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婚活七福神~40女幸せ婚の叶え方~

第十八話 なんで今さら

普段はしない残業までして
帰宅時間を伸ばしたのに。

やっぱりそれはいた。

「お前。帰ってくるの遅すぎるやろ。

危うくこの小説終わったんかと思ったわ」


あたりまえのように私の部屋で寛ぐ恵比寿天もどきは、
どこからか調達してきたワンカップ片手に
するめをかじりながら、ぶちぶち文句を言った。


「そういう楽屋ネタ的なこと言うのやめてもらえます?

わたしだっていろいろあったんですよ。

妊娠中期は湿疹とかかゆみとかでメンタルやられたり、
10か月入った今はふくらはぎ筋肉痛みたいになって朝から攣るし、
ずっと家にこもってると鬱々としてきちゃって
旦那さんに話したらめちゃちゃんと聞いてくれて、
ああ、やっぱりこの人と結婚してよかったなと思っ……」


「おい、お前こそ、おもくそ楽屋ネタ晒しとるやんけ。

40歳で婚活拗らせてる設定どこ行った」


「は!すいません。

実体験の回想小説で、思わず現状を晒してしまった!
今のわたしは婚活拗らせて40歳で婚活を諦めた女だった」


「そうそう、そうや。
で、その現状を打破するべく、
この婚活七福神であるワシが登場したって寸法や!
ゲホゲホっ!!」


エビ天(恵比須天言うのめんどくさくなったので、
これからはエビ天で)は、
満足げに胸をどんと叩いて激しくむせた。
(酔っぱらって力加減が馬鹿になっている模様)


(もー、なんなんの。こいつは)


少々呆れ気味になりながら、
気になるキーワードに疑問が湧いた。


「大丈夫ですか?

てか、えっと……あの、ちょっと質問いいですか?」


咳き込みがなかなか収まらない(喉弱いんかい)えび天の様子を伺いながら、おずおずと手を挙げた。



「ゲホゲホ……ふー……
なんや!
いくらでも答えたるからどんとこい!」


その関西弁、エセですよね?
という言葉を飲み込んで、わたしは質問した。


「婚活七福神って、なんですか?」


つづく



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