サイケデリック・生命
乱視みたいだった生命を繰り返して、
幻覚が、幻覚が、
砂漠の中を立ちのぼっていく。
僕が昨日見た夢の中を
君が生きて歩き続けている。
君は夢から覚めないで
ずっと砂漠を歩いている。
喉は乾いている
月が砂を冷やして、
太陽が砂を熱くする。
星はそれを眺めている。
君は少しづつ強くなる。
生命は砂漠に潜んでいる。
君の前には現れることはごく稀だが。
命を手当たり次第に胃袋に流し込む。
この砂漠に友人はまだいない。
砂丘が生まれては死んでいく。
君に越えられた壁のような砂の山は、
君に踏みならされては、
砂の流れの淀みが故に、
消えていく。
砂は地の下に流れ込み、
またどこかの砂漠で隆起する。
砂が生きている。
砂漠に潜む城の煌びやかなシャンデリアが
君の前に隆起したのは、
凍える砂漠の夜だった。
きろきろとシャンデリアは君を眺めている。
イミテーションのダイアモンドは
君の幻覚をよく知っている。
偽物は幻覚とよく似た作用を引き起こす。
サイケデリックな生命
偽物は命までは奪わない
砂の城が崩れる
残されたのは
シャンデリアの形をした砂と星
砂が生きている
星が生きている
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