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ポケモン ダイアモンド/パールが1番面白い理由について考える。


まず、「ポケットモンスター 」というゲームシリーズにおける面白さの根源は「冒険」だと思う。

ポケモン のストーリーというのは、シリーズによって異なる。
でも.全てに言えることは「ジムバッチ8個を獲得する」ことで、そのために「8つの町をめぐる」ということである。
ポケモンはさまざまな要素が複雑に絡んだゲームであるが、究極的に言えば「8つの町をめぐる」というゲームなのである。

もう少し詳しく説明すると、この遊びは大きく分けて「道」と「町」で分けられる。

プレイヤーは次の町へ向かうべく、道を進む。
その道は過酷であり、危険があり、困難がある。
時には引き返して前の町へ休息し、また道へ挑む。
時には立ち止まることもある。

それを経て、新しい町に着いた時、達成感と同時に安心感も生まれる。
そして、今までと違う新しい景色は、達成感が視覚的に表現されているようにも思う。
また、町は安全地帯であり、突然襲われることもなく、平穏である。

ポケモンというゲームは、まずこの遊びの構造があり、それに対してポケモンがいたり、敵が現れたり、頼まれ事をしたり、そういった要素によって肉付けされている。

しかし、この要素というのも、構造があるからこそ戯れることができるわけだ。
構造と要素の絡み合いが、遊びという隔てられた空間を、巨大な世界へと変貌させていく。

これが遊びの構成における重要な考え方だと思っている。

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しかし、この「ジムバッチ8個を獲得する」という遊びの構造は、ポケモンはなにも変わっていないじゃないか。
どのシリーズも大体同じ、これが「ダイヤモンド/パール」が面白い理由とは全然関係がない。

いや、違う。
今のポケモンの問題は「同じ」であることではないだろうか。

ポケモンは時代に合わせて進化し、ドットから3Dへと変化した。
この3Dといった時代によって変化した要素と、元々持つポケモンというゲームの構造との相性が合わなくなっているのではないか?

要素の変化の代表例がドットから3Dへの変化であり、これは平面から立体への変化ということが重要である。

これはかなり個人的な見解だが、人というのは平面的に物事を捉える生き物であり、つまり立体のものは、それを平面にするという変換作業が脳で行われると考えている。

しかし、もともと平面のものは、そのまま情報を受け止めることができる。
その理論が合っているかは知らないが、どちらにせよ平面と立体で情報量が全く違うわけで、情報量が多いとそれを処理することにコストがかかり、逆に少ないと別のことにコストをさけるわけです。

3Dになったポケモンと、ドットの時のポケモン、道中や町並みの記憶が鮮明なのはどっちですか?
おそらく、昔にやったゲームであるドット絵のポケモンの方が、ビジョンを浮かべやすいのではないだろうか。

それには色々な要素が絡んでいると思うが、平面という低コストの情報量だからこそ、画面をそのまま飲み込むことができからであり、立体だと見ていそうでただ処理することで精一杯になっているからではないかと思う。

また、低コストであると、他の要素に目をつける余裕があるということ。
これがとにかく重要だ。

ゲームに対してよく謳われている「自由度」というのがあるが、そのゲームの自由を戯れる余裕が、プレイヤーになければ意味がないのだ。

そして、この余裕があることによって、目をつけられるようになった、微細な「他の要素」と戯れというのが、そのプレイヤーだけの能動的に生み出すストーリーであり、それがある意味ポケモンにおける本当のストーリーである。

しかし、立体といった、視覚情報量が多い場合、この本当のストーリーに辿り着くことが難しくなる。
そして、この真のストーリーのなかった道中を抜けて、町に着いたとしても何の達成感もないし、そもそも町も立体であるからまた処理にコストがかかる。

何をもってもうまくいっていないのだ。

うまく説明できているとは思わないが、僕は最近のポケモンで、町に着いたときの感動がなぜかない。

ポケットモンスターダイヤモンド/パールを遊んでいたときは、町の出入り口を見つけたときの喜び、そこを抜け初めて見る景色に感動し、町を駆け回った。

これが実はポケモンの本質において重要なポイントではないかとは睨んでいる。

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で、そう考えると最新作のポケモン剣盾が良かった理由は、「構造を修正した」ことではないかと思う。

これも個人的な感想だが、ポケモンが3Dになってからのシリーズの中では、剣盾が一番面白いように思う。
それには色々な理由があるだろうし、それが絡み合いすぎてもうよくわからないが、その中で重要な核の部分は、結局は遊びの核である構造である。

中には3Dにポケモンがなってから面白くなくなったと言っている人もいるが、その人たちは「ポケモンは変わってしまった」と言うが、僕は逆に「変わってないから」つまらなくなっていると言えると思う。

その状態からちゃんと剣盾は「構造を修正した」から、面白くなった。
では、どのように修正したのだろうか。

それは「冒険」から、「挑戦」になったという感じだろうか。
gうまく説明できないが、ポケモン剣盾はざっくり言えばスポコンであり、ジムチャレンジというのが軸となっている。

ジムチャレンジでは「ジムリーダー」が今までの「町」の役割をしており、3Dになったことでキャラクターというのを見た目だけでなく、動きや、細かい表情で表現することができるようになり、そのことでより深いキャラクターの深層を覗き込む形になっている。

これは3Dに適しており、その3Dもまた構造と相性が噛み合っている。
一本道であるというデメリットも、ジムチャレンジという頂点へ突き進む構造によってメリットへ変換し、道中の重要性も、この構造においてはあまり必要なくなっている。

つまり、「8つの町をめぐる冒険」から「8つのジムリーダーを挑む挑戦」という一見なんも変わってなさそうで、かなり大きな変化というのをポケモン剣盾は行なっているのではないかと思う。

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構造と要素、それぞれの中身と相性、これが遊びにおいて重要である。
ポケモンダイパというのは、それが完全に噛み合っていた時代のゲームなのではないだろうか。

「ダイヤモンド/パール」では、僕はあの平面の世界で、思うがままに冒険をしていた、いやさせてもらっていたのだろう。

その時していたような冒険を、また新しい形でやれたらいいなと思う。


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