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ファンベース(3/100)
しばらくマーケティングについて体系的に学びたいと思い、多くの人が勧めている佐藤尚之さんの「ファンベース(支持され、愛され、長く売れ続けるために)」を読んだ。
なぜこれからの時代ファンを大事にしないといけないのか、単発の新規顧客獲得の試作がうまくいかないのか、ファン作りのために具体的に何をしなければいけないのかがわかりやすく論じられていて、非常に勉強になった。ファンベースとは一言で言うなら「共感を生み、愛着を持ってもらい、信頼される状況をつくること」だと理解した。
なぜファンベースが重要か
近年、新規顧客獲得のための単発試作が一過性で終わってしまうなどこれまでのマスマーケティングの常識が通用しなくなっている。それはなぜか、以前に比べて圧倒的に情報量が増えたからである。現代人はニュースを見て、SNSに触れ、ネットサーフィンに多くの時間を割いている。さらにSNSでは多くの広告を目にするため、奇抜な広告施策を打ったとしても、その記憶はすぐに他の広告に上書きされてしまう。
このような商品企画者にとっては、ハードモードな社会になってしまったため、単発だけの広告施策だけではうまくいかなくなっているのである。
上記の情報過多社会以外にも以下の理由からファンベースが重要だと本書では主張している。
パレートの法則のようにコアファンとファンだけで売り上げのほとんどを構成しているから
人口減少により、新規顧客がどんどん減るから
友人は最強のメディアであり、ファンがファンを増やしてくれるから
ファンの支持を強くする3つの方法
本書ではファンをつくる方法として大きく3つ挙げている。
①共感を強くする(そのものの価値の向上)
価値自体を向上させるには、ファンが好きなところ、大切にしていることを把握することはマストだ。そのためにはファンの言葉を傾聴する必要がある。何に共感してもらえているのか、こだわっているのか、そういったことを確かめるのに「ファンミーティング」は重要だ。
また、聞き出すだけでなく新規顧客以上に大切にしていることを実感してもらうために優遇することも重要である。大事にされているとわかると嬉しいし、もっと応援したくなる。そんな状況をイベントや発表を通して作りだすとうまくいく。
②愛着を強くする(差別化)
長くファンでいてもらい、ファンを増やしていくためには愛着は不可欠だ。この章で響いたのは「ストーリーやドラマを纏わせること」と「忘れられない体験や感動を作ること」である。
確かに商品の誕生秘話や作っている人の顔が見えることで愛着は強くなる。手触り感のあるエピソードを知ると身近な存在になり、好感度がどんどん増してくるだろう。つまり人と同じように商品もオープンであると向こうからも寄り沿いあいたくなるし、そういった状態を恣意的に作り出すことが重要であるということだ。
また、ストーリーで見えない部分を曝け出し、ファンとの接点を作り出して一定の愛着や信頼を築いた後は、「忘られない体験や感動を作る」とより強固な愛着が生まれるという主張に納得感を持った。実際にやると非常に難しいけれどこだわりを全面に押し出し、相手の心に刺さるものを作れるとそのサービスにより贔屓するようになると思う。そして自分もそういった体験や感動を与えられるような仕事をしたいと思った。
③信頼を強くする(評価・評判の向上)
この章は割と当たり前のことを当たり前にやる章だと感じた。ファンを裏切るような行動はしない。丁寧な仕事をし、その細部まで知ってもらい、ソーシャルグッドな行動、商品を作る。会社やサービスのミッションを忘れないことが大事だと感じた。
ファンベースはたのすぃー
最後の章で「ファンベースは本来楽しいものである」とまとめていたのが非常にグッときた。中長期を見据えた短期的施策、全体構築の重要性などこれからのマーケティングの考え方を述べていたが、本来マーケティングとは大切な顧客に笑顔になってもらうことであり、それは人としてやりがいのあることだとおっしゃっていて大切なことを思い出させてくれたそんな気がした。スモールスタートから始め、時間をかけ、その過程と常連との関係性、コミュニティの運営全てを楽しむ。これは事業運営をしていく上で忘れないようにしたい。
情報社会となり、これからAIによるシンギュラリティが訪れる社会の中で、生き方にも応用できそうな考え方が学べる本だった。マーケティングだけでなく、友達との付き合い方など忘れていた大切なことを思い出してくれるそんな本。多くの人がお勧めする理由がよくわかりました!!!
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