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新卒で”へき地”の保健師という選択

 こんにちは、保健師のたむらです。
 私は先月まで、とある村の行政保健師として働いていました。

 その村はよく、こんな風に説明をされています。
 県内最小の自治体
 人口千人の村
 過疎
 コンビニまで1時間
 
 高齢化率は50%弱、年間出生数は10人弱という、限界集落も目前の村です。

 今回は、そんな”へき地”での保健師活動について書きたいと思います。学生さんや、保健師への転職を考えている方への参考になればと思います。

移住からSTART!

 まず、この地域で働くにあたり、ここに住むというのが条件でした。私の出身地は同じ県内ですが、ここまでの田舎ではなく、生活に慣れるまで時間がかかりました。

 景観的には険しい山がすぐそこに見え、人工物がほとんどありません。また、街灯が少ないため夜は本当に暗くて、心細くて泣きながら帰ったのを覚えています。

 まず困ったことは食事です。村内にコンビニやスーパーはないため基本的には自炊。1週間分の食材を買い置きすることになります。飲食店も多少はありますが、観光客向けであることが多いので外食はほとんどしませんでした。この4年間でずいぶん料理が作れるようになりました。

 1番嫌だったのは、なんといっても”虫”です。見たこともないような虫に出くわしたり、サイズも信じられないほど大きいです。ですが、不思議なことに4年もいると慣れるので、虫が苦手な方も安心してください。

へき地保健師の仕事

 それでは保健師の仕事内容についてお話していきたいと思います。基本的には他の自治体と同様の仕事内容ですが、健康増進、国保、母子、子育て、介護、福祉といった課が統合されているのですべてを担うことになります。

 個別のケース対応についてはケース数が少なく、その分濃い支援を行えます。また、人口が少ないこともあり、誰がどこに住んでいるかというのがわかってしまうので情報収集がしやすいです。一方で福祉・医療サービス等の社会資源が少ないため、他地域の情報収集をするのが大変です。支援者ごとに支援者間で協力し0から作り上げていくようなイメージです。大変ではありますが、その都度幅広い知識が身に付くこと、支援者間で協力することでやりがいを持てました。

オープンな地域特性

 地域住民の特性としては、良くも悪くも住民どうしの距離が近いです。良い面としては、積極的な介入が可能です。福祉職員も頻繁に訪問を行っているため訪問も受け入れてくれます。
 
 その地域で暮らすことで、保健師である以前に住民として受け入れてもらえるので、”顔見知り”の関係で保健師活動を行うことになります。健康教育をしていてもレスポンスは良いし、よく相談もしてくれるので、密な支援をしたいという方にはおすすめです。

へき地保健師としての苦悩

 上述した通り、個別ケース数は少なくても抱える業務の範囲は広いので、幅広い業務を浅く行っていくことになります。しかも、専門性の高い業務のみならず、保健事業に関する事務作業や、イベントの手伝いもしていました。おかげでExcelが使えるようになったり、テントの組み立てなどもできるようになりました笑
 また、私が働いていた当時は中堅~ベテラン保健師がいなかったため十分な教育体制がないため自己研鑽が必須になります。幸い、都道府県が開催する研修会に参加したり、近隣市町村の保健師に相談することができたので、何とかやってこられました。また、若手でありながら責任あるポジションに付いたり、大きな裁量権を持てたことは、今振り返れば良い経験ができたと思います。

へき地・田舎で保健師を希望される方へ

 へき地での保健師活動を率直に言ってしまえば、仕事のハードさに関しても、その地域で暮らし住民として生活することに関しても、プライベートと仕事の境界は曖昧になります。しかし、それを楽しめる人にとっては、職場内の風通しが良かったり、通勤時間が短い、自然豊か等のメリットを考えれば良い環境だと思います。

 私は新卒で就職したので苦労したことも多かったですが、こうした苦労を若いうちに経験できてよかったとも思います。私のように新卒で就職して、保健師として唯一無二の経験もするのも良いし、フレキシブルに保健活動をしたい・力試しをしたいみたいな気持ちで転職先に選ばれるのも良いと思います。

参考になりましたら幸いです。

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