花組『アルカンシェル』千秋楽ライブビューイングの感想1

 だいぶ遅くなってしまいましたが『アルカンシェル』のライブビューイングの、サヨナラショーとカーテンコールの感想です。

 フィナーレあたりからボロ泣きしていたんですが、サヨナラショーが始まってからは、たくさん感動して、たくさん笑って、最終的にはわりと元気に帰宅して家族に驚かれました。絶対しょぼくれて帰ってくると予想されていたようなんですが、柚香さんのハッピーオーラがうつったみたいです。柚香さんって、つくづく人を幸せにする天才だと思います。
 
 サヨナラショー、柚香さんとまどかちゃんのすごいところがたくさん詰まっていて、ハードスケジュールのはずなのにこのクオリティの高さは?と驚きました。
 
 『TOP HAT』のデュエダン。夢の中の光景みたいにまどかちゃんがふわーっと舞うリフト。すごかったです。私は新参のファンなので、BDで繰り返し見ていた光景をリアルタイムで見ることができて、感動しました。なんで人体があんなにふんわり持ち上がるんでしょうか。じっくり見ても、どちらがどういう努力をしてああなっているのかさっぱりわからないのですが、ライビュ中はそんな考えも浮かばず、ただただうっとり見ていました。
  
 黒燕尾。宝塚らしい黒燕尾は『The Fascination!』以来でしょうか。どの瞬間の動きも姿勢も完璧に美しくて、端正なお顔が映えて素晴らしかったです。宝塚の映像は、ダンスの足の動きが映っていないことがよくあるのですが、黒燕尾の振り付けは上半身に集中しているのか、柚香さんの美しい動きをしっかり堪能することができて有難かったです。柚香さんの動きは、ちょっと手を動かすだけでも特別な魅力があって、ものすごく惹きつけられます。柚香さんのダンスをどういうふうに好きかは、後日ゆっくり書きたいです。

 少尉とベスティア様も、リアルタイムで見ることができてすごく嬉しかったです。少尉の、華ちゃんに見立てた花束を見つめる眼差しが、優しくて愛情深くて、抱える仕草もすごく素敵でした。あんなふうに腕のなかにすっぽり入る存在を恋人に見立てることってなかなかないですよね。本当に最愛の人のように愛しそうに抱えていて、見ていて大変幸せな気持ちになりました。いつも思うんですが、柚香さんが表現する感情や空気感って、どうしてこんなに細やかに強烈に伝わってくるんでしょう。今までいろんな映画やドラマを見てきましたが、ここまで愛情を表現できる人は他にいなかったと思います。
 
 そのあとのベスティア様。ちょっと前は軍人さんだった人がまったく別人に変わってしまうの、本当にすごいです。姿勢や動き、立ち方や重心の位置、声や顔つきが全然違って、体格まで変わって見えました。ここまで役ごとになりきって、ディテールと勢いに嘘がない人、やっぱり他にいません。リアルなフィクションを作り出して、現実を忘れさせてくれる人です。
 
 最後の曲が「Fashionable Moment」なのには驚きました。時が過ぎていくのをエンペラーが悲しんでいる歌だと思っていたのに、このときは、過ぎ去ったときを懐かしむ、大人の男性のかっこよさに溢れた歌に聞こえました。こんなに大らかで優しい歌だったんだ、と改めて好きになりました。新人公演の『ラスト・タイクーン』で出そうと思って出せなかった空気なのかな、などと思ったりもしました。
 
 まどかちゃんの『アナスタシア』の歌もすごく綺麗で、これぞプリンセス、という感じで素晴らしかったです。ショーのはじめのほうで歌った「The Fascination!」や、『アルカンシェル』の「待ちましょう」と、歌い方が違うことに驚きました。一番得意な歌い方で歌うのではなく、場面ごとの空気やお芝居を大事にしているところ、柚香さんと一緒なんだな、と嬉しくなりました。

 サヨナラショーは本当に、一曲一曲に「こんなにやってくれるんだ?」「こうなふうにやるんだ?」という驚きと感動がありました。毎回毎回予想の斜め上を行く柚香さんらしいといえばそうなんですが、それにしても一曲一曲全部に観客の心に刺さってくるなにかをこめるって、やろうと思ってもそうそうできることではないと思います。すごいです。
 
 サヨナラショー前後のお手紙やカーテンコール。明るくて清々しい、素敵なカーテンコールでした。退団する方が活躍した場面がスクリーンに映ったのも素敵でした。私は退団公演の千秋楽をちゃんと見たのがはじめてなのでわからないのですが、いつもこうなのでしょうか? すごく好きです。
 あと、柚香さんのお手紙の水美さんへの言葉がシンプルで美しかったです。ハグしたり、口紅ついちゃった、ってやってる二人が見れて、最高に幸せでした。
 
 あと、やっぱりまどかちゃんとのやりとりが楽しいやら可愛いやらで、大変癒されました。
 まどかちゃんをうっかりとばしちゃうの、特別枠過ぎるというか、二人で一セットで自分側という意識なのでしょうか。「愛する星風まどか」とか、真面目な話かと思いきやバク転の話とか(前にも思ったんですが、どうしてまどかちゃんはバク転を移動手段のように言うのだろう、シュールで可愛いです)、当たり前みたいに語られる「星風と散歩していましたら」という言葉、お天気の話や、好きな人と虹を渡りたがる話や、バク転はできませんという締め。もう、ときめいたり、大笑いしたりで忙しかったです。
 まどかちゃんのバク転の話に、「どうするの? そのあと」とわりと本気で収拾に困ってるように見えたのに、忘れたころにちゃっかり回収して神がかった締めにしちゃうの、本当に好きです。
 シュールなことを言い出すかと思えば、急に遠慮しだすまどかちゃんを優しく見守っていた柚香さん、あにまるはうすで、ノア君が探検しにいったり、お膝に戻ってきたりするたびに「お散歩の気分みたい」「どうして急に膝に?」とされるがままだったときと似ていて、大変微笑ましかったです。

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