見出し画像

風の歌を聴け

文章を書くことは楽しい作業である。生きることの困難さに比べ、それに意味をつけるのは、あまりにも簡単だからだ。そう思ってしまうのも、生きることに意味はないという真実から、目を背けたいだけなのかもしれない。

生きるために書いているのか。書くために生きているのか。鶏と卵の問題。物書きに横たわる命題。でもそんなものはどうだっていい。そこに意味を見出すのは、もうやめにしよう。ただ思ったことを、素直に書き連ねよう。

そんな折、穏やかすぎる春の夜、風の歌を聴いた。その風に誘われて、ちっぽけで消えてしまいそうな、言葉の欠片を紡いだ。その瞬間、雷に打たれたかのように、啓示を受けた。生きるためじゃなく、祈るために書いているのだ。

そんな風におもった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?