泣いて過ごす1日と、笑って楽しく過ごす1日どっちがいい?
私は3歳で歩くことができなくなった。
それまで特に病気もせず公園を1日中走り回って遊んでいた自分が歩けないという事実を子供だった私は簡単には理解できなかった。
それもそうだろう。まだ物心もついたばかりの子供にもう歩くことはできません。なんて言われてわかるわけもない。
子供が治らない病気とわかった時、本当の事は言わず隠して頑張って治そうねなどとなかなか本当の事を言うのが辛くそういう風に親もいるだろう。
だがしかし私の母は一度も治らないことを隠したりはしなかった。その当時私は、嘘でも治るから大丈夫だと言って欲しかった。けど母は治るから大丈夫なんて言ってはくれなかった。
大きくなってから母に聞くと「治らないのに治るから大丈夫なんて言えない。そんな期待を持たせるようなことは言えないでしょ。嘘を言っても後であんたが辛いだけでしょ」と言われた。それもそうだよなと今になって思う。
親が子供に嘘をついたところで子供は自分がもう治らないんだといずれ気づく。それであれば最初から伝えて理解させようというのが私の母の考えだった。母も言うのが、けして辛くなかったわけではないだろう。私の将来を想いあえて辛い現実を伝えてきたのだろうと今になって思う。
とはいえ3歳の子供が理解するのには時間がかかる。入院中の病室で歩きたい、歩かせろ、治してくれと泣き叫び暴れたことがある。その時に母が言った言葉がある。
「そうやって1日泣いて過ごすのと、笑って今日も楽しかったねって過ごす1日どっちも同じ1日、同じ1日だったらどっちが方がいいの?あんたもう歩けないけど、あんたは死ぬわけじゃない。これから楽しいことはいっぱいできるんだから」
その当時の私は、母の言っている言葉の意味を全てが理解できたわけじゃないけど、歩けなくても楽しい方が良いかと子供ながらになんとなく私は理解した。
それから歩きたい、治してくれと暴れたことはない。リハビリが嫌だと暴れたことはあった(笑)
誰でも、生きていれば辛いことや悲しいことなんていっぱいある。落ち込み泣いて過ごす日もある。
でも、誰かとくだらないことや、冗談を言ってバカ笑いしたり、友達と遊んだりして楽しく過ごす方が母が言っていたように同じ1日なら楽しいじゃないか!
私は、心からそう思う。
そう教えてくれた母はもうこの世にいない。
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