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消費期限2日のひとかけらたち

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日記とエッセイのハーフ。2日もすれば記憶のメモリからこぼれ落ちてしまう景色を、文字にして残していきたい。肩の力抜きがち。2021.12.23~
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帰省の道すがら

なんかやっぱり、地元に帰る日が近付くにつれて、身体の節々に力が入る。 比喩の話。実際は大きめのトレーナーを被って、表情筋もゆるみきって、背もたれに深く腰掛けてぐだっと飛行機を待っているのだけど。 帰省中の予定が憂鬱なんてことはない。どれも普通に楽しみ。でもやっぱ、私には「人と過ごす」それ自体に気合いが必要だし、疲れる。まだ帰省0日目なのにこんなこと言ってて大丈夫かな。一人暮らしも7年目になれば耐性も薄れるよね。 帰省が近付くにつれいくつかLINEが鳴る。帰ってくる?いつ

オリオン座と熊本城

オリオン座が見えた。高速をかっ飛ばしていた今日の話。もう昨日か。空いている20時の高速道路は遠くの街灯が目線の高さにあって、闇の中に浮いているような感覚になった。 オリオン座を見て思い出すのは熊本の明け方の空だった。今日もそうだったし、この前先輩と歩いていて見上げたときも同じ空を思い出した。そういえばnoteに書いてたなーと思って、久しぶりに読んだ。今年は特に不定期とはいえ、もう3年も書いてるのね。 旅する日本語の企画で少ない文字数だったからあっさりしているけど、これもも

手洗い場にいたおばあさん

おばあさんから声をかけられやすい。出張先のホテルの大浴場で一緒に湯船に浸かっていたおばあちゃま。エレベーターに乗り合わせたおばあちゃま、などなど。まあ、私が声をかけられやすいというより、そもそも「おじいさん」「おばあさん」が他人に声をかけに行きやすい、という話かもしれないけれど。 福島市に出張中の夜、家庭的な雰囲気のごはん屋さんに行った。その日は昼食の時間を取れずとにかくお腹が空いていた。だからファミレスではなく自分でおかずを選べるタイプの、一皿の量がたくさんある、それでい

月が見える部屋

私の部屋からは、月が見えたらしい。 らしい、というのも、ここに住み始めてもうすぐ2年が経つのに、たった今初めてそれに気付いたのだ。びっくり。綺麗な満月。深夜2時。 そりゃあ月が見える方角と言ってもこの時間帯だから、気付かなかったのも無理はない。それにいつもはカーテンを閉めている。うちは駅の目の前。駅には常に光が灯っているから、家の周りに暗闇が訪れたことがない。少なくともこの2年は。暗闇が訪れたことがないって、いいな。いいのか? いいなと思うよ、今は。 低気圧完全敗北。今日

思考

現状に満足していない。ただそれだけがはっきりとわかっている。満足するためには何をすればいいのか。どう動けばいいのか。そもそも私はどうなれば満足するのか。満足って、何? まるでわからない。 18時に全部が白紙になって、21時から映画『何者』を観始めた私はドの付くMらしい。何が面白くて当日中に直球の題材を取り扱った映画を観ようと思ったのだろう。でも、なんというか、観てよかった。大きく得たものは特にない(そもそもすでに観たことがある)けれど、よかった。それが約1週間前。 あまり

動かない秒針が時間を教えた

時計が壊れた。 入社祝いでばあちゃんに買ってもらった、紺色の文字盤がかわいいお気に入りの腕時計。今朝いつものように玄関でそれを付けようとしたら、11時を指していた。寝坊したわけではない。 すぐに思ったのは、「買ってもらったばっかりなのに、なんで!?」だった。ガサツな性格ゆえ知らないうちにまた何かやらかしたのか。落とした? 金曜日までは普通に使っていた。水没はさせていない。なんで? そんなすぐ壊れる?? ……と、考えたところで気付く。買ってもらった入社時から、すでに2年以

迷子の迷子の24歳

あなたのおうちはどこですか。 わからん。 本気の人生相談を誰かにしたい状態になってきた。自分の感情、感情? 何もかもがわからなくなってきている。 今日一つ面接に落ちた。納得、というか、あれで通るほど人生甘くないですよね、と思っていた出来だったから、一つ駒がなくなった現実をただ受け入れている。うーむ。どうしようかね。 今私は働いている。その点で、大学時代の就活とは圧倒的に違う。別に志望する会社に全滅しても生きていける。だってすでに働いているから。 だから、心に余裕をもっ

