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本との偶然の出会いに、ときめきます。 #教養のエチュード賞

10月のある日、とても共感のできるツイートを見つけ、心が踊った。

Webライターの北村有さんのツイートで、読んで字の如く、ふらっと立ち寄った書店や図書館で、運命の1冊に出会うことがあるよね、という内容だ。
このツイートを見て、私は嬉しくなった。同じことを感じている人が他にもいるのだと。勝手なことを言わせてもらうと、同志を見つけた気分だった。
「本との偶然の出会い」がピンとこない方は、ご自身が普段買い集めているものと置き換えると想像しやすいかもしれない。音楽だったり、服だったり、雑貨だったり。本以外でも偶然の出会いはあるし、同じような体験をした人には親近感を覚える。

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ここから先は、「本との偶然の出会い」を私自身の体験として振り返っていきたいと思う。
なお、最近は図書館よりも書店に足を運ぶことが多いため、次に述べる体験はいずれも書店でのものである。図書館が嫌いなわけではなく、むしろ好きであることも付け加えておきたい。

ポップを見つけて出会う

書店に足を運ぶ時は、自分の興味のある棚だけ見て帰る。
そういった行動をする方は多いだろう。私自身も例外ではない。
熱心に眺めるのは、主に、好きな作家の本が置いてある棚と、漫画の棚と、占い本の棚、それから介護関連書籍(仕事柄)の棚だ。一応、店内を一周はするのだが、自分と関わりの薄い理工系の棚は流し見することが多い。
しかし、普段見ないジャンルでも、ポップを見つけると手に取ることもある。
それが坂木司の『シンデレラ・ティース』だ。

この小説を読むまで、私は坂木司という作家を全く知らなかった。
当時読んでいた小説のほとんどが、長野まゆみか、山田風太郎だったからだ。
坂木司の作品は漫画化や映像化もされていて、「引きこもり探偵シリーズ」や「和菓子のアンシリーズ」が有名だという話も、ずいぶん後になってから知った。
この作品以外にもいくつか読んで、坂木司作品に熱狂的にハマることはなかった。だが、この小説に出会った時のことだけは、なぜか鮮明に覚えている。
「人が死なない歯医者ミステリー」。手書きのポップに書かれたその文言に興味を引かれたからだと思う。
作品の内容は、ここではあえて触れない。ポップのとおりの内容なので、ぜひご自身の目で確かめてほしい。

昔読んでいた雑誌に再会する

私が通勤で利用する某ターミナル駅の中に、小さな書店がある。売れ筋のものをメインに置いているのだが、実用書ばかりというわけでもなく、マイナーな小説や漫画も置かれている。
仕事帰りにその書店の前を通ることが多いので、疲れていなくて、本屋の空気を吸いたい時だけ中に入る。
ある日、仕事帰りに立ち寄った時に再会したのが『日経エンタテイメント!』だった。

表紙が『鬼滅の刃』だから手にとったわけではない。
もう一つの特集「読めばハマる沼マンガ」が気になったからだ。
『日経エンタテイメント!』はヒット作が流行った理由を分析する特集が多く興味深かったので、昨年まで定期購読していたのだ。雑誌を読む時間が取れなくなって、定期購読はやめてしまったが。
今月初めに購入し、「沼マンガ特集」すら未だに読み切れていないのだが、買って良かったし、再会できて良かったと思っている。
ちなみに、「沼マンガ特集」の中のおすすめは、アナウンサーの宇垣美里さんのインタビュー。「漫画は新しい価値観に真っ先に出会える」と語っているのが興味深い。

本の中で出会う

最後に、本の中で紹介されている本について語ろうと思う。
山田風太郎の『婆沙羅』だ。

この小説で初めて山田風太郎という作家を知ったので、ある意味思い出の作品だ。たぶん、山田風太郎ファンの中でも。特殊な出会い方だと思うが……。
この作品が紹介されていたのが、長野まゆみのエッセイ『絶対安全少年』だった。

なぜ、どんな切り口で紹介されていたのかについては、詳細を語ることは控えたい。色々語弊があるが、官能小説として紹介されていたからさ……。
だが、長野まゆみが紹介していなければ、山田風太郎と出会うこともなかったし、忍者について図書館で調べることもなかったから、これはこれで良い。

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これからもきっと、心ときめく本との出会いが、私を待っているだろう。

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