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衣のことを考え始めたら、ガンジーにいきついた話 〜本「ワタが世界を変える」〜

こんにちは。Haruです。

2008年から東京で会社員をしていましたが、2020年秋に会社をやめて、地元北海道で農家をやっている叔父のもとで就農する準備をはじめました。

今回は、農や農ある暮らしを考えるとき、どうしても「食・住」に注目がいきがちなので、いちど「衣」についても考えたいと思った時に出会った本のことを書きたいと思います。

「ワタが世界を変える 衣の自給について考えよう」(田畑健 著)

おもて表紙を開くと「思想編」、裏表紙を開くと「技術編」

少し変わった作りになっていて、表表紙から読み進めると「思想編」として、著者がなぜワタを作るようになったのか、インドやガンジー思想との出会いなどについて詳しく知ることができます。

裏表紙から読み進めると「技術編」ということで、ワタの育て方、ワタのつむぎかた、ワタの織り方について写真や画像いっぱいに詳しく記載がされています。本気で、ワタ作りそして衣の自給を広めたいのだという気持ちが伝わってくる充実の内容です。

技術編の最初に「棉」と「綿」の違いについても説明されていました。
そもそも、2種類の漢字があったことも知らなかった。。

著者について

ワタに出合われたことを契機に、人間らしい生活について考えるようになり、千葉県の鴨川で鴨川和棉農園を営まれていた方です。(現在は、ご家族の方が続けられている様子。)

綿織物の発祥の地であるインドを訪れ、糸紡ぎやワタのことを学ばれるだけでなく、ガンジーの思想に出会い深く共感されたことが書かれています。そのため、本書の「思想編」ではガンジーや産業革命のことが多く書かれているのですが、歴史的背景も含めてとても分かりやすく紹介されています。

本書を読んで、ガンジーの思想は今に通じることが沢山あり、産業革命によってもたらされる大量生産・大量消費の行為が何をもたらすのか、当時既に気づいていたことにすごく驚きました!

日本のワタ事情

昔は日本でも各地で棉が育てられ、布団や衣類などに使われていたものの、現在はほぼ自給ゼロ。「和棉」と呼ばれる日本の在来種は繊維が短く、糸を紡ぐのが難しいことや、海外からの安い輸入綿花に押されてしまったようです。

気候変動による自然災害の急増や、コロナで経験した・していることを考えると、自給率が低いことって漠然と怖い。資源の奪い合いやコロナみたいな想定外の事態で流通がストップされれば、あっという間にモノを入手するのが難しくなる。化学繊維だって、石油とか原料が入ってこなければ同じこと。

最近感じているのは、「自分の生活の中で、手作りできる部分を少しずつ増やしたい」ということ。自分で何かを生み出せないものは、お金で交換してモノやサービスを得るしかなくなってしまうから。

お金で買える時は問題ないけれど、お金があってもモノがなければどうしようもならない事態が起きてしまったら、もう手遅れ。地震や台風、コロナでスーパーの商品棚から一瞬だけモノが消えた時、今の豊かな生活はすごくもろいって気づいてしまった人も沢山いるとおもう。

産業革命、ワタ、ガンジー

本書の「技術編」を見ると、ワタを育て、糸を紡ぎ、それを織って衣にすることの大変さが良く分かります。興味はあるけれど、そもそも服を作るためにどれくらいワタを植えなければならないんだろう。。。

産業革命や世界の近代化は繊維工業から始まったようなのですが、布を機械で早く大量に作れることは歓迎される革命的出来事だったはずです。

ただ、大量にできてしまったことにより、それを売る市場を見つけなくてはならなくなり、イギリスはインドに綿製品を売り込むようになったことが紹介されています。(当時、インドはイギリスよりも高品質な綿製品を自給しており、輸入の必要はなかったのですが、その時に起きた悲しい歴史も本書の中で触れられています。)

インドで外国製の綿製品が浸透していく中で、立ち上がったのがガンジーで、「チャルカ」という昔から使われていた手回しで糸を紡ぐ装置で再び自分たちで糸を紡ぎだしました。

機械によってできたもので生活をすると、機械の管理者(権力者)に生活を支配される。
だから、「生活に必要なものは「自然の恵みを利用して、自分の手足を正しく使って、自分で得る」(本書p.73より)」。

上記のような考えから、ガンジーは自分たちで糸をつむぎ出したようです。

ガンジーはイギリスからの独立のためだけではなく、もっと根源的な生きることの自由のようなことについても考えて行動していたんだと、本書を通じて初めて知りました。
知ったつもりになっていることって、本当に沢山あるなあ。(恥ずかしい)

自分の生活を振り返る

都会に住む自分は、生きるほぼ全てをお金で解決している。実家に帰れない分、お金で何かを買って親に送るだけ。本当はもっと電話とかもした方が良いと思っているけれど、億劫だと感じてしまうことも多い。人間関係すら、お金で解決しようとしてしまっているのかもしれない。。

せっかく農に携わると決めたのだから、まずは野菜から自分の生活に手作りの要素を加えていきたいと思います。

和棉のタネを調べてみたら、お手軽に入手できるみたいだったので、ワタも家庭菜園で育ててみたいと思います。(成長の様子もまた書きます!)

読んで下さり、どうもありがとうございました。

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