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過去イチの仕事納め

今回はWebライターラボのコラム企画への参加記事です。
テーマは「仕事をしていて嬉しかったこと」。

10年近く前、保険会社の営業をしていた。
自分で保険契約をしてもらう仕事ではなく、
保険販売をしている代理店に自社の保険商品を売ってもらう仕事。

わたしにとっての顧客は
保険に加入したい一般のお客さまではなく、
保険会社各社の商品を比較し、加入したい方に販売している
プロの保険営業の方々。

わたしは全く知識が追い付かず、
しゃべりも上手くない。
信用も信頼もしてもらえず、
へっぽこな数字しか上げられない日々。

落ちこぼれをうろうろしていた3年目。
ようやく安定して販売してもらえるようになってきた。

当時、担当していた顧客の中に、
2代目の専務がいらっしゃった。
お父様の社長は気さくな方だけど、ちょっと近寄りがたい後継者。
シビアだけど大型契約をたびたび成約され、
少し年上の専務を、わたしはとっても尊敬していた。

なんとか信頼してもらいたくて、
片道車で1時間半、週2回通い続けた。

「たまに笑顔をみせてもらえるだけでがんばれるんだよ」
と会社で騒いでは同僚に呆れられながら、
必死で対応をしていた。


お客さま方もお休みモードになってきた
年の瀬の12月26日。

年内に手続きを済ませよう、と大型契約のお話をいただいていた。
尊敬する専務の案件。
それはもうミスできないプレッシャーのなか、
事前準備からなにかとバタバタし、
1時間半の道のりを2往復しながら、
無事、手続きを終えた。

ほっと一息しながらお礼を伝え、
大事に書類を抱えて歩き出したとき、
背中から声を掛けてもらった。

「お疲れさん。良いお年を!」

振り返ると一瞬笑顔をみせて、
颯爽と車に乗り込む専務が見えた。

走り去る車を見ながら、
ものすごい達成感で、
ようやく担当として認めてもらえた気分になれた。
「がんばったなあ……」と素直に自分を褒めた。

それはもう、過去イチの仕事納めになった。


時が経って、
当時の専務は会社を継いで社長に就任された。
ご縁があって、いまはわたしの上司でもある。

いつだったか、
あの一言がとても嬉しかったんですよ、と伝えたら、
「……そんなことあったっけ?」と
すっかりご記憶にはなかったけれど。

受け取った方は、忘れられない。
わたしにとっては、とても心にしみた一言だった。

ということで、
自分語りですみません。
思い出に浸りながら、今日もコツコツがんばります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Discord名:はる
#Webライターラボ2407コラム企画

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