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映画『ツナグ』

2012年製作/129分
監督:平川雄一郎/原作:辻村深月/出演:松坂桃李・樹木希林

樹木希林さんの出演する映画を観たいなと思って選択した『ツナグ』。

『ツナグ』の仕事をつなぐ家族。その仕事をつなぐ中で、喜びだけでなく、悲しみも背負う。

悲しみや後悔といった胸の痛みをいくつも感じたものの、最期には静かに温かく、「さあ、明日へ」という気持ちになる映画だった。

心に響く言葉もたくさんあった。

~以下、映画の中から~

こうやって死んでからも、会いたいと思ってくれる人がいるなんて、私の人生捨てたもんじゃなかったかもしれないわね。会いたいって思ってもらうと、嬉しいものですか。ええ、とっても嬉しいわ。

目に見えている物だけが真実ではない。大切な物は心で見るんだ。自分の心だ。そうすれば、本当に大切なことが見えてくる。

僕たちの世界では何かをする時、目には見えない誰かに見られていると感じて行動を決めることがある。時には、あの人ならどうしただろうと彼らから叱られることさえ望みながら日々を続ける。きっと僕たちはその人たちに支えられて生かされているんじゃないだろうか。

傲慢で自分勝手な考え方かもしれない。だけど、それでも死者が抱えた物語は生きて残された者の物であってほしい。事実がどうであろうと。

残された者には他人の死を背負う義務がある。失われた人間を自分のために生かすことになっても、日常は流れるのだから仕方ない。残されて生きる者はどうしようもないほどわがままで、わがままになるしかない。それがたとえ悲しくても、図太くても。

僕の目の前からいなくなった大切な人たち。ただ、僕の目には見えないだけで、ずっとそばにいる。

~ここまで~

わたしたちは、この世界からいなくなった大切な人たちに、生かされているのかもしれない。なくなった人の物語が、私たちの心に息づき、支えになり、背中を押してくれるているのかもしれない。

そんな気持ちになった。

願わくば、同じ世界にいる間も、同じ世界からいなくなってからも、大切な人たちとは、対話を続けることができるといいのかなと。あきらめずに。



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