祖父は菩提寺の役員でしたが…-私の離檀記

私が物心ついた頃から祖父(故人)は長い間、菩提寺の役員をしていて、檀家さんの家を一軒一軒回って年会費を集めるなどお手伝いをしていました。(祖父は運転免許を持っていなかったので、私も祖父を車に乗せて檀家さんの家まで連れて行くというお手伝いのお手伝いをよくしていました)

けれど祖父は食卓で度々「坊主丸儲け」「坊主丸儲け」と呟くので、その度に私たち家族は「せっかくお寺の役員をしているのにそんな事を言ったらいけないよ」とたしなめていました。

そして父(故人)は父で、「あのお寺は昔、葬式代の払えない檀家から代わりに土地をもらっていたから、市内あちこちに土地を持っていてお金持ちなんだ」と言い出すのでした。

やがて祖父が他界しました。
私が祖父の部屋で片付けをしているとある文書を見つけました。それは簡単に言うと、お寺の改修資金集めのマニュアルでした。そのマニュアルには「檀家さんにはこう言って、1軒あたり10万円以上集めてきてください」と具体的な文言が書かれており、「応じてもらえない場合はお寺に連絡してください」との事でした。

私は「なんか悪徳商法のマニュアルみたいで怖いな」と感じました。
そして、祖父は集金がストレスでいつも「坊主丸儲け」「坊主丸儲け」と怒っていたのだな。わかってあげられなくてごめんねと思いました。
それが私が漠然と「離檀したい」と考え始めるきっかけだったのです。

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