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(2020.3.4)惹かれないものにも目を向けること

2020年3月4日にFacebookで投稿した記事を写真やタイトル等ちょっとだけ整えて転載しています。茨城の久松農園さんにお邪魔した時のお話です。

ー*ー*ーここから転載ー*ー*ー

先日、茨城で有機農業をされている久松さんの農園へ行ってきました。農業のことを勉強しはじめて間もない頃に、久松さんの著書の『小さくて強い農業をつくる』を読んで、その時初めて農業もビジネスだし農家さんは経営者なのかと思った(今からすればあたりまえになった感覚だけど、当時は農業に対して自給自足とか豊かな暮らしとかそういうふわふわした印象しかなかった)。経営のこと、栽培のこと、畑でお話を聞きながら収穫したての野菜をかじり、有機や流通のことなどたくさん議論した。

何を選んで何を捨てるか

印象に残ってるのは、大規模な市場流通にも直販にもそれぞれの良さはあるけれど、それによってそれぞれ犠牲になるものがあるという話(生産者にとっても、消費者にとっても)。生産者に関して言うと、前者は販売はJAに任せて生産に集中できるから余計な手間はないけど、良いものを作っても自分に対して直接評価は返ってこないし、鮮度や美味しさは犠牲になる。でもそれは届くまでに時間がかかるから物持ちの良い品種が選ぶとか、消費者に対して直接説明ができないから買ってもらいやすいように見栄えの良い品種が選ぶというすごく合理的な判断の結果。後者は自分がどんな風に生産したのかっていうストーリーごと、新鮮なおいしい状態で届けられて、リアクションも直接もらえるけど、袋詰めとかの手間はあるし、遠くに運ぶ場合は物流コストによって価格が高くついてしまう。

この1年、自分で畑を借りて小さいけど農業をしてみたし、八百屋さんでバイトして青果の販売もしてみた。畑や直販でのキラキラの元気な青果も、市場流通でちょっと元気がなくてかわいそうな状態の青果も(全部がそうではない)、どっちも見て触って食べてきたからこそ、この言葉はすごく心にずっしりきた。何を選んで何を捨てるかは、消費者に何を届けたいかとか、どんな農業者でありたいかとか、ビジョンやミッションに基づいた経営判断になるんだなぁと。

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オルタナティブな農業・流通は主流になることを目指さなくても良いのかもしれない

私はずっとベンチャーとかがやっている比較的新しいことばかりに惹かれてた。直販やCSAのような消費者と生産者が直接つながり合う農業こそこれからの農業だと思って、そっちのことばっか勉強してた。でも、ずっと疑問だったのは、今はたぶんオルタナティブな存在でしかないそういった農業・流通が、果たして従来の大規模市場流通をしのぐ主流なものになるのかということ。

これは1月末にポケマルの高橋さんが東大で講演してくださったときにも質問させていただいた。高橋さんなら何か答えを持っているのではないかと期待してたから。言葉を探しつつ、どう実現していくかというマイルストーンは置いていなくて、まずは補完的な立場にと話してくださった。そのあと講演を主催した東大の先生は、そもそも主流なものになろうとしていないかもしれないねとおっしゃっていた。

このときの言葉はピンときてなかったけど、今ならなんとなくわかるかもしれない。生産者と消費者が直接つながり合って、暮らしの中に自然や農業があたりまえにあって、食べることは生きることだって感じながら毎回食事ができたらそれはそれはすばらしいけれど、どんな時にも誰もが食料にアクセスできることは大切で、そういう意味では大規模市場流通はかなりすごい仕組みだなって思う。全部が満たされるすばらしい仕組みがあればいいけれど、今のところはなくて、何かを選べば何かが犠牲になってしまう。すばらしい仕組みを模索しつつも、そういう仕組みのないうちはお互いがお互いの欠点を補い合う形でうまく共存するのがベストなのかもしれない。

あのときは執筆中だった卒論テーマのフェアトレードと照らし合わせて考えていたから、主流なものにならなければならないと思っていた。フェアトレードについては、従来の貿易で犠牲になっているのが生産者・労働者の生活や安全だから、オルタナティブな存在のままで良いわけがなく、従来のものも変えていくべきと思う。けど、青果物の流通に関しては、犠牲になるものが生産者の生活や安全でないなら、共存でいいのかもしれない。環境が入ってくるとまた難しいけれど。。。

惹かれないものにも目を向けること

とりあえず、選んだものによって得るものと得ないものをちゃんと把握することが大事だと、改めてはっきり認識した。農業以外も、環境問題とか、全部。一部だけ取り出してこれがいいんだじゃなくて、全体もしっかり見たうえで目指すものに対して前進していけるようになりたいな。ということで、惹かれるものだけじゃなくて、主流となっているものやそれが主流となった背景までしっかり勉強していきたい。

まとめると、いただいたお野菜がちょーおいしい。笑
コロナでおうちで過ごす時間が増えてて、料理がはかどる毎日。一人暮らし1年目の冬はいろんな鍋つゆの元に白菜とネギときのこをぶち込む毎日だったけど、おいしいお野菜たちが料理の楽しさを教えてくれて、今はとっても豊かな食生活。

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ー*ー*ーここまで転載ー*ー*ー


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東京大学大学院農学国際専攻M1|ポケットマルシェで広報のインターン| 大好きな農学から暮らしを良いものにしたい