嫌われるのが怖いから嫌ってしまえ!BPDの不可解な思考回路~自ら孤立していく妻
長男の成長に伴って、私達夫婦の生活はどんどん変わっていきました。いわゆる公園デビューや、子育て支援センターでの過ごし方、そしてリトミックへの参加など。
私もオムツの替え方やお風呂の入れ方、ミルクの後のゲップのさせ方を覚えたと思ったら、すぐに離乳食になって、公園や出先でも長男の相手をすることが増えました。思えばこの頃の妻は一番落ち着いていたかもしれません。しかし、下の子の出産に伴って再びBPDの側面が顔を現しだしたのです。
BPDの妻>イライラする。もう、リトミックなんか行かない!
例によって仕事中、突然メールしてくるBPDの妻。
私>どうしたの?
BPDの妻>無理!出来ない!**(長男の名前)が全然やってくれない。こんなの意味無い
子供が先生の言うことに集中せず、好き勝手に遊んでしまうというのです。それはそうでしょう。子供とはそういうものだし、リトミックなんて元々楽しく身体を動かして遊びましょう、というのが目的なのです。だから、きちんと言われたことをやるよりも、楽しく過ごせることの方が重要なはず。しかしBPDの妻にはそれが許せないらしいです。
BPDの妻>お金の無駄、もうやめる
私>そのうち興味が向いたらやってくれる時もあるんじゃないかな?楽しむことが一番だよ。
BPDの妻>パパは自分で行かないからそんなこと言うんだ。だったら自分で行って。
リトミックは平日の昼間に開催されます。仕事をしている私には到底無理です。
私>分かったよ。リトミックはやめていいよ
BPDの妻>イライラする。今まで頑張ってきたのに、全部無駄。こんな子いらない
私はメールをしながら、今この時家の中で、妻と長男がどんなに険悪なムードで過ごしているのか想像しました。無言で家事をするBPDの妻。イライラと物を乱暴に扱い、それで物が壊れたりこぼしたりして更にイライラを積もらせるのです。それに対して長男は、何か自分が悪い事をしただろうか?いや、悪いことをしたからママが怒っているんだ、そんな風に考え、どうして良いか分からずに部屋の隅で静かにしているのでしょう。
そんな光景を想像すると、父親として胸が締め付けられる想いです…いても立てもいられなくなります。そして、そんな日は仕事を早く切り上げて帰宅し、妻のイライラが子供に向かないように努力するのです。さも、たまたま仕事が早く終わったから帰るんだと、言い訳みたいなメールを妻にして帰宅します。そして帰宅したらBPDの妻を気をそらせて、怒りを静めるように全力で行動します。
そのかいあってBPDの妻は少し落ち着き、私はほっと胸をなで下ろします。しかし、このことが原因で我が家では『リトミック』という単語がタブーになるのです。そして結局リトミックは、子供が続けたいかどうかと関係無くやめることになったのです。また同時に、私は仕事に身が入らなくなっていきました。
しかし、BPDの妻の標的になったのはリトミックだけではありませんでした。次は私の母(姑)がターゲットになったのです。
また別の日、仕事で夜遅くに帰宅した私は先に寝ていた妻と顔を合わさなかったので、翌朝の早朝からイライラしたBPDの妻に起こされました。
BPDの妻「お母さんに言って!もう二度と台所に入るなって!」
この頃は子供達の世話や生活の手伝いとして、近くに住んでいる私の母と、妻の実家のお母さんが週末を除いて日替わりで訪問してくれていました。
つまり月木は私の母、火金は実家のお母さん、水曜日は私が定時で帰ってくるし土日は全面的に私(旦那)という形で、どの日も育児と家事を妻だけにさせないようにサポートする体勢をとっていたのです。
しかしサポートというのは建前で、本当は上記のリトミックの経験から、私がBPDの妻と子供の二人だけという時間を作りたくなかったのです。そして、最初はうまくいっていたのですが、この姑との問題はそんな矢先に発生したのでした。
私>どういうこと?台所に入るなって…
BPDの妻>洗ったお皿の置き場所が違うの!信じられない!どうして勝手にこんなことするの?
妻の言い分では、右の棚にしまってあったお皿がなくなって、別の棚にかたづけたられていた、というのです。それはまあ当然のことと言えば当然のことで、母は家事の手伝いも兼ねてきているのだから洗い物をすることもあるだろうし、その時に洗ったままになっている食器があれば片づけるのが当然ですよね。
私>どこに片付ければ良かったの?
BPDの妻>・・・(うつむいて無視)
私>ちゃんと教えれば出来るから…
BPDの妻>触って欲しくないの!
怒鳴るように言い返され、私はとても嫌な気分になりました。それに『触って欲しくない』では母が家事を手伝えません。それではますますBPDの妻の仕事が増えてたいへんになるばかりなのです。そして大変になって疲れた時、そのイライラをぶつけられるのは仕事から帰宅した私。私はそれがイヤで仕方ありませんでした。
私>それじゃママがたいへんになっちゃうよ?ちゃんと説明してやらせようよ
BPDの妻>イヤだ!もう来なくていい!
