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白い羽



僕が愛しているのは君じゃない、
ただ愛くるしい時間たちに、
一つずつ質問をしよう。
横断歩道の白線を、
ひらりとめくり
白い鳩出してみせるから。
君は白い鳩の羽を手にとって
白き羽を翼として
その背に生やしたかのように
得意な顔で深い空に溶けていく。

はためく翼の香りは、
知らない国の海の香りがした
この星以外の星も
どうやら渡って来たらしい。
空も飛べたならと歌った君の
優しい木漏れ日のような声は、
その翼をばさりとはためかす音に
とてもよく似ていた。

なんと空の手狭なことよ、
と君は翼を背に思うのだろう。
なんとこの星の窮屈なことよ、
なんとこの星の地の限られたことよ、と。
白き羽は
どこへでも君を連れていくとともに
どこへも連れては行かないことを
君にとっては意味したのだ。

翼が君を軽くした
この地に物事が引き寄せられる万有引力は、
君にだけ優しく、
とくべつなささやきを贈るのでした。

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