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文学専攻大学生のふまじめな履修フロー


大学で勉強するって何だろう、とずっと考えながら3年間大学で過ごしました。今まで勉強したことを振り返ったり、卒論のことを考えたりしながらまとめたnoteです。

履修がどうのこうのという話が長くなったので、取り敢えず履修を組むときに考えていることを簡潔にまとめました。これから大学に行く人や1年生の参考になれば。そのあとの話は長いです。

※ブログにも同じ記事を載せています


真面目な話


自由に授業が選べるというのは嬉しい。でも、選択肢が多いほど悩む。
そこで、私なりに3つ基準(参考にするもの)を作った。

1.授業を担当している先生 2.授業内容 3.課題 

1ー著書を読んで面白いと思った先生や、友人からおすすめされた先生の授業を取った。あとは、1度授業を受けて面白いと思ったら同じ先生の授業を何度も取っていた。

2ー私は文学専攻なので、文学の授業ではどの作品、時代、国を扱うかを見て、興味のある(か興味の持てそうなもの)にした。取りたくないけど必修の授業でも、内容を見て少しでも楽しそうなものを選んだ。

3ー楽単かどうかは気にしなかったけれど、自分のキャパシティには注意しておいた。例えば、英語開講の授業を3つ取ってその全てにエッセイがあればキャパオーバーになってしまうと思い、課題内容や開講言語はバランスを取りながら選んだ。

……と書くとなんかすごく考えながら取ってるみたいだが、このnoteを書き終わって読み直すと、気持ちの赴くまま履修していたようなものだった。

以下、今まで取った授業と、何を考えていたかの振り返り。授業で読んだ本や映画でおすすめのものがあったらそれも書いています。大学の授業のイメージを掴みたい、という人の参考にでもなれば。ちなみに大学に入る前は、日本文学か英文学を勉強しようと思っていました。

ふまじめな履修フロー

※授業の名前は変えている、省略しているものもあります。


~1年生前半


1年生の時は英語の授業を取らなければならなかったので、ほぼ英語の授業。私は日本から出たことなく、英会話教室や塾にも行ったことがなかったのでビクビクだった。帰国子女や海外旅行しまくっている人に気後れを感じつつ受講(でもクラスメイトが良い人で何とかなった)。

その他

・フランス文学

日本or英文学希望だったのだが、専攻の説明会である教授に「今勉強したいと思っていることなんて幻想ですから」と言われ、「そうなのか……」と思ってとりあえずフランス文学にしてみた(単純)。
「『○○』という作品における空間の移動について分析せよ」みたいな課題を出され、考えたこともなかったので半泣きになりながら書いた。高校と大学の授業は違うんだ……とショックを受けた。


・通訳

通訳理論を勉強する授業。こちらも興味本位で取ってみたがとても面白かった。映画スターの通訳から医療通訳、裁判での通訳まで色々な場があるのだと初めて知った。
元の言語、訳す言語のどちらに寄り添って訳すか、という話が印象に残っている(例えば映画『テッド』の日本語字幕では劇中に出てくる人物名が「星一徹」等、日本で有名な人物に変更されている。これは元の言語(英語)ではなく訳す言語の文化(日本語)に合わせた例)。


~後半

・メディア

これも興味本位で取った。が、教授が良い意味でヤバい人でもの凄く面白かった。「地面に穴が開いていることに気が付かせ、そこからみなさんを救い出しまた別の穴に落とす授業です」と言われたけれど、確かに何度も落とされた。

大学1年生なんていう多感な時期(そうか?)に受けると考え方が変わってしまう。これ以降、前と同じ視点からものを見れなくなった。

・通訳

引き続き通訳。今度は実践を取り入れた授業で、帰国子女や留学生も多く、英語を勉強したばかりの私は毎回胃がキリキリした(本当に)。でも、英語か日本語を流暢に話せるのと、通訳が上手いかは別だったのが面白かった。


~さらに後半


・アメリカ詩

毎回詩を読んで解釈をディスカッションする授業。先生に「発音が悪い」と50回くらい言われたが本当に悪かった。

・物理

全然取りたくなかったが、必修だったので仕方なく。でも、日常を化学的な視点から考えるというテーマで、けっこう楽しかった。先生は良い人だった。パイロットの免許を持っているらしい。



こんな感じで1年生は終了。この時は通訳やメディアの授業が面白く、メディアを勉強しようかなどと思っていた。


1年の秋に精神的にたいへん不安定になり、勉強しか手に着かなかった。本当はバイトをやろうと思っていたのだけれど、電車にすら乗れなかった……(1年後に回復)。


2年生

2年になり英語の授業が終了(嬉し~)

~前半

・英文学史
 
ここでやっと英文学に触れる。「次週までに読んできてね」と言われ開いた『ベオウルフ』は古代英語でさっぱり分からなかった。『ベオウルフ』からシェイクスピアあたりまではこの授業で勉強した。

詩のリサイタルとか詩を書くとか、課題が独特な上にテストも厳しい。たぶんこの授業が一番きつかった。

シェイクスピア『十二夜』の映画は大変面白かった。


・日本文学史

高校生の時に先生の本を読み、それからずっと受けたいと思っていた授業。熱が入るとほとんど叫ぶような調子で、すごく熱い先生だった。ジブリの『かぐや姫の物語』が嫌いだと言っていて理由を知りたかったけれど、教えてもらえなかった……。

・ジェンダーと社会

社会にあるジェンダー格差、貧困についてルポルタージュを読む。少人数のクラスで毎回ディスカッションがあり、それがすごく面白かった。

*この授業のフィールドワークで初めてAVショップに行き、気分が悪くなった。好き嫌いは別にして、あんなにアクセスしやすくて良いんだろうかと思った。色々だめだろう……。

