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夕暮れの記憶

昨日のこと。

夕方に息子が玄関先から私を呼んだ。
「ママーーー!!!来てーーーー!!」
「いいから来てーーーー!!」

最近「いいから来て」という言葉が好きではなくて、渋々玄関に向かった。
「おそらがきれいなの!!」

「あ、」

連れ出されて息子と見た夕焼けは、それはそれはきれいだった。
それと同時に私も母に同じことをしていたことを思い出した。

夕方の時間は夕食を作る時間。
その時間を割いてでも、私に見せたかった息子の気持ち。
私も何十年前に同じ気持ちだったんだよと、心で呟く。


夕焼けは、なぜあんなに心を震わすのだろう。
初めて夕焼けを認識したその日から、私はいつも同じ気持ちで空を見上げている。

空を見上げて懐かしむ気持ち。懐かしむ心。
多分それを情緒といって、私はいつも夕焼けを見て心が震えるのだ。

小さい画面越しに世界を見ているような気でいるが、見たい世界はそこじゃない。実際に眼に映る自然の色や光や影を聴いて、蟲の声と風の音を見る。そこに、ほんとうの世界が広がっている。

今日は小さい世界を見過ぎた。明日は子どもの目の奥の世界に触れてみようと思う。


しゅりんご


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