スピーチ
スピーチ
知らないうちに
胸の温度は下がって
気づかないうちに
言葉の色は失われ
人間は知性の動物と
言う人の舌は
ぺらぺらとしていた
物語を紡ぐ人は
いつしか指を折るほど
空想を話すことを
躊躇ったのは
何曜日からだったか
海の言葉を
話す人類は
どこに隠れたか
国語の時間の
言葉たち
言葉はどこから来て
どこへ去っていくか
祖父が吐いた最後の言葉は
誰の言葉だったか
燃え尽きていく
星の言葉よ
星が尽きれば
尽きる音たちよ
終わりつつある
私たちの共有する資産として
我々は
我々の言葉として
暗闇に
スピーチすることを続けるのだ
きっと君は長生きをして
だけど星の終わりなんか
知らないふりして
逝くんだろう
誰かが思い出したように
言葉を掬い出した時
星の自明は
もう一度ここに
優しい嘘
この星で一番
温かく
意地悪な嘘
小さな星から
帰ってきたシグナル
おはよう
こちらは
こちらは
こちらは
こちらは・・・
返信、をいつか下さい、
有意味とは
砂つぶを
砕かれたクッキーにすることだ
砕かれたクッキーを積み重ね
口にすることだ
集められたものを
手のひらに乗せて
尊ぶことだ
さようなら的言葉が
そこかしこから聞こえる、
そうだった
点滅する生命は
さようなら的メッセージ
空の星の瞬きは
僕に囁きかける
ここはすごく寒いから
暖かいココアを持ってきて
全ての感情だと
思っていた感情は
暗闇に
置き去られた後に
彩がある
遺言を推敲する時間を
意思を示すこと
棺桶に持っていけるものを
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