞥しつつ、倉庫やコンテナの方に足早に向かっていく。

ムサシは腹ごしらえと情報集めを兼ねて、宇宙ステーションの近くにあった蕎麦屋に入った。
カウンターが5つあるだけのこじんまりとした蕎麦屋は客が誰もいなかった。
大なべに入ったつゆからは湯気が立ちのぼっている。
早速ムサシはざるそば大盛りと天丼を頼むと、椅子に座った。月歌でも蕎麦屋があるんだと妙にムサシが感心していると、1人厨房で働いているおばちゃんが説明した。

「ここいらは地球(テラ)からのお客さんが多いからね」

なるほどと思いつつ、ムサシは置かれたそばと天丼をかっこんだ。
あっという間に食事を終えると、ムサシはおばちゃんにたずねた。

「なあ、おばちゃん。ここらへんでCAを運べる手段は何があるんだろうね?」

おばちゃんは仕込みのために長ネギをしこたま切っている最中だったが、包丁の手を止めて答えた。

「そうさねえ、軍の人であれば陸戦艇が主流だけれど…あなたまだ未成年でしょ?」
「うん」

ムサシは6月に19歳になったばかりだった。

「それに、月歌には細かな免許が色々あるからね。地球人ではとても陸戦艇は扱えないだろうね」
「どちらにしろ、俺は陸戦艇は運転したことがないな…他に何かないかな?」
「そうねえ…」

おばちゃんはちょっと考えると、

「あんた大型免許は持ってるの」
「持ってるよ、俺は建築現場でアルバイトしてたから」
「それなら、あてはあるわ…ゲンさんっていう小さな整備会社をやっている社長がいてね。ここの常連なんだけれども。その人にたずねてみたらいいわ」

この時、タイミングよくそのゲンという中年男性が店に入ってきた。

サイレント・ネオ-boy meets girl-(先行配信)

サイレント・ネオ-boy meets girl-

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