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保健師は憧れる。でも新卒は看護師になるべき?

保健師志望の学生が「まずは看護師」を目指す理由

 こんにちは、保健師のたむらです。
 学生時代、同級生の口からそんな言葉を聞くことが多くありました。
 先日、受け持った保健師コースの実習生も、まずは看護師として経験を積み、いつか保健師を目指したいと話していました。

 果たして、保健師になるために本当に看護師の経験が必要なのでしょうか?
 今回は新卒で保健師になった私の経験を踏まえて、この議論を掘り下げていきたいと思います。

看護師経験のある保健師はどのくらいいるのか?

 私が働いていた自治体では、最も多い時期で5人の保健師がいました。そのうち看護師経験がある保健師は2名。

 交流の多い隣町の自治体では既に退職された方も含めて、5名の保健師がいましたが看護師経験のある保健師さんはいませんでした。

 また、都道府県が主催する新任研修では半分以上が新卒で保健師になった方だったと記憶しています。

 かなり偏りのある統計ですが、こうして見てみると看護師経験のある保健師は半数程度という印象です。


保健師として働く中で看護師としての経験を活かせる場面

 私が働いていたのがへき地ということもあり、保健師には幅広いスキルが求められました。その中で看護技術も確かに必要だと感じていました。バイタル測定は、学生時代の実習で培った技術で事足りますが、高齢者の移乗介助や車椅子の操作、注射器への薬剤充填は学生時代の知識や技術では不十分で苦戦しました。

 また、緊急時の対応にも医療職として対応しなければいけないことから応急処置もできた方が良いでしょう。

 このように看護師の経験が活きる場面は存在します。私も看護師をやっていたらもっと落ち着いて対応できたのかなと思うことも多くあります。


看護師から保健師を目指すとしたら...

 次に、まずは看護師になってみた場合について検討してみたいと思います。

 看護師を数年経験し、そろそろ保健師になりたいと思ったときに大きな壁となるのは就職試験ではないでしょうか。保健師の半数以上を占めるのが市町村や都道府県といった公務員として働く保健師です。こうした行政保健師になるためには、多くの自治体で一般教養などのペーパーテストを採用試験の中に取り入れています。この試験に向けて勉強する時間を確保しなければいけないため、働きながら勉強するよりも学生時代に勉強して保健師になる方が楽かもしれません。

 ライフステージの変化に応じて保健師になるという選択肢もあるでしょう。看護師は夜勤があったり、肉体労働も多い職種です。一方で保健師は肉体労働は少なく、デスクワークも多いので、年齢や体力を考慮して保健師になる方も多いです。また、行政保健師であれば公務員という扱いになるため、産休・育休も取得しやすくなります。また、一般的なイメージとして定時帰りできるのでライフワークバランスも充実させやすいでしょう。(私が働いていた自治体はブラック寄りのグレー自治体でしたが、、)

 ここで注意しなければいけないのが、行政保健師になるには年齢制限があります。自治体によって異なりますが30歳くらいまでの自治体も多くあるので、看護師からの転向を考えるならライフプランの設計も重要です。

 また、最近はコロナの影響を受け保健師の採用枠を拡大している自治体も多いようです。保健師の定員は限られているため、今後の採用人数を制限する自治体もあるかもしれません。

 行政保健師以外にも、最近では企業で働く保健師(産業保健師)も増えてきました。行政保健師に比べてポストが少ないため、即戦力を求められることも多く、新卒で産業保健師になるという話をあまり聞きません。逆に企業の数少ない医療職として看護師経験のある方が重宝されているようです。看護師から産業保健師になるという話もよく聞きます。

結論

 結論としては、看護師経験がなくても保健師としてはやっていけます。逆に看護師になった場合は就職のタイミングを考えたり、試験勉強をする必要が出てくるでしょう。

 個人的には保健師よりも看護師の方が稼げるので若いうちは看護師としてバリバリ働き、結婚を機に保健師になるという選択肢もあるかと思います。

 参考になったら幸いです。


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