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夜更けの電話
夜更け。母が
「電話に出て」
と呼びにきた。
母は耳が遠い。高い音が聞き取れなくて、ガラケイ※は苦手。でも、家電(イエデン)は不思議に上手に使っている。そんなわけでイエデンは母専用電話なのだ。普段なら自分で処理する母が『よくわからないから出て』と呼びに来た。だが、今回は難しい内容だったようで、ちょっと心配になる。 ※ガラケイに外からかけると「なに・・・なに?よくわからない」と向こう側で呟く声・・・で、切れてしまったり。目の前で操作してもらうと大丈夫なのに・・・謎。
母の部屋へ直行。あわてて受話器を取る。
母の友人の娘さんからで、おかあさまが体調を壊し、救急車で入院したとの内容だった。明日お会いできるはずの母のお友達。娘さんもちょっと早口で、あわてた母はすぐに聞こえなくなってしまったらしい。
傍目からも大変な介護状態のお母さまをお世話されていて、よくがんばっておられるなぁと思っていた方。
「母が入院してしまうと寂しくて(人には言えないけど・・みなさま一生懸命やってくださっているのに)」
お見舞いの相談をしたら、やんわりとお断りされた。
そうだよね・・・まず点滴、対処、不穏もあるだろうし。こちらも経験者。救急車で基幹病院に運び込まれても、その日の内に転院することになる。年寄りなら、尚、そうだ。救急病院には介護の手がないのだろう。
体調が悪くての搬送だったそうだが、いままでは落ち着いていた内臓疾患の数値も悪くなっていて、入院が決まったそうだ。やはり担ぎ込まれた病院からは転院したらしい。よくなったら、介護施設へお願いする(探してくださっているの)とのこと。
娘さんは、お母さまの症状が落ち着いたら家に帰ってくる、と思っていたので、お医者様の話を一瞬受け止められなかったそう。
母に言ったら
「わかった」
とのこと。会っても、目を閉じて座っていることが多かったという。
「で、どこの病院なの」
と聞かれた。まず・・とりあえず、お見舞いに行くつもりになっている。
病院の名を聞き取ったメモを見せながら、
「だめなんだってよ」
と伝えた。
「わかった」
と納得。明日の予定の話になった。
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