BPDの妻の言葉にはとりつく島もありません。私は諦めて、母に事情を説明して台所には入らないようにお願いしました。母は仕方ないという風情で承諾してくれました。
しかしまたある日、今度はこんなことを言い出しました。
BPDの妻>お母さんに『もう帰っていい?』って聞かれた。信じられない。もう無理。もう二度と来なくていい!
私>どういうこと?
BPDの妻>言った通り。もう来なくていい。これから晩ご飯の忙しい時なのに、帰るって言われた!
私が帰宅早々、待ち構えていたかのように言われた言葉でした。その日は母が手伝いに来る日、きっと日中言われた言葉なのでしょう。母にしてみれば、台所に入ることを禁止され洗い物は手伝えないし、BPDの妻にはイライラして無視されたり、冷たい態度で当たられるばかりでいたたまれなかったのかもしれません。帰りたくなるのは当然でしょう。
後日母に話を聞くとやはり、息が詰まりそうで居られなかった…とのことでした。つまり冷静に見て、私の母に対してイライラした態度で人間関係を壊したのは妻なのです。しかし、このままでは母の精神的にもよくありません。これ以上負担はかけたくない。そう思って、仕方がないので母に手伝いに来てもらうのはやめました。
BPDの妻の言うとおりにした…というよりも、わざわざ手伝いに来てもらってるのに、こんなに辛い思いを母にさせたくなかった、というのが正直な気持ちです。嫁と姑…いろいろ有って当然です。私は嫌な気持ちになりながらも、なんとか切り抜けようと苦渋の決断をしたのでした。でもBPDの妻にとって、実の親とならうまくやれるのか?というと、そうではありませんでした。
母が手伝いに来なくなったことで、BPDの妻の実家のお母さんが来ることが増えました。何しろ妻にとっては実の親ですから嫁姑の問題も無く、妻にとっては楽できるようになり、これで機嫌も直るかな…と普通なら思いますよね。しかしそうではありませんでした。
まず母が手伝いに来ていたのは週に2日でしたが、実家のお母さんは1日増やして火木金になっただけでした。
どうして?と聞いた私に、知らないと答えた妻でしたが、実家のお母さんは月曜日は用事があるとのことで来てくれないらしいのです。それも後で聞くと、親しい友人たちで集まっているだけのようで、近くに住んでいるのに?娘がピンチなのに?どうして?と私は思いましたが、結局月曜日は妻が一人で全部見ることになったのです。
この時から私は日曜日の夜が憂鬱になりました。土日は私の手伝いでたっぷりと休んだBPDの妻が、月曜日1人で子供達と過ごすプレッシャーで荒れることが増えたのです。子育て支援センターや一時預かりなども検討したのですが、妻が気に入らないとか、お金がもったいないと受け入れないのです。そしていつも、日曜日の夜は私に当たり散らすようになっていきました。
(バタン!)…突然廊下の奥で扉を閉める大きな音がしました。私は慌ててそちらに行って、真っ暗闇の中で一人携帯を見つめる妻を見つけます。
私>どうしたの?何かあった?
BPDの妻>・・・(携帯を見つめたまま無視)
私>大きな音がしたけど…何があったの?
BPDの妻>・・・楽しそうでいいね
私>?何のこと???
その時私は、大好きなテレビ番組『鉄腕ダッシュ』を見ていました。日曜日の夜、翌日からまた激務が始まります。普通のお父さん、サラリーマンなら一番穏やかに英気を養いたい時間です。何も考えずにぼーっとテレビを見て楽しんでいる…普通のことですよね?でもBPDの妻にはそれが許せないというのです。
BPDの妻>パパは眠れるからいいよね
私>夜泣きのこと?
BPDの妻>テレビ見て、笑って、寝て、好き勝手やってていいよね
別に好き勝手やってることはありません。飲み会の数も減らしたし土日趣味で出かけるのもずっと我慢しています。それに、夜泣きの時も起きて抱っこしてあやします。それなのに、子育ては全て奥さんに任せきりの世間のお父さんみたいに言われて腹が立ちました。
しかし私は、その気持ちはぐっと抑えて言います。
私>ミルクの時間、変えようか。俺が抱っこしただけじゃ寝てくれないんだよね。オムツは替えられるけど…
BPDの妻>知らない!
妻がたいへんだから何度も粉ミルクにしようと言ったんです。そうすれば私でも準備出来て、せめて夜だけでも妻を寝かせてあげられるからと。でも、BPDの妻は頑としてその提案を受け入れませんでした。よく分かりませんが、心の中では子供は母乳で育てなければならない、という強い決まりが出来ているようでした。そのせいで自分が夜中に起きなければならなくて、辛くなって、そのイライラをぶつけられるのはいつも私なのに…。この日も私は鉄腕ダッシュを半分も見ることが出来ませんでした。
またある日曜日の夜は・・・
BPDの妻>パパ!今日、洗濯物干してあるの、位置かえた?
