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庭作りから始める。私にもどる暮らし。

憧れだった平屋での暮らし。今まで、一軒家で暮らした事がなかった。

半年の予定で仮住まいとして見つけ住み始めたが、延長する事になった。

南向きで日当たりが良く、前後は空き家、両隣は空き地。家の隣の道は大通りから離れていて、近所の大家さんの車位しか走らない。静かで快適な場所だ。

家の目の前は車が止まれる砂利のスペースと小さな庭がある。小さな庭の大きさは、たたみ1畳半位で土が入り、石で縁取られている。

半年の仮住まいだからと思い、手をつけずにいたその小さな庭には、大家さんの奥さんが昔に植えた「プリンセス美智子」というオレンジ色のバラの木が一本と、その根元にアイビー(ツタ)2種類が絡みあっていた。

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(引っ越した時に咲いていたプリンセス美智子)

プリンセス美智子とアイビーは庭の3分の1をしめており、残りの場所は全く何も生えていなかった。きっと私が引越してくる前に大家さんが雑草を抜いてくれたのだと思う。そうだとしても、そこは灰色の砂地で植物が活き活きと生えそうにはなかった。それでも試しにローズマリーとミントを植えてみた。この繁殖力の強い2種なら手入れをしなくても、ぐんぐん伸びるだろうと思って期待したが、見事に枯れてしまった。それから小さな庭はそのまま手を加えなかった。

春から夏へ
何かを植えるのは諦めて、プリンセス美智子の下に生えている鬱蒼としているアイビーを少し切る事にした。

プリンセス美智子の落ち葉がアイビーの陰に溜まっていて、かき集めるとダンゴムシがわらわら出てきた。蜘蛛や名前もわからない小さな虫も飛び跳ねている。
ハーブが枯れた所の砂地の土質とは違い、色も黒々として、柔らかい。腐葉土が出来ている。
プリンセス美智子にはアブラムシがついていた。忙しそうにアリが歩きまわっている。そして、てんとう虫も何匹かいた。一つの小さな場所に生態系が循環している事に気付く。ごく当たり前の事だけれど、小さな発見や気づきの喜びは、いつも小さく身近な植物や虫達から教えてもらう。

夏が近づく頃、不毛に思えた砂地の土地に朝顔の双葉があちこちに芽を出し始め、やがて蔓が伸び、濃いピンクの可愛いらしい花も咲くようになった。
朝顔に加えてハコベ、スベリヒユ、カタバミなどの雑草と分類されるだろう草花も勢いよく増殖していた。

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(鹿の角にも朝顔は絡み、成長して花を咲かせ続けた。)

草花と共に虫達も増えた。
カマキリが2匹、いつも獲物を待ち構えている。スズメガの幼虫も増え、吸い付くような足で、朝顔の細い茎にしがみついている。成長すると12.3センチ位の巨体になった。バッタもいた。洗濯物を干した後、ふとしゃがみ、お馴染みの彼らの様子を観察した。

秋から冬へ
夏が過ぎても朝顔は咲き続けていた。他の草花も絶えずに咲いていた。虫達は少しずつ姿を消していった。雌のカマキリはすだれに卵を産んでから、死んでしまった。

このように移りゆく季節と共に、変化していった小さな庭。
何も手を加えず、自然の流れのままでも十分楽しめて、生物のサイクルを目にしたが、私は今、この庭の開墾を始める事にした。その理由と共に、庭の変化の記録を残したいと思い、noteを始めた。明日は立春。春が始まる。私の庭もこれから始まる。








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