人生を鈍行する
ファストな世界で、スローに生きるのは難しい。世間からの厳しい視線が、身内からの窮屈な期待が、休まずに全力で走ることを強制する。寄り道なんかせず、一直線に進め、と。
でもそんな快速の人生では、見逃してしまう、大切な何かがある。日常に埋もれてしまった感性が、人生からはみだしたい欲求が、僕の耳元で囁く。鈍行で進まなきゃ、辿ることのできない思考が、触れることのない感覚が、僕の目の前に広がる。
だから鈍く生きる。人生を鈍行する。早く進めと言われたら、ゆっくり斜めに向かって歩く。もしくは、いったん立ち止まって、でんぐり返しなんかして、華麗に転んでおどける。それが自分の人生を生きるということ。鈍行で生きるということ。
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