私>えっ?あっ、あぁ。日陰になっていたから、干してある位置を変えておいたよ?乾いてたでしょう?
BPDの妻>・・・(無言無視)
私>どうしたの?
BPDの妻>もういい!私のやり方は気に入らないってことね!もう二度と洗濯なんかしない!全部自分でやれば!
私>え?どういうこと???
私はBPDの妻の言っているこどか、全く理解出来ませんでした。良かれと思ってやったこと、普通なら感謝されこそすれ、非難されることではないと思うのです。しかし、BPDの妻には私の行動が自分を非難しているように感じたようでした。
つまり、洗濯物の位置を変えることが日当たりをよくするためではなくて、洗濯も満足に出来ない無能な妻だと非難する行動だと感じるらしいのです。
またあるときは・・・
BPDの妻>もう無理!
私>どうしたの?
BPDの妻>出来ない!
私>何が出来ないの?
BPDの妻>・・・(無言無視)
私>俺が出来ることなら何でも代わるらか…教えて?何が出来ないの?
BPDの妻>それじゃ、全部やって!明日(月曜)全部やって!
私>それは・・・。先週言ってくれればなんとかなったかもしれないけど、今からじゃ仕事の予定が…
BPDの妻>出来ないじゃん!出来ないなら調子のいいこと言わないで!
私>・・・。
この日も私は鉄腕ダッシュは見れませんでした。こんな風に非難されては気持ちも沈むし、怒る妻を置いてテレビを見て楽しむなど、到底そんな気分にはならないのです。
こんな風に、とにかく日曜日の夜になると毎週怒っているのです。一つ一つの原因として、妻が非難する理由が無いわけではありません。でもそれが本当の怒りの原因とは、私には思えませんでした。
本当のイライラの原因…それは、月曜から始まる一人での育児に対する不安がプレッシャーとなって妻を追い詰めている、そんな風にしか見えなかったのです。そしてそれは日曜日だけでなく平日でも増えていきました。
私が居れば直接、居なければメールで、BPDの妻がイライラをぶつけてくるのです。そして私はすぐに気づきました。妻の実家のお母さんが手伝いに来ている気配がないことに。
私>最近お母さん手伝いにきてる?
BPDの妻>・・・(無言無視)
私>どうしたの?
BPDの妻>用事があるんだって。だからもういいい
私>どういうこと?
BPDの妻>用事があるから来れないって言われた。だからもう呼んでない
妻の説明によると、何かの用事で来れない日があったそうで、それからもうずっと呼んでいないとのこと。それを聞いて私は本当に不思議でした。呼んでない…つまり、呼ばれないと来ないのか?と。
それまで毎週決まって手伝いに来ていたのに…うちの母が来れなくなって育児が大変になっているのは知っているはずなのに、それなのに妻の実家の母親は、自分から心配して連絡してくるようなことは無いらしいのです。今にして思えば、この親の行動は変だと思います。しかし私が『毒親』という言葉を知るのは、ずっと後になってからでした。
そしてついに、BPDの妻は完全に孤立したのでした。
通っていたリトミックも、子育て支援センターも全く行かなくなりました。手伝いに来ていた親たちも全て断って、買い物は週末に私が一緒に車で出て、一週間分を買い込んでいました。つまり孤立した我が家では、終始イライラするBPDの妻がその感情をばらまき続けるだけの空間になっていったのです。
BPDの妻の行動・・・今回はこんな感じです。
人間関係の不安定性…これこそがこの病気の重大症状の一つです。もちろん一つ一つのエピソードを見れば、BPDの妻にとっては相手が悪いと非難する理由があるのでしょう。しかし、それは周りから見れば全く理解出来ない異次元の屁理屈です。
ではどうしてそんなエキセントリックな世界に頭の中が支配されるのか?
それは…怒りの目的が、自身の保身や名誉のためでなく、そもそも相手との人間関係を破壊することだからです。BPDはとても不安で寂しがり屋で、常に恐怖を感じて生きているようです。だから誰かとの人間関係がいつか終わってしまうのではないか?と心配で心配で仕方ないのです。それは相手が大切な人ならばなおさらです。
だから…嫌われる恐怖に打ち勝つために、どんなにひどいことをしても相手が逃げないか?という試し行為をしたり、逆に嫌われる前に自分から嫌ってしまえ…という発想になるようです。
※2024.3.13更新
※この記事は別のブログ「はる書店」で公開していたものを再編集したものです。
BPDの妻の介護にはとてもお金がかかります。もし私の記事を読んで、ためになった、良かった、共感した、などありましたら、お気持ちだけで良いのでサポートよろしくお願いします。