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剣客商売第5巻 第4話 暗殺

江戸そぞろ歩き・地図

 このページをひらいてくださって、ありがとうございます。
 剣客商売を読んで地図作っています。「江戸」歩きのため。
 今回は、第5話第4話「暗殺」です。

 お断り:「江戸散歩」がテーマなので、江戸を離れたら対象外としています(力及ばずなんです・・)。旅好きなかた、ごめんなさい。


地図(画像)

地図

 暗殺というと、地位の高い人を狙う感じだが、ここでは、盗みを働いた家来・その関係人を根こそぎ口封じ。カーキ色のマーカーが左凡例と対応。
 赤のマーカーは、基本地図から今回の事件に出てくる場所を抜き書き(別のレイヤ―)したものです。赤➀は大治郎道場とか。背景として見て下さい。・・目立つ⑤小川宗哲宅。②田沼屋敷(大治郎出稽・隔日)

本文抜書(地図データ)

 切絵図で「場所」探し中。切絵図はすばらしく、また、『国会図書館デジタルコレクション』の利用は出典を示せばOKとのこと、使わせていただくことにしました。
 以下は、剣客商売第5巻第4話の本文の抜書(地図データ)です。お気づきの点は、コメントをいただきたく、よろしくお願いいたします。
※「51)」等は、文庫本の頁数で備忘用。ちょっと煩雑でごめんなさい。

事件の始まり

 188)(大治郎)➀総泉寺の方で、異様な物音が聞こえた・・男が倒れ、駕籠が投げ出されて
 192)この町駕籠は、②浅草・山之宿町の駕籠屋〔駕籠駒〕
 194)瀕死の若侍を本所・亀沢町の宗哲邸へ
 197)駕籠屋がいうには、「玉姫稲荷の前まで行ってくれ」とのことで。
 玉姫稲荷は、宗泉寺に接した浅茅ヶ原の西方の田畑の中にある小さな稲荷である。

 199)③下谷の湯島天神下に五千石の大身旗本・杉浦丹後守正峯の屋敷がある。
 秋山大治郎に「待っている・・・」の一言を残して死んだ若侍は、この杉浦丹後守の家来で、名を笹野小文吾という。

切絵図

 大名屋敷に町名はない。湯島天神下(同朋町)とあっても、灰色に色染めされた町家部分でなく、白地の武家屋敷の中(もっと湯島天神の側かと、小さい字の屋敷がたくさんあるので)にあったと思われる。
 目印として、右側・不忍池、左・筋違御門・昌平橋

 208)④大川橋は、浅草の⑤花川戸から本所・⑥中の郷へ架かる長さ八十四間、幅三間半の大橋で、数年前に、この橋が大川へ架かったときには、大和の国から江戸見物に来ていた八十七歳の老翁が渡り初めをしたという。

 211)②山之宿の駕籠駒に着いてみると【事件】駕籠かきが殺され~⑦千住大橋までという客/⑧浅草山谷の外れの畑道で惨殺・⑨新鳥越町の正法寺という寺の僧が発見、提灯からそれと知り、駕籠駒に駆けつけた。
 212)折から、聞き込みに来ていた⑩浅草・聖天町の御用聞きで玉吉

 212)③杉浦丹後守屋敷の奥の間、丹後守と用人・鈴木市兵衛
 214)小文吾は⑪本所・吉田町に住む七十俵三人扶持の御家人・笹野高五郎の弟で、三年ほど前から杉浦丹後守へ奉公をしていた。
 215)上田孫蔵⑫〔八丁堀〕と呼ばれる町奉行の同心
 216)⑬北町奉行所の与力遠藤忠之助と、⑭南町奉行所の同心・上田孫蔵を出入りにしていた。

 221)一昨夜の雨の④大川橋から曲者の後をつけていった四谷の弥七は・・
 彼ら五人とも⑮本所・四ツ目の外れにある釜本九十郎という無頼剣客の道場で「とぐろを巻いている」浪人
 釜本道場の無頼浪人と言えば、すぐる日に、杉原秀襲撃に雇われた連中もその仲間である。

切絵図:本所四ツ目、四ツ目橋のことだろうとあたりを付けた。四ツ目通りという通りもあるが。対岸では住所も変わると思われる。


 222)釜本九十郎が、⑯下谷の湯島横丁にある〔白藤蕎麦〕の二階に待っていた侍と会い、その侍が九十郎と別れて、編笠に顔を隠し、ぐるぐるとあたりを迂回した挙句、湯島天神下の杉浦丹後守屋敷へ入って行ったのも見届けてしまった。

切絵図:湯島横丁は、昌平橋を越えたところと判明。その近くに「此邊(このへん明神下ト云(という)」とある。杉浦の屋敷もこの辺であろう。池波先生が「下谷の」と付けているところを見ると、下谷側(この切絵図邊)であると思う・・と書いていて、右側に「杉浦」を発見。お取り潰しがあったので、あるはずはないのだが・・・別人としても貴重かなと。

225)田沼屋敷をひとりで出た秋山大治郎は、道場へ帰らず、鬼熊酒屋へ向った。
 半刻して傘屋の徳次郎があらわれ、・・・夕闇が暗く濃く・・傘徳がまた。
 鬼熊酒屋の亭主に「半刻ほどしたら、起こしてくれ」

227)大川橋を西へわたった秋山大治郎は、②山之宿から今戸橋場と、大川沿いの町すじを道場へ帰りつつある。
 遠くで遠雷が聞こえはじめた。
 大治郎が、橋場の町外れをながれる思川をわたったとき、真崎稲荷社の方からやって来た男とすれちがって行った。・・傘徳
 229)道場・・いきなり龕燈の灯りを大治郎にさしつけて来た。
 その槍の凄烈な襲撃を、大治郎はのけぞるようにしてかわした。

 234)小文吾の盗み、強請。「金百両を頂戴したい」
 235)⑰浅草材木町の船宿〔岡谷〕へ取引
 鈴木市兵衛は船宿を出るや、かねて狩りあつめておいた無頼浪人に小文吾を尾行させ、宗泉寺外堀の道で、これを襲わしめたのである。

 その日の夜更けであった。
 ⑱本所・横川の北中之橋の東詰にある津軽越中守下屋敷(博奕場)の裏の潜門から、釜本九十郎があらわれた。
 ・・息絶えた九十郎の体が、南側の堀川に落ち込んで行った。

切絵図:本文から読みとるに、引っ越しが多いこの時代のこと、土岐備前守の位置に津軽越中守の下屋敷があったとして見ると、情景が浮かぶ。
<九十郎は裏の潜り門から出、歩きはじめる、角を左に曲がると小さな老人・宙に飛び上がる。刃「あ」九十郎は棒立ち。老人は北中ノ橋の袂へ>

本所絵図部分。出典:国会図書館デジタルコレクション

江戸情緒/湯島天神

 錦絵で楽しむ江戸の名所(国立国会図書館のコレクション)
 このお話では、悪い奴が住んでたとこですけど。



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