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【元教員の昔話】♯03 「ぼくは先生が憎いんだ、殺してやる!」殺害予告を受けるの巻

こんにちは、ハルジマです。
【元教員の昔話】として、わたしが十年とちょっとの間、小学校の先生として働いたときの思い出話を綴っていきたいと思います。
教師の仕事に興味のある人、教師になったものの悩んでいる人、教師の仕事の実態を知りたい人……そんな人に読んでいただければ幸いです。

少し間が空いてしまいましたが、前回は、「寝そべる君とわたし」という題で、わたしの教員人生に大きな影響を与えてくれた男の子のお話をしました。
今回も、子どもたちの実態と、どうしてそうなってしまったかという反省をお送りしていきます。

わたしが教員人生の中で言われた過激な発言ナンバーワン。

「ぼくは先生が憎いんだ、殺してやる!!!」

そう言いながら、痣ができるほど足を蹴られました。
あの子の強い、まさに憎しみが宿った瞳は、未だに忘れられません。

どうして、そうなってしまったのか?

子どもは、急に先生に対して憎しみを抱くわけではありません。
教育心理学の講義で、未だに忘れられない内容があります。

「子ども、特に低年齢になるほど、先生との関係は、親との関係が反映されています」

つまり、子どもによる「先生大好き!」は、イコール「ママ大好き!!」に、つながるということです。
その先生は、こうも言っていました。

「だから、子どもに嫌われたかと言って、落ち込む必要はありません。同時に、「好き」と言われても、それは、自分自身に向けられたことではなく、親との関係が良好な証拠だと思ってください」

要は、「勘違いしないでよね!」ということです。
この教えは本当にありがたくて、「先生大好き!」と言われるたびに勘違いしそうになるわたしの心をぐっと押し込めてくれていました。

つまり、ほとんどの子どもは「ママ大好き!」=「先生大好き!」になるのです。
(そうではない場合、要注意ということにもなります)

しかし、子どもも人間です。
デフォルトがそうだからと言って、ずっと「好き」なわけではありません。
信頼関係が損なわれれば、もちろん、感情だって変化があります。

では、どうして、「殺してやる!」と言われるほど、過激な感情になってしまったのか。

これには、もう本当に、いろいろな事情が絡みついて蓄積して、原因は一つではないと思います。

まず、経験不足だったわたしは、とにかく子どもを「強く」叱っていた。
褒めるところは褒めるようにはしていたのですが、前述の通り、子どもたちの個性が豊かすぎて、毎日が同時多発テロだったのです。
「いい加減にしろ!」とか、そういった言葉で怒鳴ることしか、納め方を知らなかった。
舐められてはいけない、と思うあまり、そういう強い言葉を使っていたともいえます。
今なら、それは大きな間違いだと思えるのですが……当時は、知識も経験も、不足していました。
(もちろん、常に怒鳴り散らしているわけではありません。状況を見て、あまりにひどいときに、大きな声を出していました)

2年生だった彼らですが、1年生のときは、とてもおおらかな先生が担任されていて、まず叱られることがなかったそうです。そう……例え、そうじ中に床で寝ていても、授業中に暴れていても。
なので、子どもたちからしたら、とても大きなギャップを感じさせてしまったと思います。

そして、自己主張が強い子が、ほんとうに多かった………。
例えば、算数の授業で、発言したい子が元気よく手を挙げるのですが、自分以外が指名されると、不貞腐れる。
それが、一人二人ではなく、大勢いるのです……。
「友達の意見を聞く」ことの大切さを説いても、「先生はぼくを見てくれない!」となってしまう。
今なら、個別にアプローチをして、「先生はちゃんときみを見ているよ」と示してあげられるのですが、当時は、本当にてんやわんや……。
そんな余裕もなく、「先生はぼくを見てくれない」ゲージがぐつぐつと溜め込まれていってしまうわけですね。
そのゲージが真っ赤に染まり、何か一つでも切っ掛けがあると……
「ぼくは先生が憎いんだ、殺してやる!!!!」
に、つながるというわけです。

そう、彼も、当初はやる気満々のかわいい子だった。
わたしが、そのやる気に応えられなかったのです。

こうなってしまうと、保護者との関係も、非常にまずいことになります。
詳細は忘れてしまったのですが、何かのときに、彼が、「自殺」という言葉を使います。
そのことを保護者に伝えたときに、「うちではそんな言葉教えていません。学校で教えているんじゃないですか?」と、すべて学校(担任)のせいにされてしまう。
信頼関係も何もなくなってしまう、一つの例ですね。

「殺してやる!」なんて言葉を言わせてしまった原因は、紛れもなくわたしの指導不足です。
彼はただ、”先生”に、もっと自分を見てほしくて、認めてほしかっただけ。
今なら、個別にアプローチをして、良いところをたくさん見つけて、褒めてあげることができるかな。
そうしてあげられなかったことを、後悔しています。
また、保護者の方にも、とても不安な気持ちを抱かせてしまったと反省しています。
もっと寄り添って、しっかりと話をするべきだった。
保護者対応については、また別に、しっかりと書き記していく予定です。

彼のおかげで、保護者対応や、”そう”させない方法は十分に学べました。
そういう意味では、とても感謝しています。

余談ですが、彼は、女神のような学年主任にも、「殺してやる!!!」と凄んでいました。
女神は言いました。
「やってみなさい! そしたら刑務所に入るんだよ! そうなったら君のお母さんはとても悲しむよ!」
か、かっこいい……。
普段は決して怒らない女神のような先生が言うからこそ、説得力のある言葉です。
わたしも、そうなりたいと、強く思いました。

寝そべる君と、この子と、それだけでもう個性豊かなのですが、まだまだこの学級にはいろんな子がいました。
今思うと、ほんとうに、力不足で、十分な指導ができていなかったと反省ばかりです。
でも、あの子たちのおかげで、いろいろな子どもたちへの対応力が培えたと思っています。

懐いてくれる女の子たちもいました。
特にわたしのことを好いてくれる女の子は、「パパ!」と言って抱き着いてきてくれましたね。
「パパ!? ママじゃなくて!?」と一応確認したのですが、「うん、パパ」と、自信満々にうなずいてくれました。
ちなみに、パパと間違える子は、この子以外にも毎年のようにいました。

刺激的な毎日でしたが、充実してたな~~~~。
ほんとうに、楽しかったです。教室では。
職員室はそれはもう、地獄のようでしたが……。
地獄の職員室については、次回以降、お話します。

今回は、「殺してやる!!!」とまで言われた経緯と、反省についてお話しました。

……先生って、すごく、いい仕事ですよ!!! 
もし、何かに悩んでいる方がいれば、わたしで良ければお話を聞きますので、お気軽にコンタクトをお取りくださいませ。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
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