わたしが家族に憧れた日
ハルコです。
あれは忘れもしない中学1年の夏に入りかける頃。
いまも十分陰キャな性格のわたしだが、当時のわたしは陰キャがドン引くガッチガチの陰キャであった。
陰キャのわたしは帰路をまっすぐ帰ることなく、今日はこっちから帰ってみようとかここ寄って帰ろうとか、その日の気分で帰り方を変えていたまじで意味わかんないクソガキだった。そのせいで、通学路が決められていた小学生の頃は通学路破りというものを何度しでかし何度商店街のおばちゃんに見つかって何度刃牙打ちされただろうか。
子どもは懲りない。大人よ早く諦めてくれと思っていたくらいだ。その当時から懲りないことが取り柄でもあると自負している。(ただ頑固なだけだ)
そんなクソガキが当たり前のように意味わからん帰り方をしていたある日、後ろから誰かにつけられている気がした。よくドラマに出てくるような効果音は流れない時間帯だったのでただなんでついてくるのかわからなかった私はいきなり振り返って、ぶっきらぼうに「なに?」とぶっ放したのである。
なぜか3人いた。
男の子が1人に女の子が2人。
遊びのお誘いかなにかかと思ってルンルンで近づいたら、その瞬間なにか違う空気を感じよくあるシチュエーションで「早くいいなよ〜」とか「見守ってるから!」なんて言い合って女の子2人は物影に隠れたのである。
人通りは少なかったけど、半分くらい公開処刑されてる気分。これにはさすがにこれからなにを言われるかを察し、そうして初めての「告白」を受けたのである。
小さな頭で精一杯整理して、この公開処刑の中で断る勇気も無く、嬉しいよりも恥ずかしくて(いや、もしかしたら嬉しすぎたのかもしれない)メールアドレス教えてと言われたので教えて逃げるように帰ったのだ。
こうしてわたしの初めての恋がスタートしたのである。
ただ思い出して欲しい。わたしは陰キャが引くほどの陰キャである。小学校6年間1クラスで育ったわたしは男女問わず全員が友だち。全員幼なじみ。バレンタインも全員に渡していたくらい。友だちがある男の子に告白を兼ねてチョコレートを渡したいとなればわたしも好きだよなどと言って一緒にチョコレートを渡していた大バカものである。(本当の好きとは何か小学生が終わるまでわからなかった)
そんなわたしが中学1年生で初めて告白されたのである。もちろんまだ本当の好きがなにか曖昧だ。ということはもちろん、その告白さえ当時のわたしからすればただ「ありがとう」で終わる案件なのである。(今でも謝りたいと思っている)
メールのやり取りも、「すきだよ」と言われれば「すきだよ」と返していた。(本当に謝りたいと思っている)
そんなわたしの態度をみてか、Tくんも気づいたのだろう。私が本当にTくんを恋愛の意味で好きではないことを。仲は良かったが恋人らしいことはした記憶がない。そしてなにも言われないまま今を迎えている。そう。自然消滅というやつだ。
わたしの甘酸っぱく、Tくんにとってはほろ苦かったかもしれない''ひと夏の恋''(恋愛ドラマのナレーション風)が自然消滅という形で終わりを迎えた。今でこそちょっとだけ後悔しているけど、私に恋愛を教えてくれたTくんには感謝している。ここからわたしの人生に恋愛というスペックが備わったのだから本当に感謝だ。ありがとう。20歳の同窓会の時はうまく喋れなかったけどいつかこの話ができる時がきたらTくんとこの一件について語り合ってみたい。
ちなみに余談だが、Tくんはなかなかのイケメンで人気者であった。陸上部のエースと言っても過言じゃない。それは今でもちょっと自慢できるお話。
끝
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