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中1の息子、サンフランシスコへ遠足に行く

昨年8月に中学生となった息子たち、サンフランシスコへ遠足に行ってきました。
ナパからサンフランシスコまでは車で約1時間。通勤している人もいるくらいの距離ではあるけれど、サンフランシスコはこの田舎とは大違いの大都会。行ったことがなかった子もいたかもしれません。
彼らにとっては、大冒険なのです。

息子の学校は、今年度できたばかりの小さな学校で、2クラス計54人しか生徒がいません。
これを9人ずつ6つのグループに分け、難易度によってポイントが設定されたスポットを巡り、合計何ポイント獲得できたかを競うレースです。
どんなルートでどこを回るか?地図やインターネットを駆使しながら、何日もかけてチームで計画を練って挑みました。

まず、行く前の「Behavior Agreements」がすごかった!
日本で言えば「遠足のしおり」みたいなものに当たるのかもしれません。遠足中の行動規範やルールが記載されています。
それが、ここはアメリカですから、しっかり読んで内容に同意し、本人と保護者がサインして初めて参加できるようになっています。
息子の話ですと、最後までどうしてもサインできなかった1人(やんちゃ坊主)は、結局参加しなかったということです。

この同意書の内容がまた、なるほどーというものでした。
パンデミック以降、サンフランシスコの治安の悪化は著しいです。アジア人ヘイトによる事件もあって怖いので、かつては月に数回訪れていた私たちも、もう何年も遊びに行くのをやめています。用事があって行くとしても、必要なところ以外で車を降りないといった感じ。
そんな所へ行くわけです。
「全員の安全が一番のプライオリティ」であることが第一に書かれてありました。
そのために、

  1.  チーム全員が絶対に離れないこと。普通の声で聞こえる(叫ばなくても聞こえる)距離に必ずいること。

  2.  普段見慣れないような人を見たとしても、その人を見ながら笑ったり、こそこそ話したりしないこと。

  3.  付き添いの大人の言うことに絶対に従うこと。

  4.  物乞いに声をかけられた場合の対処。

  5.  万が一、はぐれてしまった場合にやるべきこと。

などが書かれてありました。
どれも場合によっては命の危険にもつながることです。
スマホや現金を持たないことも含まれていました。

そしてさすがなのは、これらの約束を守れなかった場合、すぐにチームから離脱して待機している車に乗せられ、どんな理由があろうともチームに戻ることはできない と定められていたことです。
ルールを破ったら、その場でもう遠足には参加できなくなるのです。
この厳しさですね。子供たちの責任感を育てるのは。

極め付けは、結びの部分。
私たちは、あなたがベストを尽くすことを知っている。でも、人は間違うことがある。間違えたり、失敗したとしても、そこから学べばそれはあなたの成長の助けになる。それを忘れないでほしい と。
つまり、たとえ離脱しなくてはならない事態になったとしても、それをきっかけにさらに成長できればそれでよいのだよとあらかじめ言われているのです。今回ダメだからって、それでアウトじゃないよと。

上から下へルールを押し付けて、はい、おしまい。ではない、子供たちの成長を促すのだという愛情を感じました。
子供たちを「生徒」というモノとして扱うのではなく、対等な一人の人間として扱ってくれている感じがします。

この遠足は、先生方の尽力はもちろん、たくさんのボランティアの支えによって成り立ちました。
こういうところが、アメリカの本当にすごいところだと思います。

  • 全員が目立ち過ぎない程度に仲間である目印をつけるためのバンダナ

  • 乗り物のチケット代

  • 途中お買い物して食べるおやつ代

  • 付き添ってくださった親が各チームに3人ずつ

  • 学校に戻った後、家族も招待されて打ち上げのディナーパーティーがあり、そこで振る舞われた食事

  • そのパーティーで披露された数々の写真のスライドショー(遠足中に、付き添いの親や先生が1人のお母さんに撮った写真をどんどん送り、みんなが戻ってくるまでの間に編集してくださったそうです)

  • 優勝チームに送られたトロフィー(手作りのゴールデンゲートブリッジのミニチュアでした)

などなど。そういったものの全てが、寄付とボランティアによるものなのです。
子供たちの学校生活をいかにして実り多く幸せなものとするか。
なんというか、熱というのか、大人たちの愛を感じます。

離脱する生徒を1人も出さず、怪我もアクシデントもなく全員が無事に戻ってきて、先生方は涙しておられました。私も、全員の無事を祈って待っていましたので、つられて涙が出てしまいました。
スライドショーに映った子供たちには、満面の笑顔とともに、自分たちでやり遂げるのだという自信も満ち溢れているように感じました。

子供たちを信頼して任せる。大人は全力でサポートする。ただしサポートに徹する。
そうしたことが子供たちを成長させるのだと改めて感じました。
素晴らしい経験を、どうもありがとうございました!

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