・IELTS

イギリスに留学するには、このIELTSという大変面倒なテストを受けなければならないため、その対策授業を取っていた。全然だめだったけど(自分のせい)。

~後半

・映画史

映画が好きなので意気込んで取ったけれど、つまらなかった……。教科書は性差別的なところもあり良くなかったし、習ったことを全然覚えていない。ベグデル・テストの話だけ印象的で、映画を観る時は女性同士の会話があるか気にするようになった(パスしない映画は意外と多い)。

観た映画では『お熱いのがお好き』が面白かった。

・ドイツ文学

これはもう、今までで一番つまらなかった。ひたすら先生の話を聞いているだけ。ドイツ文学も授業スタイルも自分に合わなかったのだと思う。何で取ったんだろう。

・近代日本文学

日本文学の英訳を読む授業で、受講者はほぼ留学生。この先生の授業をどうしても取りたかったので選んだが、英語のディスカッションが怖くて毎回胃がキリキリ。「I think...it is...umm」みたいな調子だったけれど単位は取れた。

*安部公房の『賭け』が一番面白かった。

・アメリカ文学

アメリカ詩の授業の先生が面白かったので引き続き。確か『デイジー・ミラー』を読んだ。


~さらに後半


・宗教

「地図の見方」の話から始まり、日本で発行されている世界地図は日本が中心だけれど、国が違えば見方が全く変わる!という話から始まり、大変面白かった。授業で観た映画『炎のランナー』は私の宗教に対する見方を変えました。

聖書のアダムとイヴ、そしてカベルとアインの話から「知識は暴力になる」という話を聞き、ショックだった。このことがずっと意識の底にある。


・社会と文化

必修だったのだけれどわりと面白かった。日本の人種差別、性差別、部落差別などの問題を取り上げるヘビーな内容、だけれど知っておくべきだと思った。

・ジェンダースタディーズ

ジェンダー研究をするすると言いながら基礎の授業を取ったのがこの時。それまで本を読んだり講演会に行っていたりしてたので、内容は大体知ってるものでした。
「アクティビズム」がテーマのエッセイで、「文学のジェンダー批評はアクティビズムである」と、無理やり文学につなげて書いた。でもこの時、やっぱり私は文学のフェミニスト批評がしたいのだと再確認。

この授業で観た『男らしさという仮面』は良いドキュメンタリーでした。

・英文学

英文学第2弾~私の好きな19~20世紀~!大満足です。ドリス・レッシングの『To Room Nineteen』が一番印象に残っている。主人公である女性は夫と「理想的」な家庭像を築きあげてきたが、子どもが育ち仕事も辞めた今、虚無感を抱えるようになる。『自分一人の部屋』を得られなかった彼女の絶望と悔しさ。

・日本文学

よく考えると、日本文学ばっかり取ってないか? この授業のテーマは「怪談」で、面白そうだと思ったので履修。谷崎潤一郎の『青塚氏の話』とか江戸川乱歩の『人間椅子』とかヤバい話ばっかり読んでいた。『青塚氏の話』は気持ち悪いを通り越して恐怖。

この授業で観た『ユメ十夜』(夏目漱石『夢十夜』を基にした短編オムニバス)の松尾スズキ監督のパートがぶっ飛んでるので是非観てみてください。

*先生が『葉桜と魔笛』(太宰治)を「吉屋信子みたい」と言ったことにより『わすれなぐさ』(吉屋信子)を読みハマる。


2年生は文学漬けだったけれど、実はもっと違う分野の授業も取れば良かった……と思ったりもしました。政治とか法律も面白そうだった。
履修の動機が全部「面白そうだから」で、何も考えてないことが分かりますね。

卒論は英文学とジェンダー研究にしようと決定。留学先も希望してたところは全部落ちたけれど決定。

3年

留学前最後の学期!ということで、ようやく焦り始める。
「面白そうだから」+履修計画を考えて履修を始める(最初からそうしろ)。

・化学

全然取りたくなかった。が、必修。最初の30分は集中できるのだが、後半は意識が旅に出て文学のことを考えていた。

・英文学

文学以外も取ればよかったとか言っておきながら懲りないやつ。『ジェーン・エア』を読みました。ここでいわゆる「屋根裏部屋の狂女」の話を聞き「狂気」と「女性」の関係に俄然興味が湧く。

・アメリカ文学

また文学。

・中世日本文学

また文学!(結局文学)
シラバスからして「この先生面白そう」という感じがしていたけれど、予想は大当たり。
JPOPの歌詞分析したり、『2人セゾン』の練習したり(先生が)。私はプレゼンで『風立ちぬ』を散々批判……いえ批評……しました。

・アメリカ英語

英語の勉強というよりは、アメリカ英語の歴史・社会背景について。多分日本人の多くが触れるのは「北米英語」だけれど、アメリカ英語いえど幅広い!
エッセイで「リアリティショーにおける言語とジェンダー」みたいなことを書いたら心が疲れました。リアリティショーのジェンダーバイアス・ステレオタイプやばすぎる。

・社会学
あまり覚えてない……。

結局文学ばっかり取っていた。
留学の準備をしなければならないはずが留学が怖くて何も進まず、夏休みは韓国に行ってました。
でもそこで「文学とフェミニズム」がなぜ大切なのか、面白いと思うのかを上手く説明できなくて、そのことが自分でもショックだった。「私は一体何をしたいのか」の答えは1年前よりはっきりしているけれど、まだ掴み切れないところがある。

現在

そして現在inイギリス。犯罪学、文学、ノンフィクションライティングの授業を履修中。この3つはバラバラのようだけれど、私の中で繋がって意味を持ち始めている。

なんで自分がこんなに文学にこだわり続けているのかもやっと分かってきた。それについてはまた今度。

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