ごちゃごちゃ

知らぬ間に2月が終わろうとしている。今月一文字も書いてない。とりあえず、15分だけ。 絶賛就活中である。……って書くと、様変わりしているnoteさんの「あなたへのおすすめ」で就活ハウツーばかり出てくるから嫌なんだけど、それしか書くことがないくらいには、頭の中を占めている。 マルチタスクはどちらかといえば得意な方だと思っていた。思っていただけで、勘違いだったみたい。仕事しながら仕事探す(厳密にはいろいろな準備をする。もう現時点で探してはいない)の、こんなに大変なんですね。世

午前5時前のCDTV

この時間のCDTV年越しスペシャルが好き。昔から夜更かししがちで、年末年始は気合を入れてCDTVが終わるまで起きていた。特に意味もないのに。終盤は司会のアナウンサーもいなくなり収録になると気付いたのは何年前だったか。年末年始ハイの雰囲気もさすがに寝静まった元旦の深い深い夜、知らない名前、知らない顔のアーティストたちが、知らない曲を披露していく。 んー、この感じを全く説明できないな。ただぼうっと画面を見て、音楽が耳をさわっていく。年が明けたなぁと思う。大晦日の19時台から26

寝る前の15分でどれだけ書けるかチャレンジ

ただいま1時15分。 タイトルの通り、15分だけ何かしら書いてみる。 私の好きな歌。忙しい忙しいとこれ見よがしに呟く(not Twitter)大人に心の中で歌っていた高校時代。自らに言い聞かせて「それな〜さっきTwitterで推し見てたもんね〜」って笑って、重たくなりそうな気持ちをどこかへ吹っ飛ばす現在。つまり今めっちゃ忙しいです。はい。 今日は仕事が終わってから2時間半ほど運転した。真っ暗な高速道路をかっ飛ばすのは、疲れた身体でも結構楽しい。勤務時間の半分を運転に使って

6秒見つめ合ったら

「今日は暑くなるな」 カーテンに四角く型抜きされた朝陽を見て、本日一番目に浮かんだ台詞。スーツのジャケットを羽織るか手に持つか迷う。今日はひとつバックが多かったことを思い出して、結局羽織って、茶色のドアをぐっと押した。 さむ。 明らかに「そのジャケット、要らんで〜」みたいな朝陽だったじゃないか。風が冷たい。まじ、ですか。 着替えるほどではなく、そのまま仕事に出た。気付かぬうちにまた一つ、季節が歩を進めていた。個人的な体感では「夏の面影が残る秋」から「冬がちらつく秋」へ、

気圧と気温とアップデート

目覚ましが鳴った瞬間にわかった。 今日は 、ダメな日。 軽めの偏頭痛を持ち合わせている。悔しいことに、気圧変化に体調を左右される。体調を左右されるから心も左右される。誰の許可を得て私の心を転がしてんだこのやろう。 「軽め」と書いているのは、日によって程度が変わるからだ。窓が見えない室内で、ズキズキする頭をゆるくさすりながら「たぶん今から雨降りますよ」と言ったら本当に降り始め、周囲を引かせたときもある。かと思えば、ゆっくり晴れから雨へ変わっていってもケロッとしているときもあ

1ヶ月内3回目の渋谷で書いた、煙草の匂いが好きって話。

「就活でもないのに」と自然に出てきたワードで、また思い出してるわ、と気付く。 仕事が忙しくなる前に行きたいライブや舞台に全部行こうと予定を詰め込んだら、就活でもないのに、1ヶ月で3回も東京に来ることになった。3回目の今日。渋谷の目まぐるしく変わるモニターを見ながら、「都会だなぁ」とぼんやり考える。スクランブルスクエアに映るアーニャがかわいい。 東京に来ると、必ず就活を思い出す。この街で働きたいと思っていたんだよなぁ。いや、てか、まだ思ってるんだけど。昔は都会になんて住みた

金木犀が香るひと

二つ前の秋まで、「金木犀の匂い」がわからなかった。 「「金木犀の匂い」ってよく見るしよく聞くけど、それってつまりどんな匂いなん?」と思いながら、疑問を解決することなく二十数年生きていた。 たしか友達との買い物中だったはず。上の台詞をそのまま言った私に、クリームのテスターで友達が教えてくれた。そうして初めて、私の鼻は「金木犀の匂い」を覚えたのである。 ここ数日、頻繁に出会う。 あ、金木犀の匂いがする、と思って周りを見渡せば、駐車場の奥の植木に、ガードレールの先に、目の前の