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環境問題ではなく経済不安が起点|藻谷浩介・NHK広島取材班『里山資本主義』#読書記録2023

今週は久松農園久松さんおすすめの網野善彦を読んでいたけど、歴史学に馴染みがなさすぎてちょっと難しかったから、はじめだけ読んで積読してた『里山資本主義』を併読。そっちを先に読み終えた。

年末に読んだ丸山真人先生の『人間の経済と資本の論理』のあとがきに、「『里山資本主義』の事例は玉野井先生の提唱していた地域主義の実践例と言えるが、なぜ資本主義なのか。里山を商品化することにつながらないか。」といった話があった。

私も名称に対して同じような印象を持ってて、でも詳しくはその論を知らなかったから読んでみた。

読後感は、わくわくと、でも楽観的だなーって感じだった。

地域主義の実践例というのはたしかにそうで、わくわくした。年始に読んだ田中照美さんの『関係人口の社会学』もそうだけど、事例を読むとこんなことやってる人たちがいるんだってすごく勇気づけられる。もちろん書かれていることはほんの一部だし、その背景にはたくさんの苦労もあるんだろうけど。

楽観的というのは、私が悲観的すぎるのもあるかもしれないけど、「地域に優秀な若者が飛び込み始めている」「本当の豊かさを求め始めてる」とかって、この頃(この本が書かれたのが2013年7月)から言われてたんだなあと。著者と世代が違うから、たぶん比較対象が全然違うけど、最近も同じようなこと言われているし、この10年近くでどのくらい変わったのかなーという。変化を実感しやすい環境にいればまた違うことを思うのかもしれないけど。

あと、全体を通してすごく感じたのは、里山資本主義の出発点は「経済」、特にリーマンショック後に生じた経済に対する漠然とした不安であって、環境問題ではないっていうことだった。この頃は、地球温暖化・気候変動は、きっとまだそんなに大きな問題になっていなかったのかな。

自然や物質代謝の観点は必要、というかそれが生きる土台なので、やっぱりそれも含めた議論をしていかないといけないと思った。

『里山資本主義』はすごい売れたらしいし、言葉としても結構広まっているのではと思うけど、いろいろ突っ込みたいところはあるし、論文とか書いているわけじゃないので(たぶん)、

言葉とか理論、それに伴う実践を広めたいって思ったときのアプローチは、必ずしも研究者だったり、がちがちに論理を固めることではないんだろうなと、本題とは全然違うことも考えたり。

今週はこのへんでおわり。いいペースで読書と書くこと進んでる!


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