テセウスの評価

数あるギリシャ神話の英雄の中でも私が一番魅力を感じるのはテセウスだ。
他の英雄は「そらさすがに盛りすぎやろー」ってくらい、設定がてんこ盛りでいまいち信用しきれない。
チョコも果物もマシュマロもアイスも全部乗せしたスペシャルウルトラスーパーDXパフェみたいな英雄ばかりで、まともに味わおうとすると胃もたれしてしまう。

テセウスは少年期は父王に会うために冒険に出る英雄に憧れる脳筋少年というまさに少年漫画の王道を行くようなキャラクター。
ちょっとうっかりものではあるものの、力だけで解決するのではなく時には冴えわたる閃きで相手を翻弄したり、ドジでおっちょこちょいな面もある魅力があるといえる。
青年期では王として周辺諸国をまとめあげ、アテナイを確かな強国へと導く政才を発揮。
いままで強国として繁栄していたクレタの間接的な支配からギリシャを解き放ち、その後の歴史を辿って周辺諸国と比較してもギリシャが強国へと進めたのはテセウスの善政のおかげであろう。

ただ青年期~壮年期は「ヘラクレスから圧力でもかかったんか?」というくらい謎の迷走を続け、他国の王女にちょっかいかけるわ、ハデスの嫁にもちょっかいかけるわ、義理の息子を呪い殺すわと少年漫画のヒーローから青年漫画のダークヒーローみたいに成り下がってしまう。
最後はとうとうアテナイからも追放されてしまう、しかしそんな不評の嵐を受けるような境遇であっても、地元アテナイでは死後も英雄として王として高い評価を受けている。

これを考えると
1 主神ゼウスの子ではない英雄だから迫害の対象となった
2 地元民には好かれてるけどよそさんには嫌われてるタイプだった
3 老害だった

非常に人間味あふれる英雄であるが、これ『3 老害だった』が理由だとしたら結構悲しい。
私が描く物語では老害で終わらないようみんなに好かれるキャラにするから頑張ろうテセウス。

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