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熱海五郎一座 Jazzyなさくらは裏切りのハーモニーでの紅ゆずるは違う惑星の人だった

 昨日、新橋演舞場シリーズ第7弾!! 東京喜劇 熱海五郎一座 『Jazzyなさくらは裏切りのハーモニー ~日米爆笑保障条約~』を見てきました。ファンだった元宝塚スター、さゆみさんこと紅ゆずるさんの退団後初舞台です。

コロナ禍で昨年休演した2年越しの舞台の幕が上がった

 昨年の6月に幕が上がるはずでしたが、コロナ禍であえなく休演。今年4月に大阪松竹座で「アンタッチャブル・ビューティー ~浪花探偵狂騒曲~」に主演する予定でしたが、出演者にクラスターが起きてこちらも休演。稽古した舞台がなくなるというのはかなりの衝撃でしょうから、2年越しで熱海五郎一座の幕が上がって本当によかったです。

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 メンバーの妻には元タカラジェンヌが2人いた

 私は東宝ミュージカル、歌舞伎、ストレートプレイ、子供の頃は新派まで見ていたので、かなり幅広く舞台は見ている方だと思うのですが、「東京喜劇」と題してお笑い系の有名な役者さんばかりが出演する舞台は初めてでした。新鮮だったのは、お客さんの層が宝塚とも歌舞伎とも違うということです。男性が3割くらいいるし、AKBの横山由依さんがゲスト出演しているせいか、老若男女が混ざっていて、年齢もバラバラで雑多な感じです。

 キャストは下記となります。興味深いのは、出演者のうち2人は、元タカラジェンヌの奥さんをもらっていること。熱海五郎一座には朝海ひかるさんや大地真央さんもゲスト出演されたことがあるそうで、宝塚とご縁のある劇団なのでしょう。

 出演・構成・演出-
三宅裕司 劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)主宰者。熱海五郎一座座長
-出演-
渡辺正行 テアトル・エコー養成所出身、元「コント赤信号」のリーダー
ラサール石井 テアトル・エコー養成所出身、元「コント赤信号」
小倉久寛 スーパー・エキセントリック・シアター、妻は12歳年下の元宝塚、速水渓
春風亭昇太 落語家、俳優、落語芸術協会会長、妻は19歳年下の元宝塚、宝珠小夏
深沢邦之(Wキャスト)お笑いコンビ・「Take2」、妻は田中美佐子
東 貴博(Wキャスト)お笑いコンビ・「Take2」、妻は安めぐみ
-ゲスト出演-
紅ゆずる、元宝塚歌劇団星組トップスター
横山由依、AKB48、元2代目AKB48グループ総監督

日本に占領された米国に日本人女性大佐が乗り込むコメディ

 ストーリーは第二次世界大戦に勝ったのは日本で、アメリカの東半分がドイツ、西半分を日本が占領することになり、日系人の多いサンフランシスコに日独同盟軍西米国支部作戦本部長である女性海軍中佐・元星クミ(字は違うかもしれません。元星組にかけてるそうです)がやってきた。そして、日系アメリカ人ジャズバンド「ツインズ」のメンバーに、英語やジャズなどのアメリカ文化を捨て、演歌など日本文化を愛し、その伴奏をするように強要するが・・・という奇想天外な内容です。この元星大佐を演じているのが、紅ゆずるさんなのです。

 私は紅さんのファンなので、これ以降は紅さんを中心に語らせて頂きます。ファンでない方はすみません。脚本は出演者に当て書きしたそうで、紅さんは登場からしてド派手でした。飛行機のタラップに姿を現さず、軍の上司である渡辺正行さんが「あれ!」という顔をしていると、舞台中央からスポットライトを浴びながらAラインの真っ白い軍服で登場。「階段降りるのはもう飽きちゃって」というセリフで爆笑が起こっていました。宝塚の大階段を降り続けて来たのですものね。

女優になっても紅さんは「軍服を着た紅子」だった

 私は退団後の紅さんがどんな女優になっていくのか、興味と心配が半々でチケットを購入したわけですが、心配は喜憂で、紅さんは「軍服を着た紅子」でした笑。紅子というのはファンならよく知るキャラクターで、コンサートなどで「紅ゆずるファンの劇場案内係」として登場する強気の女性キャラで、お笑い担当です。外部の舞台に立っても、紅さんは紅さんで、スターオーラーを放ってました。

 宝塚にいるときは、他の男役も長身でスタイルが良いので気づきませんでしたが、身長173センチに女性が5センチの靴を履けば180センチ近いわけで、男性の大半の共演者と比べても頭一つ大きく、足が彼らの胸あたりから出ているように見えるほど長いのです。「ああ、宝塚でトップスターになるのは、こういうスタイルの持ち主なんだな」と改めて思いました。シャープな顎の線や10頭身のスタイルは持って生まれたもので、努力では手に入りません。一般人からすると別の惑星から舞い降りてきた人のようです。

芸達者なメンバーがゲストに華を持たせる姿勢に感動

 横山由依さんはAKB48のメンバーですから、歌も踊りも上手なはずですが、それはあえて封印し、この作品ではジャズのドラムを演奏されてました。すごい努力家だそうで、演奏も演技もしっかりしていて、女優としてどんな役でもこなせそうです。そして、スーパー・エキセントリック・シアター(SET)の若い男女メンバーを引き連れてセンターで歌い踊るのは、もっぱら紅さんです。在団中は決して歌ウマと呼ばれるスターではありませんでしたが、女優になってキーが上がったせいか、とても上手で安心して聴いていられました。何より、存在事態がとてつもなく華やかです。8月に主演するミュージカル「エニシング・ゴーズ」が楽しみです。

 熱海五郎一座のメンバーは、普段はテレビや映画でシリアスな役もしています。例えば、三宅裕司さんは映画『壬生義士伝』で主人公・吉村貫一郎(中井貴一)の幼なじみで親友、最後にい貫一郎に切腹を言い渡す大野次郎右衛門という重要な役を演じていましたが、印象に残る名演技でした。春風亭昇太師匠は大河ドラマ「おんな城主・直虎」で今川義元を演じていましたが、無口なのにゾワッとするような怖さがあって、俳優としても一流だと思ったものです。落語会の重鎮ですしね。きっと他のメンバーもすごいコメディアンであり、役者なのでしょう。

 ところが、コメディである『Jazzyなさくらは裏切りのハーモニー ~日米爆笑保障条約~』ではみなさん良い意味で力を抜いているというか、わざと軽く控えめな演技をされているんですよね。そして、紅さんに思いっきりスポットライトを浴びさせて、元トップスターであることにリスペクトを払われています。年齢も芸歴もずっと上の人たちなのに、なかなか出来ないことだと思います。熱海五郎一座が第7弾まで続いているのは、こういうゲストとファンへの配慮があるからなのかもしれません。三宅裕司さん、メンバーのみなさま、ありがとうございます!!

 実は仕事がなかなか片付かず、開演15分前に駆け込んだのですが、マスクを1年以上も付けっぱなしで、緊急事態宣言下の今だからなお、気軽に笑えるコメディっていいなと実感した3時間でした。

ハローキティコラボグッズ入手でハッピーな半日を締めくくる

 幕間の30分の間にロビーでゲットしたのは、紅さんがハローキティとコラボしったグッズコーナーで買ったキーホルダーです。前髪に付けたリボンが可愛いですね。手帳やポーチもありました。きっと公演途中で完売することでしょう。

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